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死して八年、デスナイトとして蘇る。――この食い荒らされた世を切り裂き、狂った因果に復讐を  作者: Tiny Abomination in a Jar


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日記

コーシーが手下を引き連れて現れた。雨脚が激しく地面を叩き、巷路はすっかり泥沼と化している。レグは泥まみれになりながら、ぎこちない手つきで遺体の片付けを手伝っている。大きすぎる兵士用の外套を着せられ、裾が泥に引きずられて汚れているのに、少年はそれを気にする余裕もない。鉄のシャベルを握る手は小さく、腕に力が入らず、遺体を引っ張るたびに足元を滑らせる。その姿は、無理やり大人の服を着せられた子供のようで、滑稽ですらあった。周囲の兵士たちは口々に冗談を飛ばしているが、レグは頭を下げたまま、黙々と働き続けている。

「金は公金に回せ。残りはボブたちに分配しろ。後のことはお前が考えろ」

俺はコーシーからエイドリアンの住む場所に聞き出した。俺は路地裏の小道へと足を進めた。雨が視界を曇らせ、靴底からは泥の音が鳴り響く。街の北東端にある別荘、俺は剣の柄で扉を蹴り破り、中へと踏み込んだ。

地下室には、雨の匂いすら届かない。埃を被った石畳の床には、朽ちかけた木箱が転がり、天井から垂れ下がる蜘蛛の巣が、細かい塵を捕らえている。奥の方には木製の棚が並び、その上には、金塊が重々しく並んでいる。金塊同士が擦れ合い、薄暗い光の中で鈍い輝きを放っている。その傍らに、一冊の黒い手帳と、淡い青白い光を放つ留影石が置かれていた。手帳の表紙は革製で、角が擦り減り、指で触れるとホコリが舞い上がる。留影石の光は、周囲の暗闇をわずかに照らし、その表面には微かな模様が浮かんでいる。

「日記か……。まともな奴は日記なんて書かないもんだがな」

俺は独り言を吐き捨て、手帳を開いた。紙は脆く褪色し、インクの跡が滲んでいる部分もある。最初の文字は清らかで力強く、だがページを捲るごとに、筆致はだんだん乱れ、やがて陰鬱なものへと変わっていく。

【聖歴182年、三月七日。晴れ】


『今日、伯爵様の御前で騎士に叙階された。俺は下層の雑巾売りの息子だったのに、伯爵様が俺の剣術を見込んでくださった。母さんは泣きながら俺の肩を叩いてくれ、「レグニッツを守って」と言った。俺は誓った。この街の下層の人々が、もう飢えることなく、もう貴族の私兵に踏みつけられることなく生きれるように、俺の剣で守る。伯爵様は「お前は俺の目として、この街を見守れ」と言ってくださった。俺は幸せだ。』


【聖歴182年、十月十九日。曇り】


『上層からの納入金が来た。伯爵様の執事が「月に五十枚の銀貨を集めろ」と言う。採石場のドワーフたち、市場の商人たち——俺が守るべき人々に金を取り立てるのは辛い。だが執事は「これが伯爵様の命令だ。お前が集めなければ、代替の騎士が来る」と脅す。俺は最初の銀貨を取り立てた。商人のおじさんが悲しそうに俺を見る眼神が、頭から離れない。』


【聖歴183年、四月三日。雨】


『市場のブタ屋が俺に銀貨を渡した。「騎士様、これで少しは……」と言う。彼は納めるべき銀貨以上の分をくれた——いわゆる「挨拶料」だ。俺は最初は返そうとしたが、手が止まった。この銀貨があれば、母さんの薬代がまかなえる。執事が来た時、俺はこの銀貨を隠した。伯爵様には規定分の金だけを渡した。誰も知らない。ただ、心がざわつく。』


【聖歴183年、十一月五日。晴れ】


『伯爵様に金を届けた時、彼は俺に二本の金塊を渡した。「お前の働きは認めている。これはお前应得のものだ」と笑ってくださった。金の重みが手に伝わる瞬間、前に感じていた罪悪感が消えた。俺は伯爵様のために働いているのだ。これは報酬だ。自堕落になるのかもしれないが、金があれば、俺は騎士としての立場を守れ、母さんも安心だ。明日から、「挨拶料」を積極的に受け取るつもりだ。』


【聖歴184年、七月二十一日。曇り】


『単なる挨拶料では足りない。伯爵様の要求が増える一方だ。俺たちは商人たちを騙すようになった——商品を落としたとか、通路を塞いだとか、理由をつけて金を取る。反抗する者は、私兵に連行してしまえばいい。今日も、市場の獣人フーリが反抗したので、腕を折ってしまった。彼の泣き声はうるさかった。だが、金が集まればそれでいい。母さんはもう、俺のことを問わない。』


【聖歴184年、九月十日。雨】


『イサンという獣人フーリを殺した。採石場の頭目だ。こいつが「伯爵様の金は奪いすぎる」と煽って、ドワーフたちと獣人たちに抵抗させていた。俺たちは夜陰に潜み、彼を「泥棒」と濡れ衣を着せて追いかけた。崖から落とした時、彼は「俺は無実だ」と叫んだ。だが、無実だろうと何だろうと、反抗者は死ね。彼の妻が哨所に来て鬧げたので、一緒に閉じ込めた。おそらく、出てくることはないだろう。』


【聖歴185年、十月~聖歴186年、一月。無記録】


(紙面は空白で、一部に折り目や汚れが残っている。)


【聖歴186年、二月二十八日。雨】


『聖都から流放された男が来た。名前も知らないが、一晩で伯爵様を殺した。監獄の私兵、市場の目付け役——俺の手下たちも、彼によって一掃された。看守所も大騒ぎになり、以前の権力網は全部崩れた。


おかげで、今後は伯爵様に金を上げる必要がなくなった。手間は省けるかもしれない。


だが、その男は何を考えているんだ? 伯爵を殺せばこの街が変わると思っているのか? 愚かだ。上層の欲は消えない。伯爵がいなくても、新しい伯爵が来て、新しい搾取が始まる。この街は泥の中に浸かっているんだ。誰も救えない。


彼はただ、俺たちの安穏を壊しただけだ。该記述はそこで途切れていた。最後のページの端は、涙で滲んでいる痕跡が残っている。


俺は日記を閉じ、留影石に魔力を流した。淡い光が膨らみ、空中には、まだ澄んだ瞳をした少年騎士と、その両親が並ぶ全家福ぜんかふくが浮かび上がった。少年の胸には、銀色の紋章が輝いている —— 今日俺が砕いた、エイドリアンの騎士紋章だ。少年は笑っている。母親は少年の肩に手を置き、父親は胸を張っている。背景には、レグニッツの街並みが見えている。当時の街も既にこれほど泥臭かったが、少なくとも彼らは幸福に溢れていた。


俺は無造作にその石を床に落とした。パリン、と軽い音がして、石は砕け散った。全家福の幻影は一瞬の間に霧散し、ただの石屑へと戻った。暗闇の中に、光の残像が残るだけだ。

「…… 良い奴から死んでいき、残ったのは泥人形だけか」

俺は低く呟く。声は、地下室の静寂に飲み込まれる。

俺は棚にある金塊をいくつか掴み、外套のポケットに放り込んだ。金の重みが、腰に沈むように感じられる。エイドリアン。お前を殺したのは俺の剣だが、お前を壊したのはこの街の濁った空気だ。この街の、上層の連中の欲に、お前は蝕まれていた。俺はただ、お前の苦しみを終わらせただけかもしれない。

俺は地下室を後にした。階段を上がり、扉を開けると、地上では、相変わらず冷たい雨が降り続いていた。雨が顔に打ちつけ、鎧がずぶ濡れになる。だが、ポケットの中の金塊の重みが、俺の凍えた胸の奥で、皮肉なほど力強く脈打っていた。

この金で、何ができるだろうか。この街の泥を少しでも洗い流すだろうか?

俺は雨の中を歩き出す。靴底から泥の音が鳴り響く。レグニッツの街は、雨の中で、静かに喘いでいる。

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