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憑き甘く  作者: ネイブ
1学期
8/34

(御礼)

既読の方々に混乱させるような掲載の仕方をしてしまい申し訳ありません。

取り敢えず祝!お気に入り50越え&ユニーク2000!!皆様ほんとうにありがとうございます!

ジャドさんはネタバレを含んでしまったためお蔵入りで(笑)


 しとしとと霧雨の降る中、青々と茂る下草を拾った木の棒で払いのけつつ霧の濃い森の探索を進める。“オハヨウゴザイマス”。

 もし晴れていたとしてもぎりぎり朝日が見え始めたかなーと云う時間帯。僕が今いるのは最早僕専用と云っても過言ではない寮の裏手にある森の中。

膝まであるブーツの中に素材の硬いズボンを入れて足を防御。上半身も長袖と口元には布。濡れて纏わりつく髪の毛は面倒なので頭の上で縛ってある。こんな完全防御をして早朝から小雨降る森の中に居る目的は幾つかある。


 まず生息している動植物の確認。これに関してはもっと早急に行っておくべきだったんだけどうっかり忘れていたのだ。気付いた時の衝撃と来たら言葉ではとてもじゃないけど云い表せない。


 本当は昨晩にでも行きたかったんだけど寮の規定――深夜の刻2時から朝の刻2時まで外出禁止――に逆らえず泣く泣く今日まで待った。行動開始時刻は朝の刻2時。別の云い方をするなら“AM4時”。寮の規定ピッタリの行動に昨晩僕に行くなと厳命したジャドさんは呆れていた。


 もう一つの目的はこの森がどれだけ人の手が加えられたものか、と云う事を図りに来たのだ。これは中々に重要な事である。

 それは詰まり、どれだけ森の住人達が人気に慣れているかを指し示す指標でもあるし、どこまで踏み込んでも良いかを示すラインでもある。


 人間と動物の住処は厳密にでなくとも分ける必要がある。何故なら文明を持った人間と云うのは手に負えないほど野蛮なモノだと僕は思うからだ。

 文明を持ち、豊かさを知った人間は平気で動物や他種族を見下し差別的な思想と攻撃的な言動を繰り返す。そんな人間から動物達を守りまた、反逆されて人間が死なない様に適度な距離を持つ事が大切だ。人間も動物も、復讐心は旺盛である。仲間が死ねば復讐に行き更なる血が流れるのは道理なのだ。

 詰まり平たく云えば、僕が何処まで踏み込んで何処まで植物の世話をして良いかを偵察に来たわけだ。


 歩き始めてから2刻ほど。

 大体周囲3㎞ほどを僕の作った“影”と一緒に虱潰しにしてみたわけだ。でも、何か珍しい植物が生えているわけでもなく、住んでいる動物達と遇ったわけでもなく、縄張りのマークを発見したわけでもないこの探索結果は非常に不本意だった。


 しかし所々に菌糸系やメギ科の薬草なんかが生えているのを見るとついついにやにやと口角が上がるのを抑えられなかった。

 良いよ。やっぱりこう云う発見は楽しい。宝箱見つけた時よりも楽しい。


 でも。僕は木の根元に居たカミキリムシを観察しつつ唸った。

 弱った。あまり生態系を崩したくないけど何か栽培したいし植物系以外でも何かしらの実験もしたい。どっか良いとこないかな。と良さそうな場所の目星を付けつつどの薬草を家から送ってもらおうかなどと考えながら寮の方向を確認する。もう1刻ほどで食堂が空いて朝食が振舞われる時間だ。早めに行けば人が少ない。何時も僕は空いたらすぐに食堂へ行き、人が増える前に退散している。理由は今更云うまでもないと思うけど敢えて云おう。人が怖い。(ついで)に王女様一行とかち合いたくない。


 太陽の方向を見つつ寮の方へ足を向ける。他のところに散っていた“影”達からの情報を僕の脳内に流し込み、処理し、丁度開けている所で落ち合うように“影”に指示を出す。あまり気持ちの良い感覚ではないけれど、大分慣れた。

 “影”と合流し、僕は残りの1刻を何時も通り朝の鍛錬をして過ごす事にした。

 何時もなら筋トレと魔術のイメトレぐらいなんだけど折角“影”を作ったんだし組手形式で何かしよう。散々歩き回ったので筋トレは省く事にした。


 “影”は僕の魔力で作った人形、所謂(いわゆる)ゴーレムと云う種類に属するものだ。そこまできちんと作ったわけではないからゴーレムと云うには少々(はばか)るものがあるけれど。

 材料は土と水と少々の魔力。属性を加えたいなら精霊達に適当に頼んで魔力を渡せばなんとかしてくれるからとても楽で重宝している。便利だから一応人型にしている(人間味は非常に薄い感じの、顔が無い人形っぽい感じ。これが僕の作れる限界)。

 人型を保つために材料を大量に用意しないといけないから場所によっては即時性が低いのが玉に傷。例えば建物内や砂漠、荒野とかだと材料が足りないのだ。質量保存の法則はこの世界でも共通で、何も無い状態から何かを作り出すのは普通は無理だ。その物質を補う分の魔力があるなら別だけど、あれは制御が難しいから好きじゃない。目を離すと勝手に暴れ回るからね。だから原則、存在する物から作っているわけだ。しかし近くに人体と同じくらいの土と水が無いといけないのはなかなかのネックである。さっきも云ったように使えないかもしれない場合があるのだ。まぁそこまで積極的に使いたいわけでもないけども。


 周辺探索用に今朝作った“影”は3体居るとは云え、それほどレベルを上げて作ったわけでもない。創造主である僕の命令を完遂できるだろう程度。つまり低級と中級の間くらいの実力を持った魔物を打ち倒せる程度の力を持っているだけで、そこまで知性なんかもないし強いわけじゃない。半魔物化した人喰い熊より少し強いくらいだろうか。

 その程度なので鍛練においては特に武器も必要でもないけどハンデとして適当に1mくらいの枝を拾って一戦交える事にした。武器を持った肉弾戦の方が本気でいけちゃうから、慣れない雑な得物持ってる方がよっぽどヘンデになる。


 先ほども云ったけど“影”は特に素早いわけでもなく、特に力が強いわけじゃない。

 僕は左右で挟み込んできた“影”AとB(以下ABCで“影”は表記する事にする)をAを木の棒で右に受け流す事で回避。巻き込まれて倒れたBの向こうから飛んできた飛礫を、棒をグルンと回す事で叩き落とし起き上がったAの顔面を踏み越え跳躍。

 連続して飛んでくる飛礫を、風を纏った木の枝で一掃。面の要領でCの頭を打ち据え、その勢いのままCの背後にあった細めの木の枝を蹴りつけ反動でしなった木の枝の勢いも利用しつつ背後に居たBを横薙ぎに一閃。ぐしゃりと再び地面に伏したBはしかしすぐさま起き上った。それはAもCも同じである。


 僕の魔力と土と水の人形なので、崩れても魔力が残っている限りその辺の土で自動修復可能ですぐ起き上がる。僕も再起不能なまでに壊すつもりはないので適度な運動として、そして自分の作った“影”の性能チェックを兼ね30分ほどの鍛錬を行った。

 それほど魔術式を凝ったわけでもないので及第点だろうか。シンプルな方が命令に対して反応が良い。いろんな制約を付けると少々タイムラグが発生する恐れがあるのでこう云った映像を見せるだの鍛練に付き合うだのと云った単純な命令ならこう云う簡単な作りの奴の方がやっぱり向いてるんだなぁと考えつつ、Aに足払いをかけ低い姿勢からCの腹を枝で突き転倒させバックステップした。


 鍛錬えを終えるにあたって“影”達は適当に土に還らせた。剣術の先生程じゃないけど、僕も居合いっぽい事できる様になったので(僕は魔力でズルしてるけど)それの試し切りに“影”達を使って鍛錬を終えた。道すがらもう一度周囲に目を凝らして生態系を観察しつつ一回寮のお風呂で汚れを落とし身支度をする。整えすぎない様に。そして時間割の変更がないか確認して今日の予定を立てた。


 よし、放課後もう一回探索しよう。


 僕はワクワクしながら身支度を整え、何時も通り他の人より早い朝食を取りに食堂へ向かった。


誤字修正しました。

御礼物だと云うのに……っ!(身悶え)

しかも伏線足すとかおm(ry

本当に、大変失礼いたしました;;

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