火力が強すぎて、バーベーキューを真っ黒焦げ
と・・・いう訳で、翌日のお昼頃。
沼で泥だらけになっている、ライオネルさんの案内で、森から出る為に、歩いてるんだけど。
凄いね、流石、地元民だわ。
一回も迷ってない。
森の中を把握してらっしゃる。
ん?・・・でも、なんで、こんなにも森の中に詳しいのに、沼に嵌まったんだろ?
危ない所とか、絶対知ってるよね。
あ、色々考えてる内に、森の外近くまで来てたみたい。
木が前の方で途切れてるのが、見える。
これからどうしようかな。
彼処まで行ったら、ライオネルさんと、お別れで、一人になっちゃうんだよね。
今回は、運が良く、助けた代わりに見逃して貰えるけど、他の所に行ったら、また、追われる身になるんよね・・・。
道中、どうしたら、人里で暮らせるか相談したんだけど、あんまり良い顔はしてもらえなかった。
まぁ、今の自分は、アンデッドっぽいからね。
信用はされないか。
それでも、顔を隠してなら辺境の田舎だと、そこで暮らせるかもしれないって、教えてくれた。
なんかね、ある程度大きい町になってくると、魔物の侵入を知らせたり。
町の中に魔物の侵入を防ぐ、結界が在るんだって。
だから、昨日は、顔を隠す為に、葉っぱとか、ライオネルさんが持ってた布で試してみたんだけど、全部、ダメだった。
全部、燃えちゃった。
左目の炎は、消そうと思えば消せるんだけど、少しでも気を抜いたり、心・・・感情に変化があると、また炎が着いてしまって、全部を燃やしちゃう。
顔を隠せる物が見つかるか、完璧に炎の制御が出来る様になるまでは、当分は人の居る所に近付けなさそう。
「着いたぞ、外だ」
あああ、外に着いちゃったよ。
まだ、全然全く、どうするとか考えて無いんですけど!?
「う・・・そうですか・・・着いちゃいましたか」
「ん?どうした?何かあるのか?」
はぁ、ウダウダ考えてても、仕方がないし。
住める可能性が少しでもある、田舎の方向を聞いて、そっちに行くかな。
「何も無いですよ。ただ、このままだと、ライオネルさんに教えて貰った通り、田舎の方に行こうと思ったんですけど、どっちが田舎の方向か分からないんで、教えて貰えないかなーーっと」
「ああ、そういう事か、それなら、彼処に見える道を、あっちの方向に歩いていけば着くだろうが・・・そのまま行っても、意味ないだろ。また、追われるだけだぞ。」
「ですよね~、何か宛とかないですかね?」
「うーん・・・すまない、思い付かないな」
「そうですか・・・分かりました、ここまで有り難うございました」
「ああ、アンデッドに言っても意味無いだろうが、身体に気を付けてな」
そうやって、ライオネルさんと別れた後、道を外れて、誰にも見つからない様に歩いてたんだけど、それがダメだったんだろうね。
いや、人に見つかる方が、今の自分にとっては問題が大きいかな。
ライオネルさん情報だと、大抵の人は武装して、複数人で移動するらしいから、目の前にある驚異よりかは、何倍も危険らしいしね。
今のね、状況を説明するとね。
おっきい、動くキノコの集団に囲まれてるんだよね、これが。
少し前に、「ワーイ、おっきなキノコだー」って、近づいたのが、コイツらだったんよ。
そしたら、一斉に周りのキノコも動き出して、逃げられなくなっちゃった。
いや、だって、気になるじゃん?
腰ぐらいまである、ドデカイキノコなんよ?
椎茸、エリンギとか勝負にならないサイズでしょ。
一個で何人前取れるん?って話よ。
まぁ、動き出した時点で、食べようとかそういう気は完全に無くなったけどね。
頭、ゆっさゆっさ揺らして近づいて来るとか、マジで怖いんだけど。
顔も怖いんですけど!?
めっちゃ口が裂けてて、ケタケタ笑ってるし。
頭を振る度に、胞子みたいなの飛ばしてて、ここら辺一帯がモクモクで視界が悪くなってきてる。
唯一の救いっていうのかな?
本当は胞子みたいなのって、毒なんだろうけど、それが効いてないのね。
で・・・どうするかな~。
このキノコ達の足が遅いから、まだ余裕は有るんだけど、逃げ場は無さそうなんだよね。
んで、対抗手段で使えそうなのって、左目の炎位でしょ?
これってゲームの時みたいに、使えるんかな?
言っても、皆に助けて貰ってばっかりだったから、戦闘に自信無いんだよね。
なにできたっけ?
全然わからん・・・・
とりあえず、投げとくか?
昨日、炎を持てる事は分かってるんだよね。
持てるって言うのは違うかな、熱く無いけど、掌の上で燃え続けるんだよね。
でも、掌とかの身体から離れたら、地面とかで、すぐに消えちゃうから、射程距離は投げられる範囲だけ。
火力は身体から離れると、どんどん低くなっていくみたいだったから、実質1メートル位なのかな?
試した事ないけど。
とりあえず、もう少し距離が近くなったら、一回投げてみて、ダメだったら、デパートのバーゲーンセールみたいになってる所を、無理矢理押し通るしかないね。
そのメインの商品は自分だけど。
そろそろ、丁度良い距離かな?
一投目、いきます!!
ひゅーーーーーーーーん
・・・・・ぽふ・・・・
ボワーーーーーーー!!!
え?ちょっと、思ったより燃えるんですけど!?
燃えないよりは全然良いんだけど、これはドン引きだわ。
「ギギャーーーー!!」って、マジでヤバイ叫び声を上げながら、一気に燃え付きて、真っ黒焦げになっちゃった。
まぁ、いいんだけどね。
ホント。
これだったら、絶対に助かるから。
でも、これを後何回も聞くのは、勘弁して欲しいわ。
気が滅入りそう。
後、キノコが嫌いになりそうね・・・コレ。
てか、これ、ライオネルさん時に思い付かなくてよかったわ、絶対、殺人事件になってたと思う。
犯罪者とかマジで、なりたくないしね。
アンデッドで、人殺しとか、完璧討伐対象まっしぐらでしょ。
それよか、早く倒し切らないとだ。
余計な事考えててやられたら、本末転倒だけど・・・
なんか、逃げ始めてる感じがするね。
フッフッフ、私の火力におじけついたか。
「我が左目に秘められし、魔眼の炎が生け贄を求めているわ・・・」
あ・・・誰にも見られてないよね?
勢いに任せて、変なポーズしちゃった。
ふぅ・・誰も居ないか。
居る訳ないけどね~~。