理解
11話目です!本当にラストに近づいてますね!今回もすごい展開となってますよ。
友子は零咲から全てを聞いて納得した。そして零咲が友子に助けを求めてきた。友子には断る理由など一つもない。
ただどうやって助けるのかが問題だった。どう助けて欲しいのか。それを聞いても零咲からの返信は無い。
この場合頼るのはこの事を知ってる人に限る。そして零咲の口から出てきた名前は『寺前』『翔』『大樹』この3人だけだった。さらに友子は翔と話したことが無いのでその時点で2人になる。
ただクラスメイトで少し仲が良くなった大樹なら可能だが言いすぎると問題になる。
よって友子が出した答えは直で寺前の所に行くことだった。それ以外友子には考えられなかった。
寺前の所に行ってどうする。何をする。何一つ考えずまず先に足が動いていた。迷いなく学校の数学準備室に向かっていた。
時間はまだ放課後になったばかり。忘れ物をしたと言えば学校の中には入ることが可能だろう。
「お、友子どうしたの?慌てて学校に戻ってきて」
声をかけてきたのは大樹だった。友子は冷静に言葉を返す。
「学校に忘れ物しちゃってさ!取りに行くだけ」
「そうか」
「じゃあ急いでるから!」
「ちょっと待って」
なぜか大樹が止めてきた。
「どうかしたの?」
「寺前なら数学準備室じゃなくて屋上。そこに翔もいるぞ」
「え?」
「じゃーな」
そう言うと大樹は帰っていった。友子は大樹が言った言葉を頭に入れつつ一応数学準備室に向かった。けれどそこには誰もいなかった。普段は数学準備室から出ないのにすごく不自然に思えた。
大樹が言ったように屋上に行こうと思ったが鍵がかかっていて行けなかった。出てくるのを待つか。それではいつになるか分からない。もしかしたら大樹が言った事が嘘かも知れない。
友子は鍵の作りを見てピッキングが可能だと思った。そして屋上の鍵をピッキングで開けた。
そこには大樹の言った通り寺前と翔が居た。
「あ、またピッキングした生徒か」
「寺前先生......お話が」
「わかってるよ」
零咲から聞いた話によると寺前は心理学者だそうだ。だから今言いたいことはすら伝わってるのかも知れない。けれど友子は自分の口で言いたかった。
「零咲にちゃんと謝ってください。来なくなったのは誰のせいか知ってるんですか」
「わかったからそれ以上言うな」
「嫌です。分かってるようで何も分かってない。分かった振りをしているだけじゃないですか。ちゃんと零咲の言葉を最後まで聞きましたか。本当にそれでも心理学者ですか......」
友子は口を閉じず話を続ける。
「分かってるなら行動してくださいよ。本当に零咲学校来ないで退学なりますよ。嫌なんですよ。自分勝手に動かないでくださいよ」
「ああ、悪い」
「私にはあなたがどう思ってるか分からないです。あなたみたいな心理学者じゃないので分からないですけど、零咲の今の気持ちならよくわかります」
「それはすべて零咲から聞いたからだろ」
「そうですよ。でも聞かなかったら何も分からなかった。ちゃんと全て聞いて分かったんです」
寺前は落ち着いて友子の方を見る。
「零咲がメールの最後になんて書いたか分かりますか。心理学者のあなたならわかりますよね」
「......」
「そうですか。なら翔先生ならわかりますか?」
「ああ、ある程度なら」
「そうですよね。寺前先生は自分のことに対しては全然心理学ができていないんですよ。零咲は最後に『寺前先生ともう一度話したいな』って言ったんですよ」
それを聞いた瞬間寺前は何かを思い出したかのように屋上から出て行った。向かう場所はもう言わなくてもわかる。
屋上が翔と友子だけになった。そして翔が口を開いた。
「あいつはな。確かに都市伝説級の心理学者だ。でも、自分を好きだと思う人の心は一切読めないし感じられないんだよ。その理由は単純でそういう経験が無いからだ」
「......」
「でも、お前さんのおかげで何とかなったみたいだな。名前は?」
「友子です。1年B組香取友子です」
「そうか。ありがとな」
「私は零咲を助けたかっただけです。お礼を言われることはしてませんよ」
友子は一礼すると屋上から出て行った。翔は一人屋上に残っていた。
「さて、どうなりますかね」
翔が屋上で一人呟いた。
見ていただきありがとうございます。
次でラストです!ここまで頑張って来れましたね。1か月が早く感じました。さて、次回が本当にラストですよ!二人はどうなるのか!
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