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死して八年、デスナイトとして蘇る。――この食い荒らされた世を切り裂き、狂った因果に復讐を  作者: Tiny Abomination in a Jar


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雨に濡れた真実

一度は背を向けたはずだった。  だが、昨日あの兄妹が残した言葉が、錆びた釘のように脳裏に刺さって抜けない。俺はルルを宿に残し、雨の降る夜に出た。




「二日戻らなければ、コーシーのところへ行け。あいつに『ミンは死んだ』と伝えろ」




 それを聞いた彼女は、俺を失うのを恐れたかのように、俺の腕を強く掴んだ。その沈黙が、今の俺には心地よかった。




 街の端にある採石場。ラグが言っていた場所だ。  雨音に混じって、下卑た笑い声と罵声が聞こえてくる。




「下賤な獣人フーリが。レグニッツはお前らのような田舎者が来るところじゃないんだよ」 「見ろよ、こいつ犬の面してるくせに、今じゃ本物の犬みたいに這いつくばってやがる。ハハハ!」




 泥まみれの地面に、一人のフーリが倒れていた。男たちがその頭を踏みつけ、泥水を飲ませている。 「俺の靴を汚しやがって。この靴一足で、お前の家族全員の命が買えるんだぞ。分かってんのか?」




 フーリは一言も発さなかった。だが、金の話が出た瞬間、彼は顔を上げ、男たちをじっと見つめた。その目には、絶望の奥に沈んだ、消えかけの火のような意志があった。




「なんだ、反抗するか? おい、兄弟、こいつを教育してやれ!」




 一人が棍棒を振り上げた瞬間、俺は霧の中から踏み出した。漆黒の刃が一閃し、先頭にいた男の首が地面に落ちた。切り口から噴き出した血が、男の自慢の靴を真っ赤に染める。




 笑い声が止まった。  俺は止まらなかった。流れるように刃を振るい、そこにいた『人間』どもを肉の塊に変えていく。まるで蟻を潰すような手応えだった。背中の蓮の刺青が、雨夜に深い青色の光を放つ。




 俺はあいつに、誰が自分をいじめ、金を盗んだのかを一人ずつ指摘させた。そして、その順番通りに殺した。  最後に残ったのは、あの緑色の怪物——強欲なゴブリンの職長だけだった。




「初めまして、ゴブリンさん」  俺はボブの方を向いて尋ねた。 「何をされた? ……そういえば、名前は?」




「ボブ……ボブ・ファングトゥースです」




「ああ、ボブ。何があったのか教えてくれ」




「……あいつは、仕事の後に俺たちに賭け事をさせたんだ。でも、亜人である俺たちには勝ち金の持ち出しは許されなかった。ドワーフもだ。人間だけが、勝ち金の一割を貰えた。俺は……母さんの病気を治す金が必要だった。だから、賭け事には参加しなかったんだ」




「それが、いじめの理由か。本当に理解できないな。どうしてみんなで協力して、その太った緑の肌の豚を殺さなかったんだ?」




「殺さないで! 殺さないでくれ!」  緑の豚が叫んだ。 「全部話す! 私はただの職長なんだ! 金は……金は全部、守護騎士エイドリアンの手の中にあるんだよ!」




 あぁ、分かった。  俺はこの街の伯爵を殺し、子爵を殺した。源流を断てば、苦難は消えると思っていた。  だが、俺は間違っていた。




 俺が次に向き合うべきは、一人の騎士だ。  教皇の前で民を守ると誓い、その証である叙勲を受けたはずの男。その男がやっているのは、異族をいたぶり、弱者の骨を叩き割る仕事だ。




 権力者がいなくなっても、底辺に溜まった悪意は消えない。むしろ、より濃く、より醜く、残された者たちを蝕んでいく。




 俺は血濡れの大剣を向けた。  騎士の鎧に刻まれた紋章が、月光に照らされて虚しく輝いている。




「騎士……だと?」




 俺は剣先を突きつけた。 「その誓いと一緒に、地獄へ持っていけ」




 俺は踏み込んだ。  雨は激しさを増し、泥濘はすべてを飲み込んでいく。この街の汚れを洗い流すには、まだ、血が足りなかった。

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