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もどき神  作者: 左信吾
5/10

考察時間

 ちょい短いです。

 現在、私は自分の部屋にいる。さっきからパソコンとにらめっこをしている。

 時間は夜の九時。

 私は考えている。何について考えているかと言えば、漠然と色々。

 飛鳥木高校非公式裏サイト、通称フラバツを閲覧している。最初は部室で鷹垣が言っていた昨日のチャットを見るつもりだった。参加していなくても履歴が見れる仕様になっているから、そのページまで行けば普通に見れるかと思った。

 でも当てが外れた。

 昨日の書き込みが丸ごと管理人に削除されていた。こんなこと、初めてだ。《フラバツ》ではどんな過激なネタだろうと、どんな不確かなガセだろうと、基本的に削除されることはない。管理人の心の広さと趣味の悪さを証明しているが、それは一つの長所だったはずだ。だから私も重宝していた。なのに……。

 予想外と言うか、奇想天外。こんなことあるんだなって感じ。

 鷹垣の七不思議情報の是非を問うことは出来なくなったが、これは逆説的に、昨日このチャットで何かあったことを証明している。

 面白そうだが、面白くない。はっきり言って不愉快だ。


 私のいない所で、私と関係ない所で、物語が進んでいるようで。


 そんなのは面白くない。つまらない。

 私は、異端になりたいんだから。

 あの転校生、火元真紅のような異端に。

 七不思議の方も問題だが、火元の方も重大だ。実体がある以上、あちらの方が問題だと判断せざるを得ない。

 しかし、彼は何故、探偵部部室の前にいたのか。可能性してパターンは幾つかある。

 まず、部屋を間違えた。即却下。根拠はないが、自信はある。いや、根拠もある。彼は部屋に入ってこなかった。部屋に入らずに部屋を間違えたことが、転校生して校舎の勝手が分からない彼に分かるだろうか。

 何よりあの時の殺気。あんな殺気、対象がはっきりしていないと向けられないだろう。

 二つ目の可能性は、彼が我が探偵部に入部希望だった。そうだったらとても嬉しいのだが、万歳なのだが、先の可能性とほぼ同じ理由で却下。入部希望なら部屋に入ってくるはずだし、尻込みするタイプでもないだろう。殺気向けられることもないし。

 最後の可能性。私と鷹垣の話は盗み聞きされていた。最初に考えたパターンだ。鷹垣もそう思ったらしい。ぶっちゃけ、それが一番高い可能性だと思う。何故立ち聞きなどされていたか? あくまで憶測だが、鷹垣が話していた七不思議とチャットのことが関係しているのだろう。

 それはただの興味だったのか、それとも、もっと重大な何かがあるのか。

 たぶん後者。きっと後者。てか後者だと良いよね。後者を希望する。でないと、私のこの長い考察が無駄になってしまう。いや、無駄になるのは時間だけではなく、私のこの期待による胸の高鳴りだ。

 無駄になったところで、何の無為になる訳でもないけど。

 まあ良いさ。

 それも人生だ。青春なんて空振りと期待外れと無駄な努力で構成されているんだ。

 だが、私はそれを拒絶する。持論であるにも拘わらず、その思考を否定する。

 だからこそ、探偵部を作った。異端に出逢い、異常に関係し、異形と親密になり、異例にある為に。


 普通でなくなる為に。


「……よし」

 何がよしなのか、何が良しなのか、何が悪いのか分からないが、考えるより先に、私は決定した。

「学校に行こう」

 七不思議、自分の目で確認してみよう。

 事実だろうと、虚偽だろうと、夜の学校に出ることなんてなかったし。何事も経験だ。



 この時、私は思いもしなかった。

 あんな経験をすることになるなんて。

 望んでいた地獄を、願っていた悪夢を、望んでいない形式で、願っていない方向で、味わう羽目になるなんて。

 この時の私は、思いたくもなかった。 

 いよいよ次話、本格的に物語が開始します。

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