71話 愛する全てを守るため
子どもたちにわちゃわちゃと祝福されながらも、無事に院長先生へのご挨拶を終えたら、少ない食料を使っての炊き出しによる夕食と、交代交代になるものの孤児院の浴場で入浴。
避難民らは、孤児院内にシートを敷いて雑魚寝すると言う形ではあるものの、雨風を凌いで眠ることが出来る。
この分だと、ルナックスからの支援物資の到着――あと二日はここで復興支援をしなけりゃならんだろうな……個人的なことを言っていいなら早いところ元の世界に戻って家に帰りたいけど、現場に携わっている以上、やれることはやっておきたい。
みんなが寝静まっている頃、俺は孤児院の屋根の上に寝転がって星月夜を眺めている。大勢いる中じゃ寝にくいので、一人で夜長を過ごすのだ。寝たくなったらここで寝るから問題ない。
あー、いい満月だなぁ。
………………ん?
なんか月が蟻のような黒い点に覆われて――いや、あれは魔物の群れか?
魔法で視力を強化して視れば、ワイバーンを始めとする有翼の魔物――それもとてつもない数が、真っ直ぐこちらに向かって来ている!
空からだけじゃない、地上からも種を問わずに無数の魔物が大挙してマイセン王国に向かって来ている。
この国が崩壊して力が弱っているところを、ハイエナよろしく現れたってわけか。
せっかく復興の目処が立ったのに、邪魔なんかさせるかよ。
しかし、敵の数は小型中型大型を問わず、数えないで10000体以上、ロスタルギアを襲おうとしていた百魔夜行の二十倍以上の規模か……さすがに時空を傷付けないようにセーブしながら戦っては、抜かれてしまうかもしれない。こりゃ楽勝とはいかんな。
……エレオノーラがこの異様な気配に気付いて、みんなや避難民の方々を叩き起こして避難させるまでは、俺が一人で食い止めるしかないか。
フラッシュウイングを顕現、孤児院の屋根から翔び立つと、月を覆い隠す黒点の群れへと突撃する。
アヤトが魔物の大群を相手にフラッシュウイングを広げて、孤児院の屋根の上から出撃した瞬間と同じ頃、エレオノーラもまた異様な気配に気付いてむくりと起き上がった。
同時に、アヤトが魔物の大群を一人で戦っているが、彼一人では食い止めきれていないことも察知する。
「皆さん!起きてください!」
パンパンと手を鳴らしながら、雑魚寝しているエリン達と避難民達を呼び起こす。
「んぅ……どうしたの、エレオノーラちゃん……」
ナナミは眠い目を擦りながら、切迫しているエレオノーラに向き直ると。
「魔物の大群がここに向けて攻め来ております!今、アヤトくんが侵攻を食い止めていますが、彼一人では抑えきれません!」
魔物の大群が攻め来ていると聞いて、寝起きの避難民達は怯えと動揺にざわめく。
「魔物の大群だと!?クッ、こんな時にか……!」
クインズは下ろしていた銀髪を手早くポニーテールにして束ねながら歯噛みする。
「姉上、すぐに迎撃を!」
「待ちなさいレジーナ、避難民の誘導と護衛の方が優先よ」
迎撃を急ぐレジーナだが、クロナは避難民の誘導と護衛を優先すべきと制止する。
「迎撃と避難民の護衛の二手ね、とは言え迂闊な戦力分散も危険だわ」
矢筒をベルトに固定させつつ、ピオンは弓を抜く。
そこに、指先を顎に添えていたリザが口を開いた。
「それなら……まず護衛役には、クインズさんとクロナさん、ピオンさん、それとナナミさんが回ってください」
リザの声に、冒険者全員が彼女に目を向ける。
「クインズさんは避難民の先導、クロナさんは怪我人が出た時の治療、ピオンさんとナナミさんはそれぞれ遊撃をお願いします」
各人の性格や特性、戦いにおけるポジション、そして戦力分散が必要な今の戦況を読み取った上で、各々の役割を指示するリザ。
彼女の明晰な頭脳は"学"だけではなく、戦術・戦略にも力を発揮することは皆知っているため、一番歳下のリザからの指示に忌避感を示す者はいない。
「了解した」とクインズ。
「承りました」とクロナ。
「任せなさい」とピオン。
「おっけおっけー」とナナミ。
続けて迎撃の方は。
「エリンさんとわたし、それとレジーナさんはアヤトさんの援護に……ってあれ?エリンさんは?」
ついさっきまでそこにいたはずのエリンがいつの間にか姿を消していることに、リザは慌てて院内を見回すが、
「あっ……リザさん、エリンさんが勝手に……!」
窓の外に、桃色に輝く光が翔んでいくのを見たレジーナは、それがエリンだと確信した。
加えてその飛んでいった方向が、魔物の大群の方だと言うことも。
「もう、エリンさんったら……まぁいいです、とにかくわたしとレジーナさんは、迎撃に回ります。いいですね?」
「かしこまりました」
レジーナが頷くのを確認してから、
「エレオノーラさんは……えっと、一緒に避難してください?」
「わたしだけ役立たずみたいな言い方はやめてくれませんか!?」
「そ、そんなつもりじゃ……」
リザとエレオノーラの口論になりかけたところで、レジーナが割って入る。
「急ぎましょうリザさん。エレオノーラ様もお気をつけて」
「はいはい、どうせ私は戦闘じゃ役立たずですよーだっ。ふーんだふーんだ」
ぷぅぷぅ頬を膨らませながら、クロナ、クインズ、ピオン、ナナミの護衛組四人の方へ向かうエレオノーラ。
ソハヤノツルギで斬り捨て、フラッシュウイングで溶断し、さらには攻撃魔法のフルバーストで薙ぎ払っても、敵の数が一向に減ったように見られない。
いや、確実に減ってはいるんだろうが、それが目に見えるような結果ではないというだけで。なんせ10000体以上はいるし。
しかもこいつらもこいつらだ、ただ数に物を言わせるだけじゃない、俺に対する肉迫攻撃と遠距離攻撃の二手に別れ、俺がそっちに手こずっている間に他の魔物は俺に目もくれずに王国へ向かっていく。
おかげで俺も、ジリジリと防衛ラインを下げながら戦っているわけだが。
ただ……何かおかしい。
なんかさっきから、『全く同じ魔力波長を持った魔物』を何体か倒しているのだ。
例えばゴブリンはゴブリンでも、個体ごとに微妙に魔力波長が異なり、100%同じ波長を持った存在と言うのは事実上存在しないはずである。
にも関わらず、先程から全く同じ魔力波長を持った魔物が何体かいるのだ。
考えられるとすれば……
「ちっ……邪魔だッ!!」
ソハヤノツルギに高濃度の風属性魔法を纏わせ、巨大なソニックブームを放って薙ぎ払う。
ってまずい、陸空を問わず、何十体かが既に俺を通過している。
くそっ、これ以上はまずい。
こうなったらエレオノーラに土下座かましてでも、俺の100%の全力を……
と思ったら、彼方から凄まじい速度の桃色の閃光が飛来し、俺を抜いた魔物の群れを消し飛ばした。
あれは……エリン!?
「アヤトッ、大丈夫!?」
「エリンか!俺は問題ないが、さすがに敵の数が多すぎる」
「エレオノーラさんとみんなが避難民を誘導してくれてるから、私はこっちでアヤトと一緒に戦うよ」
気付いてくれたか、さすがはエレオノーラ。
「よぉし……」
エリンが来てくれたなら話は早い。
まずは纏わりついてくる手近な敵を蹴散らしたら、
「恐らくこの大群は、何か特殊な呪いによって無限に湧き出て来ているはずだ。俺が斬り込んでその根源を断つまでの間、後ろの守りはエリンに任せるぞ」
「うんっ!」
力強く頷いて見せるエリン。
……思えば最初は、ゴブリン相手ですら四苦八苦していたエリンだったのに、今となってはこんなにも頼もしい。
さぁて、0.1秒でも早くこの戦いを終わらせるか!
フラッシュウイングの出力を上げ、擦れ違う魔物の大群を纏めて薙ぎ払って少しでもエリンの負担を減らしながら、この大群の根源へ向かう。
アヤトから後ろの守りを任されたエリンもまた光の翼を羽ばたき、陸へ空へと無数の魔物をエクスカリバーで薙ぎ払っていく。
しかし、アヤトですら手こずるほどの数の大群を、エリン一人ではとても捌き切れそうにない。
けれどエリンは一人では無かった。
エリンが空の魔物の大群に集中し過ぎたせいで陸の魔物がその背後を抜けようとするが、
「――ヘイルブリザード!!」
突如として猛烈な吹雪が陸の魔物に降り注ぎ、冷気に触れた魔物から瞬時に凍結していく。
何事かと足を止めた魔物の大群。
そこへ、
「はあぁぁぁっ!!」
美しい黒髪を靡かせながら、縦横無尽に鎖鎌を振るう艶姿。
ブゥンブゥンと遠心力と共に薙ぎ払われる双閃に、魔物の大群は次々に首を刎ねられ、骨肉を裂かれていく。
「リザちゃん!レジーナさんも!」
纏わりついていた空の魔物を片付けたエリンは、地上にいる二人の元へ着地する。
「もうエリンさん、作戦会議の途中で勝手に飛び出さないでください」
「いくら勇者様と言えど、仲間を置いての独断専行は関心いたしません。これで二回目です」
二人から窘められて、エリンは「ご、ごめんなさい……」と縮こまる。
「アヤトさんは?」
窘めもそこそこに、アヤトはどうしたのかと訊ねるリザ。
「えっとね、この魔物の大群は無限に出てくるみたいだから、その根源を断つとか、なんとか」
「つまり、いつも通り力業による解決を試みている、ということですね」
エリンの一生懸命な説明を"いつも通り"の一言で片付けるレジーナ。アヤトに対して微妙に容赦が無いリザと行動を共にすることが増えたためか、彼女も大分"イイ空気"を吸っているようだ。
「うん。で、アヤトが根源を断つまでの間、私が代わりに侵攻を食い止めてる」
エリンの視線が、前方――大挙して押し寄せる魔物の大群に向けられる。
「分かりました……それじゃぁ、エリンさんは空を。陸はわたしとレジーナさんで食い止めます。いいですね?」
「うん!」
「微力を尽くします」
互いに頷き合い、エリンは再び光の翼を広げて飛び立ち、リザとレジーナは連携して防衛線を張り直す。
一方、避難民達をエコールの町まで避難させるため護衛組に回っているクロナ、クインズ、ピオン、ナナミとエレオノーラの五人。
アヤト、エリン、リザ、レジーナの四人が魔物の大群の侵攻を食い止めているだろうが、完全に食い止めることは不可能だった。
その上、避難民達の中には小さな子どもや高齢者もいるため、思うように避難も進んでいない。
それでもどうにか、エコールの町まであと少しというところで。
アヤトとの鍛錬で『目を閉じていても大気の流れや臭気で敵の数や位置を完全に把握する』……には、まだ至れていないものの、その領域に限りなく近い所まで鍛えられたピオンの鋭敏な感覚が反応した。
「まずいわ、追い付かれる」
矢筒から矢を抜き、弓の弦につがえて臨戦態勢を取る。
肉眼ではまだ見えないが、混沌とした魔物の臭気は確実にこちらへ近づいて来ている。
ピオンの臨戦態勢を見て、ナナミも魔筆に魔力を纏わせて構える。
「クインズさんとクロナさんは先に行って!私とピオンちゃんで食い止めるから!」
「二人だけでは無茶だ、私も出る」
クインズもトゥーハンドソードを抜き放ってその場に留まる。
「では、私も」
クロナも鉄扇を抜こうとしたが、クインズに「駄目だ」と止められる。
「クロナまで出張っては避難民達は無防備だ、君は最後の砦になってくれ」
「ですが……」
言い淀むクロナだが、そこへ一石を投じる者がいた。
「避難民のことは僕に任せてくれ」
周囲の視線を集めるのは、マイセン王国の第一王子だった。
「エコールの町まであと少し、ここまで来ればもう十分だ。いざとなれば、僕が皆の盾になってでも守り抜いてみせる」
そう言い張る王子の碧眼には、確固たる覚悟が宿っている。
クインズは難色を示そうとしたが、
「クインズさん、ここは殿下にお任せしましょう。……殿下にも、"男"を上げる機会は必要ではありませんか?」とクロナ。
「四の五の言ってる場合じゃないわ、早く!」とピオン。
「うーわっ、やばいやばい!めっちゃ来てるぅ!?」とナナミ。
切迫する中、クインズは。
「……承知した、頼む」
後のことは王子に任せて見送ると、もう魔物の大群は目前だ。
四人は何も恐れることなく、魔物の大群へと躍りかかった。
次々から次々へと雲霞のごとく襲い来る魔物を斬り裂いては薙ぎ払い、吹き飛ばして滅ぼしていく俺、アヤト。
この大群の根源らしいものがあるはずだと予想は立てたものの、本当に実在するかは知らない。まぁ多分あるやろ、くらいの認識だ。
グリフォンやらドラゴンやらキマイラやら、単体でSランクくらいはある奴らがクソでかい蚊柱みたいになって群がっているが、フラッシュウイングで纏めて滅殺、抹殺、一撃必殺。
むむっ、何やら一際禍々しく混沌とした気配を探知!
位置を特定すると、神官のようなローブを纏ったような男っぽい人型が一人と、その背後には次元の闇が広がっている。
なるほど、絶命した魔物を回収しては命を吹き込み直して再出撃させていると見た。
すると、向こうも俺のことに気付いたようだ。
『グフフフ、我らが魔王様の悲願、今こそこのワタシが果す時!貴様ごときに邪魔などさせ』
「やかましい、帰れ」
喰らえ必殺、アヤトパーンチ。
『ぶべらっ!?』
アヤトパンチで奴を次元の闇にぶち込んだら。
ソハヤノツルギを鞘に納めて、両手に神気を纏わせ、聖印を結び――
「――『ディヴァインセイバー・インフィニットクロスブレイク』」
巨大な聖十字を描くようにクロスチョップ、次元の闇をぶち抜き、内側から闇と言う概念そのものを完全に滅浄する。
さて、これで魔物の無限再生は封じただろう。あとは残存した魔物を一匹残らず掃除だ。お掃除ルンルン。
エリン、リザ、レジーナの三人が支えていた戦線はもはや崩壊しており、既に何百体もの魔物に抜かれてしまっていたが、それでも目の前に溢れてくる魔物の大群から逃れられない、絶望感な状況だったが、
ふと突然、魔物達は動きを止め、怯えるように逃げ出し始めたのだ。
「はぁっ、はぁっ……逃げ、た……?」
エリンは警戒を解かず、光の翼を広げたまま逃げていく魔物の大群の背を見送る。
「アヤトさんが、上手くやってくれた……みたいですね」
魔物の突然の異変の理由を察したリザ。
「お二人とも、休むのは後にしましょう。姉上達の方が心配です」
自身も疲労困憊に疲労困憊を重ねているにも関わらず、レジーナはすぐに護衛組の元へ向かうべきだと進言する。
クロナ、クインズ、ピオン、ナナミの四人は、絶対に抜かせまいと必死に防衛線を維持していたが、不意に魔物の大群は怯えるように踵を返して、その場から逃げ出していく。
「……どうにか、守り切れたか?」
肩で呼吸しながら、クインズは逃げ出していく魔物の大群を見送る。
「なんとか、なったようですね……」
クロナは鉄扇を閉じないままに大きく息を吐く。
「けど、まだ予断は許せないわ……」
もしかしたらこのあとに第二波が来ないとも限らない、とピオンは警戒を解かずに臨戦態勢を保つ。
「一難去ってまた一難、また一難からもう一難は勘弁かなぁ……」
さすがにしんどい、とナナミはその場で大の字になって寝転ぶ。
程なくして、前線にいたエリン、リザ、レジーナの三人が合流してきた。
「クインズさん。エレオノーラさんと、避難民の人達は大丈夫ですか?」
エリンがクインズに、エレオノーラと避難民の安否を確認する。
「エコールの町も目前だと言うことで、王子殿下に先導を任せた。魔物は一匹も通していないはずだが……」
被害が出たかもしれない、とクインズはエコールの町が点在する方角に目を向ける。
すると、
「いや、それは無いから安心してくれ」
上からそんな声が聞こえると――スタッ、と格調高く着地する者――アヤトが現れる。
みんなの元へ、俺参上。
「あ、アヤトおかえりなさい。こっちは魔物が勝手に逃げていったけど、そっちはどうだった?」
空からいきなり俺が現れても誰も驚かない辺り、みんなもすっかり俺に慣れてしまったな。
「あぁ。マオークの部下の生き残りっぽい奴が、倒した魔物の再生をしていたらしくてな。まとめて滅殺しておいた」
ついでに逃げようとしていた奴らも一匹残らず掃除しておいたよ。
「それと、エレオノーラと避難民達の様子も確認したが、魔物に襲われているようなことも無かったし、今頃はエコールの町の中に入っているはずだ」
「そうなんだ。よかった」
ほっ、と胸を撫で下ろすエリン達。みんな必死に戦いながらエレオノーラと避難民達のことを案じていたんだ、気が気でなかっただろう。
これでとりあえずは落ち着いた。
緊張の糸が切れたせいで、みんな座りこむ (ナナミは既に寝転がっているが)。
昨日の深夜からロクに休めてないもんなぁ……
この上から、ルナックスからの支援物資や人員が届くだろう明日まで復興作業を手伝わないとならないとは……
かくいう俺もめっちゃ疲れたし、めっちゃ魔力も使った……フラッシュウイングを何時間も出しっぱなしにしながら、攻撃魔法連発しながら、近接攻撃もしまくったし、腹も減ったなぁ……一週間分飲まず食わず休まずの戦闘を3倍に凝縮したような疲労感だ……
でも、みんなは明日も頑張るしなぁ……
仕方無い、ここは魔力と気力を振り絞って――
「――オールリジェネレイション!」
癒しの波動がみんなを包み込む。
「あっ、あっ、ア、アヤトのが、私のなかに……あぁぁぁぁ……っ!」
「やぁっ、やだっ、だめぇっ、アヤトさんアヤトさぁんっ……!」
「アヤト、様ぁっ、そ、そんなにしたら私っ、んあぁっ……!」
「ひぐっ、なんて激しい……っ、アヤト様っ、もっとぉ……っ!」
「くふぅっ、わ、私がこんなぁっ……くっ、いっそ殺せぇっ……!」
「んっ、あ、そこっ、気持ちっいい……あっ、あぁんっ……!」
「あぁんっ、ダメダメッ、こんなの無理っ、いやぁんっ……!」
やっぱりみんな俺のオールリジェネレイションをテクニック (意味深)のひとつか何かと勘違いしてないか?
まぁみんな元気になってくれたなら、それでも、いい、か……
いい加減に限界を迎えたのか、意識が暗転し、身体がぶっ倒れるような感覚を最後に――
「「「「「「「アヤト(さん)(様)(くん)っ!?」」」」」」」
次回、いよいよ最終回です。




