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トラストレス・ドミニオン

ピピピ…

目覚まし音がなる

カチッ

「もう朝か…」

また朝がきた。また始まるんだ。

また…誰かを“ 殺すんだ”。


『かける、おっはよーん!!』

勢い良く朝から飛びついてくるのは、同級生の薄井翔真。

「翔真、おはよ。朝から元気すぎ」

『かけるが元気無さすぎなのーー』

「あ、そういえば今日英語小テストだよな?」

『ふぇ!?そうなの!?あちゃぁ、何もやってない…』

「まぁいつもの事だよ。」

モジモジしながら見つめてくる翔真。

もう既に次発する言葉は分かっている。

『かける、助けてーーー!!』

いつもの様に助けを求める翔真に呆れながらもどこか嬉しさを感じている。


俺は高校1年の冬。もう1年生としての生活を終えるそんな時期に転校をしてきた。友達なんて、どうせ欲求を埋めるそんな道具でしかない。だから友達なんて作る気はなかったのに。なのに。

そんな時ある話し声が耳に入る。


『ねぇ聞いた??』

『なになに?』

『またあったんだって。新宿で飛び降り自殺』

『えぇー!ほんと?これでもう8回目じゃん』

『そうそう。なんか噂によれば神に逆らったからなんだってーー、』

『なにそれ笑うける笑』

『なんか死ぬ前に叫んでたらしいよ。』

『なんて?』

『神に逆らった罰。制裁は必ず行われる。』

『は?なにそれ笑』

『神なんていたらほんと助けて欲しいわーー笑』


そんなバカバカしい話を聴きながら俺達は学校へ向かった。

いつも通り授業を受け、いつも通り昼ごはんを食べた。こんなくだらない日々。

「さて、トイレ行くか」

授業の合間トイレに向かってると女子トイレから声が聞こえた。

『はぁ、あいつが一番苦しくて一番生きた心地のしない事ないかなー。死ぬより辛いことさせたい。笑』

『うわぁ〜!あけみひど〜いこわ〜い笑』


頭痛がする。吐き気、呼吸が乱れる。咄嗟に俺は駆け出して個室に籠る。

『今、死ぬより辛いだろ?ハハハ』

過去の描写が頭をよぎる。

(ハァハァ…思い出すな…ゥッ、もう過去の話だ。落ち着け。落ち着け。)

深呼吸を繰り返して落ち着かせる。

キーンコーンカーンコーン

ようやく落ち着いた頃5限目の開始チャイムがなる。

「くそっ...」

顔を洗い教室に戻る。

まだ授業が始まって居なかったみたいだ。


プツ、キーーーン

校内放送が流れる。

『えぇ、皆さん今から緊急で集会を行います。校庭へ集まってください。』

ザワザワ

教室は皆ざわつきながらも移動を始める。

(なんだ…?緊急で集会?しかも校庭?集会なら体育館でいいはずだ。)

『かけーる!急になんだろうね。表彰とか??』

「なわけねーだろ。てかなんの表彰だよ。なにか、あるんだろうな」

『えぇー。僕今年遅刻してないからー…』

(全校生徒の集会…しかも校長自ら放送、、?考えても意味ねぇ。とりあえず向かうか。)

俺達は校庭へ向かった。

ザワザワ

校庭へ着くとまとまりの無い学生達が個々で雑談をしてる。

プツ

『あー…あー…』

マイクテストが始まると少しだけ静まる。

『それでは皆様。今から学校全体集会を始めます。気をつけ!礼!では校長先生からのお話です。』

教頭先生がペコペコしながら校長を誘導する。

(社会って大変だなぁ…)

校長先生がマイクへと向かう。


『えぇみなさん集まって頂きありがとうございます。今日は皆さんに伝えたいことがあって集まって貰いました。』

校長は1度深呼吸をする。そして口を開く。


『──みなさん、今この瞬間から“信じる”ことを禁止します』


全体が沈まり校長の声だけが繰り返し脳内再生される。

そして誰も信じないそう決めた俺自身もこのルールに苦しめられる日が来るとは思ってもいなかった。



                  続く


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