9/30
ごうのしま
諦めてしまいたい 手にかけてしまいたい
曇り 霧雨 少し滑る岩浜 目の前の広い海に
吐き出してしまおうか 涙を流そうか
伝えにくいその感情は 心の奥に仕舞ったまま
電車に揺られ 歩く人に飲まれ
私はただ一番先にある 海を目指したのだ
晴れ 長年続いた私の舞台に
荷物なんて要らないよ
高いところより低いところに
海に 深海に
火をつけましょうか 背を屈みましょうか
その先に繋がっている 場所には行けるのだろうか
心が震えそうだ 足が進まなさそうだ
私はただ一番先にある 海を目指したのだ
雨 珍しく観客は一人だったんだ
頑張りなんて要らないよ
未来は霞んだの! 希望はないの!
海に 深海に
諦めてしまいたい 手にかけてしまいたい
曇り 霧雨 少し滑る岩浜 目の前の広い海に
怖くなりそうで 悲しくなりそうで
叶いそうなんだ その夢に向かって
終幕
拍手喝采 アンコールが響いた
お客は零人孤独舞台
さあ、目の前向かって! 声を荒げて叫ぶんだ!
海に 深海に
夢を捨てた少女は、寂しくおちていった