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お友達が2人できました



 無事に換金を済ませ、武器屋で投げナイフを数本買い、それをしまうポーチも手に入れたことで、だいぶ私も格好ついてきたのではないか。まだ初心者感は拭えないだろうが、気分的にすごく自分が強くなったような感覚になった。


 さてさて、進化を遂げた私が次にすることは、もう一度森で魔獣狩りをすること……ではなく、ダンジョン巡りである。


 ここで解説。ダンジョンとは。

 このゲームの世界に点在する遺跡の総称である。ダンジョンを攻略することによって、そのプレイヤーは種族に合った様々なバフを永久的に受けることができるのである。例えば私の場合、種族が仙人なので、仙術的な力が扱えるようになる。しかし完璧に使えるようにするにはこの世のダンジョン全制覇を目指すくらいの気概でないと無理なので、手段の一つとして欲しい私としては見つけたら攻略しようくらいの心持ちである。つまり平たく言って仕舞えば、攻略すればいい感じにちょっと強くなるよ、もしくは使える力が増えるよ、という感じだ。


 そしてここからがダンジョンの面白いところなのだが、なんと、攻略したダンジョンは自分の住処にできるのだ。そこに自由に出入りし生活できるので、大体の人はレベルが上がったらダンジョンを探しに行くのだそう。


 ただ、この制度だといずれダンジョンがなくなって後から来た人は攻略するものがなくなってしまうのではないかと思うが、そうではないらしい。このダンジョンは他人から奪うことができるので、他のプレイヤーが攻略したダンジョンをこちらが攻撃し奪うことができたらそのダンジョンは自分のものになる。なのでダンジョンを攻略し終えたらそのダンジョンを攻撃してくるプレイヤーから防衛する必要があるのだ。つまり常に陣取りゲームみたいなことしてるようなもんだと思えばいい、と教わった。情報提供はミナヅキです。いつもありがとう、心の友よ。


 ちなみにギルドというチームを組むこともできるので、一つのダンジョンをギルド全体で使う人たちもいるんだとか。私もいつか自分のギルドを持ってみたいものだ。もし結成するならメンバーにはミナヅキを引き摺り込もう。


 さて、解説パートがずいぶん長くなってしまったが、その間も着々とレベル上げは進めている。こういう地道な作業は無心でやれるから割と好きだ。ちなみにダンジョンは見つかっていない、というか建造物自体見当たらない。この世界にはもしや町と森以外何もないのかと疑うくらいには見渡す限りの大自然である。


 割と諦めかけていたところ、何やら揉め事でもあるのか騒がしい声が耳に飛び込んできた。おそらくちょっと先の道で口論になっているのだろう、野次馬根性で覗けば、そこには超絶可愛い気の強そうな美少女に絡むクソ野郎……じゃなくてオニーサンが2人。


 会話を盗み聞けば、典型的なナンパだった。ゲーム内でいくらでもアバターいじれるのになんでナンパなんかしてんだ、中身おっさんの可能性ももしかしたらあるかも知れないのに。


 そう言ってやりたい気持ちは山々だったが、それを言った途端蜂の巣になるのが目に見えてたのでグッと堪え、どうすれば絡まれてる美少女を助けられるかと思考を巡らせる。


 私も見た目は一応美少女、変に間に割って入っても追い払うのは難しい。ならば美少女だと感じさせる間も無くオニーサン共に一撃喰らわせればいいのでは?


 やることは決まった。未だにナンパを続けているオニーサン2人の背後にできるだけ気配を消して忍び寄り、柄を上に持った短剣を左手に、短剣の鞘を右手に構える。2人の足の間にそれぞれ持っていき、一気に真上へ振り上げた。


「ふんっ」


オニーサン共の汚い絶叫が少し遅れて辺りに響く。


 反対に辺りは静まり返り、絡まれていた美少女も呆然とこちらを見つめている。しかし、彼女は数秒細かく肩を震わせたかと思えば、気持ちいいくらいに大爆笑し始めた。それが呼び水となったかのように、辺り一体は笑いの渦に包まれる。


 そのとき、野次馬を掻き分けて1人の青年が出てきた。


「っ兄様!」

「ツララ、何があったの? 大分騒ぎになってたけど……」


 どうやら青年は絡まれ美少女ちゃんーーー名前はツララだと思う。そう呼ばれてるしーーーのお兄さんだったらしい。


「あのね、さっきまでそこで伸びてるクソ野郎共にナンパされてたのだけど、そこのお姉さんが助けてくれたのよ。短剣の柄と鞘でアイツらの金玉殴っててね、見てるこっちも爽快だったわ!」


 ツララは私の方を見てお兄さんに報告していた。改めて状況を説明されると、かなり暴力的な手段をとってしまったかもしれない。話し合いを先にするべきだっただろうか。

 というか、話し方はお嬢様然としているのにかなり口が悪いなこの子。


「そうだったんだね。ところで、お礼はちゃんと言ったかい? そのお姉さんに」

「あ、まだ言ってない! 助けてくれたのにお礼を忘れるとこだったわ」


 そう言ってこちらに歩いてくる2人。


「あの、先程はありがとうございました! とても助かりました。あたし、ツララって言います。お姉さんのお名前聞いてもいいですか……?」

「あ、ど、どういたしまして。ツララちゃん? 私はイナ、よろしくお願いします」

「ツララで、呼び捨てで大丈夫です! あと、敬語も無しで全然」

「そ、そう? じゃあ改めて、よろしくね、ツララ。私も敬語なしで、呼び捨てでいいよ」

「わかったわ! ありがとうイナ、よろしく!」


 ツララはかなり人との距離を詰めるのが早いらしい。一瞬でタメ口呼び捨ての関係作れるコミュニケーション能力を心底羨ましく思う。


「あ、こっちがあたしの兄の……」

「セツです。イナさん、妹を助けてくれてありがとうございました」

「い、いえいえ! そんな大したことじゃないので……セツさん、頭上げてください」


 かなり深々と頭を下げられてしまい、逆にこちらが申し訳なくなってくる。わたわたと手を彷徨わせながらなんとか頭を上げてもらった。


「お礼と言ってはなんですが、何かお手伝いできることがあれば全然手を貸すので、ツララも一緒に呼んでください」

「そうね! イナ、何かあたし達が手伝えることってあるかしら? 素材集めお使い雑用なんでもいいわよ!」

「いや流石に申し訳ないし、本当に大したことしてないからね。あ、でもフレンドにはなって欲しいかも。ツララとセツさん両方」


 フレンド欄はまだ1人の名前しか表示されておらずかなり寂しいため、ここで2人と折角関係を持てたのだからフレンドになっておきたい。そうすれば何か連絡を取りたい時にすぐ取れるから。流石に雑用頼んだりするのはちょっと腰が引けるしね。


「もちろん良いわよ! あと、兄様に敬語は使わなくて良いんじゃない? 敬称もつけなくて良いと思うわ」

「そ、そう? えーと、じゃあ、セツって呼ばせてもらうね? 私のこともイナって呼んで。敬語も無しでね」

「わかったよ。改めまして、僕はセツ。これからも妹と仲良くしてくれたら嬉しいな。よろしくね、イナ」


 すごい。今日だけで3人の人と仲良くなることができた。


 内心かなり浮かれつつ、しかしそれを表には出さないようにして友達になったばかりの兄妹と雑談を続ける。


 本来の目的であるダンジョン探しをすっかり忘れ、そしてミナヅキへの謝罪のメッセージも忘れた私は、2人とも解散して一区切りついたためゲームをログアウトするのだった。



本当に遅くなりました。大変申し訳ございません。書きかけにも関わらず別作品の設定を練るのが楽しくてそっちばかり手をつけてしまいました。すみません。

誤字脱字等ございましたら優しくご報告してもらえると嬉しいです。ちくちく言葉はご遠慮ください。

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