原因
お正月も終わりですね。皆さんはおみくじ引きましたか?
「今なんて言いましたか?」
少しの間があった後、零咲は聞き返した。それにしっかりと答え返す。
「だから付き合えって言ったんだ」
「どうやったらそういう事になるのかちゃんと説明してください」
「まぁとりあえず座れ」
寺前先生は椅子を差し出し零咲を座らせる。長話をする気かと少し覚悟した顔で渋々椅子に座る。
「まぁなんだ。一目惚れって事でいいか?」
「なんですかその今考えたような言い方。てか教師ですよね?」
「教師が生徒を好きになったらダメなんて法律あるか?」
「無いですけど。でも常識的に考えてまずないですよ」
寺前は零咲の顔を少しの間見て、また話し始める。
「零咲。今めんどいって思ったか?」
「何ですか急に思いましたけど」
「随分と正直だな」
零咲は何でそんなことを聞かれたのかよく分からない顔で寺前の方を見る。
「じゃあさっき入学式の最中、俺と目が合ってどう思った?」
「相当目がいいんだなって思いましたよ。コンタクトでもしてるんですか?」
「確かに目はいいぞ。ただコンタクトはしてない。他に思ったことは?」
「特にないですけど」
「ふーん。そうか。悪いな俺の見間違いだ」
寺前は椅子によしかかった。
「何を見間違えたんですか。というかもう帰っていいですか?」
「てっきり俺のことを知ってるのかと思ったよ」
「......なんでそのこと知ってるんですか」
少しの間の後零咲が反応した。
「やっぱりか」
零咲は寺前のことを睨む。そして零咲が話しかける。
「都市伝説と思っていましたけど本当に居たんですね。心理学者の寺前さん」
「都市伝説とは失礼な。まぁ入学式中何人かと目が合って零咲だけだよ。一瞬の反応したのは」
「よくわかりましたね。流石です」
昔、都市伝説でどんな感情も読み取る心理学者の話がネットで少しだけ有名になった。顔も名前も明かされた上で本人と出会う人は誰一人と居なかった。
誰も会ったことが無い故にすぐにこの話題は世間から消えて行った。
「それでなんで心理学者さんが私に告白してきたんですか?」
「その心理学者さんはやめてほしいな。寺前だし今は零咲の先生でもあるんだよ?」
「それはすいませんでした」
「それで何で告白したかだよな?」
「口封じですか?」
「......それもあるね。ただ純粋に好きになっただけだよ」
「別に誰にも言いませんよ。あとその告白でOKする人なんていないですよ」
まぁ付き合ってもいいんだけどなんか癪に障るので断っておく。寧ろ心読まれながら生活するのはごめんだな。
「じゃあこうしよう。1か月。それまでに零咲を好きにさせて見る。それでいいか?」
「その間一切私に話しかけてこないでくださいね。迷惑なので」
「それで一体どうやって好きにさせたらいいんだよ」
1か月それなら無視していれば可能かもしれない。退屈な毎日を楽しく過ごす一つの手段としてはいいい考えだと思った。
「いいですよ。1か月以内に私を好きにさせてください。それができなかったら一生無視しますから」
「交渉成立って事で1か月の間よろしく」
「こちらこそお願いします」
こうして一か月の勝負が始まった。
「あ、寺前先生その間話しかけないでくださいね」
「それは消えないのか」
「冗談ですよ」
見ていただきありがとうございます。
いよいよ次から本編みたいなところありますね。
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次回は1月8日月曜日17時です。
次回もお楽しみに!