おっさん
再び目が覚めた時にはもう昼飯時だった。二日酔いも少し治まり、取り敢えず鏡をもう一度見てみる。
朝、太陽が出る前に鏡で見た時は獣のように見えたのだが、今見返してみると夜中に見えた尾や耳はなく、齢13歳前後の女の子の顔のように見える。
鏡をじっと見ていると自分の後ろの机に何か置いてある事に気づく。
何か紙のような物が置いてある。誰かの携帯番号のようだ。
「080-××32-○○45」
番号を口ずさんでみたが、あまり記憶には無い。
今の状況では身内の人に相談する事も出来ないので、一か八かその電話番号を携帯で打ってみた。
「ん?どうしたんだ?丸川くん」
この声には聞き覚えがある。
「昨夜の飲み屋のおっさんか?おっさん、信じないと思うが聞いてくれ。どうもこうも体が変なんだ」
藁にもすがる思いでおっさんに現状を話そうとした。
すると、
「そりゃあ先日あれだけ飲めば体も変になってしまうだろうに。それで何が変なんだ?」
「見た目が幼い少女のようになってしまっている」
「もしかして、深夜に鏡を見たら獣みたいに見えたりしたかい?」
おっさんはいつものように淡々と口に出した。
「何でそれをと思ってるかもしれないが、君が昨晩人生をやり直したいと言ったから君の体を少しいじらせてもらった」