ようこそ!バラックザーへ!
夜明けの楔が天幕を裂く時、俺たちは既に坂道の隘路に踏み込んでいた。
暁色が滲む空の下、蒼江の水脈が天辺の天山麓から轟々と奔り出す —— 融雪水が岩肌を抉り、渦巻く濁流に氷解けの砕片を巻き込み、千丈の崖から落ちて白い沫を上げ、その轟音は峡谷全体に轟き渡り、耳の奥まで震わす。「滝」というには広すぎる水勢が、大地を割るように南下し、几の字の湾を描く際には岸辺の岩肌を削り、数百年の間に切り立った絶壁を喰い出した。
俺たちの進む道は、その絶壁の脇に細く刻まれた僅かな山道だ。道の難しきがここに極まる —— 道幅は馬一頭がかろうじて通れる程度で、路面は湿った緑のコケに覆われ、崖側には手すり一つない虚空が広がり、一歩踏み外せば蒼江の濁流に飲まれ、骨の片鱗も残らない。崖壁は垂直に立ち、風化した岩片が時折、上部からザラリと落ちてきて、馬が驚いて鼻を鳴らす。手綱を握る指は白くなり、蹄は岩肌に滑りそうになりながら、細い道をかじりつくように進む。
夜明けの柔らかな光も、この峡谷には届かない。上空は絶壁に挟まれて一筋の青に狭まり、僅かな光が崖の隙間からささやかに降り注ぎ、路面の水たまりに歪んだ影を映す。空気は湿った冷気に満ち、江潮の塩気と腐葉の悪臭が混ざり、深呼吸すると喉の奥まで凍るような冷たさが刺す。
シルヴィアの漆黒の三度笠は崖壁の陰に溶け、狼耳は常に豎てられ、上方の岩音や背後の風の変化を嗅ぎ分けている。彼女の馬は足元を滑らせるたび、たづなを締めた手が一瞬、白くなるが、黒い狩装束の身姿は崖辺に密着し、道を切るように前へ進む。
「この道、ドワーフが掘ったのか? 猿でも通れぬクソ道だ」
彼女の声は崖の反響に削られ、低く苛立たしげに響く。だが、手綱を握る指先は凍りついたように微塵も緩まない。
クレアの青白の笠は僅かな光の中で柔らかな色を放つが、彼女の眉はずっと微かに蹙られている。浅灰色の騎乗服の袖は崖壁に擦れ、細かな裂け目が入り、腕の肌には小石で擦った紅い痕が浮いているが、彼女は一声も文句を言わず、馬の速度を調整し、俺たちの後列を守る。時折、上方から岩片が落ちてくると、彼女は細杖を素早く振り、淡い光の盾を張って岩片を弾き飛ばす —— その動作は繊細だが、慌てる様子は一つもなく、旅の疲れが滲む瞳には、確かな決意が宿っている。
俺は先頭で馬の手綱をぎゅっと握り、道の先の曲がり角を一つ一つ確かめる。蹄がコケを踏むたびに、ベトッとした音が響き、崖下から上がってくる蒼江の轟音が耳鳴りのように続く。時には水鳥の奇声が峡谷に響くが、それ以外には俺たち三人三馬の息遣いと蹄音、岩片の落下音だけが、この閉じた世界に響き渡る。
山道は三時間ほど続き、やがて絶壁の上に出た時、眼前に広がったのは砂漠と高原が渦巻く苛烈な風景だ。
蒼江は峡谷を抜け、ここで一気に幅を広げ、砂漠の干いた土地に潤いを与えるが、その代わりに風の勢いが倍増する。北からの風は高原を渡り、砂漠の砂粒を卷き上げ、砂嵐となって俺たちに襲い掛かる。青白と漆黒の笠の縁が風に煽られ、銀髪や笠の薄衣がなびき、馬は眼をつぶって鼻を隠す。砂粒が笠の隙間から入り、肌に刺さり、錆びた針で刺されるような疼みが走る。
ここからの道は、峡谷の山道とは別の苛しみだ。地面は砂と礫が混ざり、馬の蹄は深く沈み、一歩進むごとに大きな力を使う。高原の傾斜は緩やかだが、無限に続き、地平線にはぼんやりと黒い山脈の輪郭が見える —— それが巴拉克扎尔の守る高原の果てだ。空気は次第に薄くなり、息をするたびに胸が締め付けられ、馬も息切れをして蹄のスピードが落ちる。太陽は暁色から灼熱の黄金色へと変わり、頭上に焼きつき、地面の砂礫は熱を帯び、靴底から焼けるような熱さが伝わる。
凌汛の痕跡はこの高原にも残っている。道端には氷解けの大きな砕片が散乱し、太陽の光を反射して刺すように輝くが、その冷気はすぐに砂漠の熱に溶け、水蒸気となって空に昇る。湿気と乾燥が混ざった異様な空気が、喉の奥を渇かせ、クレアが水筒を取り出して俺たちに分ける時、水はすでにぬるくなっていた。
正午を過ぎ、太陽が頭上に到達した時、俺たちはついに高原の中腹に立った。
風の勢いが少し和らいだこの場所から、遠くに几の字の江湾全体が見渡せる。蒼江と澜江の水が交わる地点では、白い浪が轟々と立ち、凌汛で増した水勢が砂漠の土地を浸し、褐色と濃い緑が斑に混ざった風景を描く。そして、高原の中心部、大地に深く掘り込まれた黒い溝のような痕跡が見え始めた —— それがドワーフたちが移山して掘った地底の道、巴拉克扎尔への入り口だ。
空気中の鉄臭さはここに至って、濃厚になり、鍛冶場の鉄鉱石の臭い、溶鉱炉の熱い煙の臭い、さらには地底の湿った土の臭いが混ざり合って、俺たちの鼻を刺す。砂嵐が遠くの地平線に渦巻いているが、巴拉克扎尔の方向には、僅かな黒い煙が立ち上がっている —— それはドワーフの鍛冶場が営まれている証だ。
馬は疲れて蹄を停め、鼻を鳴らす。俺たちは下馬し、少し休憩を取る。シルヴィアは笠を少し上げ、周囲の音を探り、翡翠色の瞳瞳にはバラックザーへの警戒が宿っている。
クレアは馬の首をなで、疲れた瞳で遠くの黒い溝を眺める。俺は背中のヴェサリオの残酷を手で触れ、鉄の冷たさが手のひらに伝わる。
これまでの道の苛しみ —— 峡谷の絶壁、高原の薄い空気、灼熱の太陽 —— すべてがここまで俺たちを試し、そしてついに、ドワーフの主城への扉が眼前に開かれつつある。
地平線の黒い山脈が静かに俺たちを見つめ、バラックザーの地底からは、鍛冶の槌音のような低い轟音が、風を介してかすかに届いてくる。
俺は水筒を最後に一口飲み、馬の手綱を握る。「まだ道は残っている。落ち着くな」
シルヴィアは短く頷き、短刀の柄を確かめる。クレアは十字架の聖印を握り、淡い光に灯す。
三人三馬の影は、灼熱の太陽の下で短く縮まり、そして再び蹄を踏み出す。深く掘り込まれた地底の道へ。




