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死して八年、デスナイトとして蘇る。――この食い荒らされた世を切り裂き、狂った因果に復讐を  作者: Tiny Abomination in a Jar


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地底の住人は、敵だ

沈鬱な咀嚼音そしゃくおんが工坊によどみ、鉄炉の薪が爆ぜる音さえも力なく響いていたその時、地底の深淵から地響きのような轟音が突き上げてきた。地面が微かに震え、石卓の上の陶器がカタカタと震えては、飲み残しの麦酒を数滴、生贄のように零した。


一同の身体が硬直する。先ほどまでの重苦しい沈黙は、即座に剥き出しの警戒心へと塗り替えられた。次いで、工坊の入り口から急促な足音が響き、ドワーフの悲鳴が飛び込んできた。その声は、狼狽と怒りにひきつっている。


「ラクドン大師! しまった、あの鉄屑てつくずどもがまた現れました! 奴ら、地道の鉄門を粉砕して、このままじゃ工匠区まで突き抜かれます!」


ラクドンの顔色が劇的に変わった。疲弊も諦念も一瞬で消え失せ、瞳の奥に怒りの業火が宿る。彼は卓の隅に残っていた清酒の瓶を掴むと、仰向いて一気に煽った。酒が髭を伝い、粗末な作業着に粘つくような暗い染みを広げる。空の瓶を叩きつけると、彼は俺の肩を強く叩いた。その語気には申し訳なさが滲んでいたが、拒絶を許さぬ切迫感があった。


「すまん、ミン! のんびり話している時間はなくなったようだ。ここは儂が片付けにゃならん。……お前の件は後だ。またな!」


言い捨てて、彼は工坊の奥へと突き進んだ。その野太い声が、澱んだ空気を切り裂くように響き渡る。


「おい!ケイソン! クレイ! クド! それに野郎ども、ボサッとするな! 装備を固め、得物を手に取れ! 地道の入り口を死守するぞ、あの鉄屑どもを一歩も通すんじゃねえぞ!」


ケイソンがいきなり跳ね起きた。屈辱に歪んでいた顔は戦意に満ち、傍らの鉄槌をひっ掴んで応じる。「合点承知だ、大師! 今度こそあの鉄屑どもを叩き潰してやる!」 クレイも麦餅を放り出し、クソを追って装備棚へと駆け出した。顔の煤さえ拭おうとはしない。留守を預かっていた職人たちも次々と持ち場を離れ、甲冑が擦れる不吉な金属音と、統制の取れた足音が工坊を満たした。


俺は即座に立ち上がり、ラクドンの腕を掴んで制止した。


「待て、ラクドン! そんなに焦るな。一体何が起きている? 鉄屑ってのは何だ……俺たちも手を貸す。シルヴィアもクレアも、戦力としては十分なはずだ」


シルヴィアも音もなく立ち上がり、指先を腰の短刀に添えていた。黒い瞳は鋭く、狼耳は地底から這い上がる不穏な音を捉えるべく直立している。クレアもまた細杖を握り締め、不安を湛えながらも確かな決意を瞳に宿して頷いた。


「ええ、マスターラクドン。私たちにも手伝わせてください。水臭いことは抜きです」


ラクドンは足を止め、俺たち三人を見据えた。凝固したような苦悶が眉間に刻まれ、その声には拭いきれない忌まわしき記憶が混じっていた。


「……よかろう。助太刀してくれるというなら、包み隠さず言おう」


彼は眉間を強く揉み、死線を彷徨った過去を反芻するように言葉を絞り出した。


「十年前の大戦の後だ……誰も予想しなかった。あの戦いの戦火と、数多の断末魔が、地底の連中を呼び覚ましてしまった。バラックザーの最深部、儂らさえ知らなんだ深淵の住人をな」


「奴らを食い止めるため、儂らはかつて築き上げた防衛線をすべて放棄せざるをえなかった。この数年、獣人の残党に備える一方で、地底への警戒も一日たりとも欠かしたことはない。今回の地底通路を穿った際も、奴らの活動領域を避けてルートを変えた。奴らを再び刺激するのを恐れたからだ」


「地底の住人?」俺は眉をひそめた。「ドワーフがそこまで忌み嫌い、避けて通るものとは、一体何なんだ?」


ラクドンの顔がさらに険しくなる。彼は奥歯を噛み締め、一文字ずつ叩きつけるように言った。 「正体は分からん。だが奴らは、儂らドワーフに似た形をしておる。体格こそ同じだが、その肉体はすべてが鋼筋鉄骨。肌は黒曜石のような無機質な質感を帯び、並の兵刃では傷一つ付かん。儂らは奴らをアイアン・ドワーフと呼んでおる」


「遠巻きに見たことがあるが……奴らも言葉を発する。だが、対話など微塵も通じん。交渉も警告も無意味だ。奴らは壊れた機械のように、ただ一つの言葉を繰り返す。……『排除……反逆者……排除』と」


彼は腰の重槌を握りしめた。関節が白く浮き上がる。


「この数年、奴らは時折這い出しては工坊を襲い、多くの仲間を殺した。儂らが必死に抗ってようやく退かせているが、根絶やしにする術はない。奴らが地の底のどこに潜んでいるのか、そして、奴らの言う『反逆者』が誰を指しているのかさえ……儂らには分からんのだ」


言葉が終わるか否かのうちに、先ほどよりも激しい轟音が響いた。地面の震動は殺意を伴い、工坊の蛍光石の灯りが激しく明滅する。遠くからは、ドワーフの悲鳴と、肉が潰され金属が砕ける惨烈な音が聞こえてきた。


ラクドンの表情が強張る。彼は俺の手を振り払い、短く吠えた。


「悠長に話している暇はねえ! 奴らが来たぞ! ミン、そして娘さん方、本気で加勢してくれるなら……ついてこい!」


彼は躊躇なく工坊の入り口へと走り出した。 「全員、持ち場を死守せよ! あの鉄屑どもを、一歩たりとも先へ進ませるな!」


俺はその後ろ姿を見送り、次いで西ルヴィアとクレアに視線を送った。短刀の柄を握りしめる。アイアン・ドワーフ、排除、反逆者……謎が渦巻くが、今はそれらを解き明かす余裕などない。


シルヴィアは工坊の側門を凝視し、冷徹に言い放った。


「どうやら、休息はここまでね」


クレアが頷き、聖器に淡い藍色の光を灯す。


「行きましょう。これ以上、無慈悲な犠牲を出すわけにはいきません」


俺は深く息を吸い込み、瞳の奥に冷たい決意を宿した。


「行くぞ!」


兵刃のぶつかり合う音、怒号、そして岩盤を砕く地響きがバラックザールの工匠区に吹き荒れる。地底のアイアン・ドワーフによる襲撃——突如として幕を開けた戦い。そして、奴らが断罪せんとする「反逆者」の正体を知る者は、まだ誰もいなかった。

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