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第12話 きっとお互い様

 「号外だよ!号外!!! 魔王軍が総力を上げてきてるんだって!」


 外が騒がしく新聞をとる人たちが今日はやけに多かった。そしてその新聞をとる人達の中に、オルコスの姿があった。


 「魔王総力を食い止めるために.....勇者が応戦....!?」

  

 話を要約すると、魔王軍が総力を上げて進行し、騎士団が編成し、応援に向かう間を現場の勇者パーティだけで抑えるというものであった。


 「無茶だろ....そんなの」

 魔王軍のモンスターはダンジョンと比べ物にならないくらい強い。それに総力となると相手の数はとんでもない。前線に行く勇者は多いだろうが、それでも限界がある。確かにみんな強いけど......どうしたら....




 自分が前線に行ってみんなと戦う....いや、そんなの焼石に水だ....とても倒し切れるとは思えない....


 自分にはどうすることも....できないのか....?


 オルコスは暗い顔でギルドの前で立ち止まってしまう。

 どうしたらいい.....いや....そもそもみんなは俺を実力不足と追放した。だったらやっぱり迷惑なのか....祈ることしかできないのか.....?





 オルコスがそうやって悩んでいると、後ろから声をかけられる。

 「よおオルコス、どうした?」

 声の主はヴォドスであった。オルコスが振り向くとその表情で何かあったと悟り、肩を掴む。

 「まあギルドの前にいねえでさっさと中に入っちまおうぜ?」



 

 2人はテーブルにつくと、ヴォドスが口を開く。

 「どうした? 彼女にでも振られたのか?」


 オルコスはヴォドスの言葉に反応せず、考え続ける。

 

 言ったところで現場が変わるわけじゃない...ヴォドスさんのパーティに迷惑をかけるわけにいかないし...そもそもそれも人数的には変わらない....解決なんて...




 そう考えるオルコスであったがある言葉を思い出す。



 これは俺の独り言なんだけどさ。どうしようもない時は....人に相談してみると、少し気持ちが楽になるそうだよ....





 それはオルコスが前に、マルンに対して言った独り言であった。



 .....変わるもの....なのかな....




 「あの.....ヴォドスさん。実は相談があって——」





 そこから自身が勇者パーティに所属してたこと、実力不足で追い出されたこと、今までの行動があくまで誰かから学んだものなこと、そして今回の騒ぎに勇者パーティが巻き込まれるのを防ぎたいことなどを話した。


 ヴォドスは親身に話を聞き、そして言う。




 「お前は実力不足なんかじゃねえよ」

 「....え...?」

 ヴォドスの言葉にオルコスは困惑の表情と共に言葉を発するとヴォドスは続ける。


  「オルコス、お前の魔法はとんでもない精度の補助魔法だ。そしてその能力も、今まで見たどの魔法剣士より強い」

 「でも.....俺はAランクで、実際ダンジョンでも苦戦して....」


 「SランクやSSランクは中でも規格外、SSはあくまで上限値でそもそもいねえ。事実上の最高ランクはAランクなんだよ」

 今までギルドにいたのに、気づけなかったその事実にオルコスは驚き立ち上がる。

 「嘘...いや待ってください! だったらなぜそれを知る機会がなかったんですか...!? 」


 「さあな、まあ可能性としてはずっとAランクだったしSランク昇格は英雄的な活躍が必要だ。だから昇格の話をしてねえし、それでわかってなかったんじゃねえか?」

 「だとしても....ずっとギルドにいれば....」

 オルコスはその時、自身の考えを改めて気づく。



 *****


 この頃には「実力不足」という言葉は決してネガティブな意味だけが含まれてはなく。むしろ肯定的に受け入れていた。


 あくまで身の丈にあった通り生きれば人は幸せに生きられる。そう解釈して今を生きているのだ。





 


 そうだ....俺は自分の身の丈を勝手に決めつけてた...昇格は実力が認められれば勝手に上がると、周りの環境に委ねてしまっていた。ずっと...


 パーティのみんなの受け売りだけで、自分の意思で行動をしてなかったのかもしれない...





 「.....すみません...俺ずっと....人の言うことを鵜呑みにして、自分から....自分で選択することを恐れてたのかもしれません。俺は....きっと空っぽで——」

 


 「待て待て待て待て!! なんでそうなるちげえだろうがよ!」

 オルコスのくらい言葉をヴォドスはすぐに否定する。


 オルコスが顔を上げるとヴォドスは眼を見て言う。

 「お前の素直なところも、謙虚なところも。全部良いところじゃねえかよ!!」

 「え....?」

 「お前は誠実で真面目だ! そんな人間なかなかいねえよ! お前は俺を助けてくれた! それは事実だろ!?」


 「はい....」


 「だったらお前は良い奴だ!ただそれだけで十分なんだよ!」

 「....でも....もう、どうしようもないんです....俺の力じゃ....」


 そう言った時、ヴォドスが立ち上がると怒号のような叫びをギルド中に響かせる。


 「おいてめえら!! 話聞いてただろ!」

 その言葉と共に冒険者達が立ち上がる。


 「もちろんもちろん、こんな密会できない空間で話されたら嫌でも耳に入る」

 「真剣な話はもっと密会風にやりなよ〜」

 

 

 「み....みなさん....」

 「人手がいるんだろ?手伝うぜ?」

 「他ギルドに知り合いいるし俺聞いてみるぞ!」

 「俺も伝手だけはいっぱいあるし聞いてみるぜ〜」

 オルコスは、涙が出そうなほど胸がいっぱいになるが、それでも悩み、言う。

 


 「でも....それじゃあ皆さんに迷惑が——」

 

 「うるさーい! 普段はオルコスにみんなが迷惑かけてるからいいんだよ〜!!」

 間髪入れずにマルンがそう言うと皆が頷き、ヴォドスを皮切りに皆が口々にする。

 「俺はケルベロス討伐の時に迷惑かけた」


 「クエストに魔法剣士がいない時に無理言って入ってもらったな〜」


 「そういやトラップに引っかかった時に助けてもらったかも」


 「オイラは金借りてまだ返してない!」

 「いや返せや」

 

 「それにお前が味方を助けるために飛び込むからいつも迷惑かかってる!だから今回も同じだ!気にせず頼んじまえば良いんだよ!!!」

 皆の言葉にオルコスは少し悩むが自身の頬を思いっきり叩くと、皆の方を向くと聞く。


 「皆さん....! 協力してくれますか?」

 「「「「おうよ!!」」」



 ギルドの一同が団結した瞬間であった。

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