「とりあえず敏捷性に全部振ってきます」
掲示板の会話がございます。
文字数めちゃめちゃ増えました。何ででしょう。それなのに文章を書くのが下手になってます。いつか改稿するかもしれません。いつも以上の駄文となっていますので、生暖かい目でご覧くださいませ。
先程ミナヅキに教えてもらったことを脳内で反芻しながら街の外に向かって歩く。街の外には森があるらしく、そこで現れる魔獣という生物、つまり敵を倒すことでレベルを上げられるらしい。レベルが上がればステータスも上がるのでレベルは高い方が何かと得なのだとか。しかも倒した魔獣の素材を売ればお金にもなるし、売らなくてもその素材を工房という施設に持ち込めば自分の職業に合う装備や武器を作ってもらえるらしい。
なんか弱そうな魔獣を倒してお金を手に入れることを目標に動こうと考えた私は、森のそんな深くないところならば強い敵とかは出てこないだろうと予想して入り口付近をうろうろと徘徊、もとい索敵していた。しかし、私はどんな魔獣が弱いと分類されるのかをよく知らない。なので、サイズが小さく、単独で行動し、頭の悪そうな魔獣を中心に倒していこうと考えた。
そうこうしているうちに、私はちっちゃい鳥みたいな生物を発見した。最初は魔獣でもなんでもない鳥だと思ったが、よく見ると足が3本あった。思わず八咫烏かよ! とツッコミを入れてしまった私は悪くないだろう。大声を出してしまったせいで八咫烏(仮)に気づかれ、先手を取られてしまったのも私は悪くない。これは八咫烏(仮)の足を3本にしたゲームの開発者さんが悪い。
だいぶギャグチックな入りだが、私にとって初の戦闘が始まった。戦い方の知識なんて一般ピーポーの私が持っているわけもなく、何か攻撃手段はあった方がいいかという浅い考えで初期装備の短剣を利き手に構えた。
先手は八咫烏(仮)。頭上から私の頭に向かって突進してきた。恐らく嘴で頭をつつこうとしているのだろう。私は反射的に短剣の刃を上に向けて構えた。その直後、何故か八咫烏(仮)が私の短剣に向かって勢いよく突っ込み、串刺しになってしまった。勢いを殺せなかったのだろうか、それとも直前まで本当に短剣に気づかなかったのだろうか、などと考えながら少し呆気に取られてしまった。
しかしなんということだろう。私の初戦闘は、ただ短剣を相手の方向に向けただけで相手が勝手に突き刺さったために、八咫烏(仮)の自滅による勝利、というなんとも締まらない形になってしまった。鳥というのはここまで頭が良くないものなのか。
それはさておき、初心者の私でも倒せたんだから恐らく雑魚と呼ばれるレベルの魔獣なんだろう。お金にはならなそうだけど、変にダメージを受けても回復手段なんてわからないのでちまちま地道に見た目だけは小動物の魔獣を狩り続けていた。
尻尾が2本の猫だったり、半透明の蛇だったり、第三の目が開眼しているウサギだったりと、見ようによっては可愛らしいと感じる人もいるかもしれない見た目をした魔獣を倒すのにも慣れてきた頃。レベルが上がったのか確認するのを忘れていたことを思い出した。周りに魔獣がいないのを確認して、私はステータスを見ることができる画面を開く。
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名前 イナ
レベル 6
種族 仙人
職業 短剣使い
筋力 30
体力 30
知性 30
敏捷性 30
器用 30
魅力 30
保有ポイント 10
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「あ、レベルアップの通知とかないんだ……」
思わず口をついて出てしまった言葉と共に、自分のステータスを順番に見ていく。保有ポイントというものはよくわからないが、多分レベルアップした数×2ポイントを手に入れられるのだろう。一旦ステータス画面を閉じて、掲示板で調べてみることにした。勇気を振り絞って目についたスレッドをタップする。今こそ私のカスみたいなコミュニケーション能力を発揮する時……!
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【初心者】あなたの質問にざっくり答えますPart26【必見】
1:名無しのスレ主
誰かを傷付けるような発言は控えましょう。
初心者さんには優しく対応しましょう。
荒らしは変に反応せずに即通報してください。
次スレは>>950が立ててください。
………
517:名無しの短剣使い
最近始めたばかりの新参者です。質問いいですか。
518:名無しの弓使い
お、初心者さんかな?どうぞー
519:名無しの短剣使い
初心者で短剣使いかー。人口が増えてきて嬉しい限り
520:名無しの槍使い
断りとか入れずに質問していいからねー
521:名無しの短剣使い
ありがとうございます。質問です。保有ポイントって何ですか?またどのように使えばいいかも教えて欲しいです。
522:名無しの魔法使い
わかるー。保有ポイントとか最初意味わかんなかったわ
523:名無しの弓使い
保有ポイントはステータスに自由に割り振れる数値だよー
ステータスを開いて割り振りたい項目をタップすれば使える
524:名無しの槍使い
上がったレベルの2倍の量が貰える
レベルが1上がったら2ポイント、3上がったら6ポイントってな感じで
545:名無しの短剣使い
一つの項目に注ぎ込むんじゃなくてバランスよく振るのがおすすめ
546:名無しの短剣使い
皆さんありがとうございます。今10ポイント持ってるので、とりあえず敏捷性に全部振ってきます。
547:名無しの短剣使い
どういたしまして〜って、え!?w
548:名無しの槍使い
>>545のアドバイス全無視じゃんwww
549:名無しの弓使い
これは大物新人かもしれんなぁ笑笑
………
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求めていた回答が得られた瞬間私はお礼の言葉を投稿して、即座にスレッドを閉じた。
スレッドを開いている間ずっと心臓が口からまろび出るかと思うくらい緊張しっぱなしだった。しかし、これは私史上最大の快挙かもしれない。今までだったら絶対にできなかったであろう、見ず知らずの他人に質問するという行為を、匿名掲示板というものを介してだが行えるようになったのだ。これはミナヅキと会話をしたおかげだろうか。
それはさておき、スレッドでの宣言通りに私が割り振ったステータスはこうなった。
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名前 イナ
レベル 6
種族 仙人
職業 短剣使い
筋力 30
体力 30
知性 30
敏捷性 40
器用 30
魅力 30
保有ポイント 0
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先程のポイントは全て敏捷性に振ってしまったが、これからレベルが上がって保有ポイントが増えたらその時はちゃんとバランスよく振るつもりだ。スレッドにいた先輩短剣使いさんのアドバイスは今後生かさせてもらおう。念のため、先輩短剣使いさんには心の中で謝っておいた。
まあその話は置いといて。レベルが上がってステータスも敏捷性だけとはいえ上げたので、戦いやすくなったはずだ。ここからはじゃんじゃん自分より弱い魔獣を倒してレベルを更に上げていこう。自分より強いと怖いが、弱いならば問題ない。ゲームだし相手は敵と分類される生物なので弱いものいじめをしても心は痛まない。当面はある程度まで強くなれたらいいのだから、無理して強者に挑みに行くつもりはない。卑怯だ臆病だなどと言われたとしても私は確実に勝てる相手だけに勝負を挑みに行くからな。
相変わらず誰に向けているのかわからない宣言をしながら私は森の入り口付近で魔獣探しを再開した。
読んでいただきありがとうございます。誤字脱字等ございましたら、優しい言葉でご報告いただけると嬉しいです。ちくちく言葉はご遠慮ください。




