「エアリアの所持品」
「ヒィ! お助けを」
「いいじゃねえか。減るもんでもねえだろ」
僕はアル・ストレングス
突然だが、輩に絡まれてしまった。
ここは一般市外方面だからといって、油断してしまった。
しかし、あいつら何で貧困層である。しかもその中で特に貧しい僕たちばかりを狙うんだろう?
「グッ!」
「おい、待てよ!」
僕は少ない食料やお金が入ってるリュックを背負いながら、咄嗟に逃げ出した。
「グヘへ、捕まえたぜ」
期待はしてなかった。
しかし、こうもあっさりと……。
「お金出さないの? まあ無理やり奪うからいいけど」
僕は二人の輩にリュックを奪われた。
もちろん、取り返そうとはした。
あれに生活の全てがかかってるんだから。
しかし……。
「抵抗すんのか? この低級家畜が!」
僕はぼこぼこにされてしまった。
少し抵抗したからといって本気で殴ってくるとは。
痛い。
こんなところで僕の人生は終わるのか。
もし仮にここで、生きていたとしても全財産が入ってるリュックを奪われちゃ、この先生きながらえない。詰んだな。僕は。
――
「ん?」
見覚えのない家。
懐かしい。
僕も昔、住んでたよ。
「て、へ?」
どこだ? ここは?
「いてててて」
僕は痛みがある体を無理やり起こした。
今までの生活が夢で最後のあれが悪夢で、ここの家に住んでる坊やが僕の本当の人生っていうことはないかな?
とりあえず、足は無事みたいだから立って歩くことにした。
家の外に出てみる。しかし、外は家じゃなかった。
「何だこりゃ?」
ここは高級住宅か? 部屋が無数にある。
とりあえず階段を下りてみることにする。
下にも同じように部屋がある。
「お客様!」
後ろから声をかけられ、振り返ると美しい女性が立っていた。
もしかして、この人がこの高級住宅の持ち主で僕を助けてくれた命の恩人だろうか?
しかし、どうやってあの状況で僕を助けられたのだろう?
さすがにこの子一人でってことはないのだろう。
それに僕を助けて、ここまで介抱してくれる理由が分からない。
「困ります! お客、エアリア様の所持品様!」
エアリア様の所持品?
なんだそりゃ。