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第9話 決めたことを

 ベッドに座るマルンに対してオルコスは少し離れた椅子に座っていた。


 「入って」って言われたから入ったけど....全然何も喋らない....一体どうしたら....まあ別にこのままでマルンのためになるんならまあ....俺は別に気にしないけど...


 


 しばらく沈黙が続くなかでオルコスが考えていると、マルンが口を開く

 「今日はどうしたのかなぁ? オルコス〜...」

 マルンはいつもの明るい口調を作ってるつもりなのだろうが明らかに元気がない。少し申し訳なさそうなそんな雰囲気。


 「えっと....最近会ってないし遊びにこようかな〜....ってね」


 めちゃくちゃ嘘をついた。



 *****


 「良いこと? 言った方がいいことと、言わない方がいいことってあるの!」

 「は....はい」

 教えを説くセクレにオルコスはしょんぼりしながら返事する。

 「相手が後々損するんだったら言えばいいけど、そうじゃないなら言わなくてよし! もちろん褒めることならいいけれどね」

 

 「そっか、じゃあ基本は相手が触れて欲しいこと以外は言わない方がいいんだね」

 「そう! そうよ....! なんでコレを理解できるのにあんなことを...!」

 セクレはオルコスが理解したことを嬉しく思うと同時に頭を抱える。

 「いや....なんか少し....丸くなったような....って」

 「よくなーい!! フェルスは女の子よ! 言っていいわけないじゃない!」

 セクレはキレ気味にオルコスの頭をポカポカ叩きながら怒る。

 

 あの時はフェルスにノンデリ発言をかまして土下座させられたのを覚えてる......なぜかリアスも幼馴染責任として一緒にやらされてたな....


 「いいこと? 発言する前に自分ではなく相手がどう感じるかを考えること! そのためなら嘘も方便! わかった!?」

 「は....はいぃ」




 




 「えっとね〜。話すんだけどね———」

 そこからはマルンの話をひたすら聞いた。彼女は喋り方はいつも通りだが、時折泣きそうになりながら語っていた。


 話によるとマルンはあの母親と仲が良かった....と言うが、実際は愛される時もあれば愛されない時もある。と話を聞いてて感じた。それは悪いことをしたからではなく、気分によって母親の態度がコロコロ変わってると、彼女自身は母を好きだと言うが、そこには何か....言葉にできない歪みがあるように....そう感じた。


 「私....ママが好きなのに.....でもギルドにいたくて....わかんなくて........」

 マルンは俯き、涙を必死に抑えてることが伝わる。オルコスはなんと反応するべきなのかわからず、言葉を投げかける。

 「それは....辛かったね.....」


 ただそう言うことしかできなかった。

 「えっとね....私....どうすればいいのかな....私ってダメなのかな...?」

 「.....少なくとも....俺は別にダメなんて思ってないよ、優しいし。俺がギルドに初めて来た時に話しかけてくれたのもマルンだったろ? 俺は感謝してるんだ。とても不安で、どうすればいいかわからない。そんな時に声をかけられて、安心したんだ」


 「ほ...本当に...?」

 「うん。本当」

 マルンは不安そうに確認すると、オルコスは迷うことなく首を縦に振る。

 「難しいことだからあんまり言えることはないかもしれないけど、この気持ちだけは本当だよ。感謝してる」


 誠実で真っ直ぐな目をしたオルコスを見て、マルンは今まで抑えてきた涙がボロボロと流れ始めた。


 吐き出した感情は歪で。だけど大きく情緒を揺さぶっていた。






 〜数日後〜



 「えっと....えっとね! ママ......私まだ....ここで冒険者をやりたいの.....ここには友達がたくさんいて....私にとっての居場所なの! だから....!」

 「あら.....そう?」

 マルンは自分の気持ちを言葉にして伝えた。それはオルコスの入れ知恵なんかではない。あくまでオルコスと話して心を整理して、自分で出した答えだ。


 マルンの母親は先ほどの曇った表情が嘘のようにキョトンとすると話す。


 「じゃあしょうがないわね。というか実はあなた匹取ろうとしてる間に継いでくれる子が出てきたのよ、じゃあそういうことで」


 「え....? え....?」

 マルンは母親の豹変ぶりに恐怖する。それは捨てられるようなそんな不安、思わず彼女は反射で手を伸ばし、声を上げようとするがオルコスがマルンの肩をポンと掴む。


 「......みんなでご飯食べに行こう?」

 「.......うん.....」


 あえて母親については触れなかった。オルコスには彼女の母親がひどい人に見えた。だけど彼女にとっては間違いなく好きな....母親だったから

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