59話 世捨て人の里
幸いにも、日が暮れる前にアルカンシエル山脈を突破することが出来た。
入山口を抜けた目と鼻の先に、集落が見える。
「ん……あそこがロスタルギアだな」
遠目に見るだけでも、小さな集落だ。
「ですがアヤト様、ギルドマスターの仰る通りなら、ロスタルギアは世捨て人になった長寿種族が寄り集まった場所……私達は普通の人間ですし、立ち入り出来ない可能性もあるのでは?」
レジーナがそう言ってくれたように、いくらギルドから冥王再封印の命を受けているとは言え、俺達は(エレオノーラ以外は)普通の人間だからな。
「そうだな……余所者として追い出されることも有り得るかもしれんが、とりあえず挨拶には行っておこうか。俺とエレオノーラが二人で先に里に入るから、みんなには悪いが外で待っていてくれ」
みんなには出入り口付近で馬車と一緒に待ってもらい、代表として俺とエレオノーラの二人がロスタルギアに入る。
世捨て人の里と言う割には、案外のどかな場所だな。
大人と子どもが一緒になって遊んだり、畑を耕したり、家畜を育てたり。
その多くは人間と比べても耳や鼻が大きかったり長かったり、手指の本数が違ったり、足先の長さも異なる。中にはハーフエルフもいるようだな。
それだけでなく、頭から角の生えた鬼人族や、腕に羽を持つ鳥人族、ワーウルフにワーキャットと言った獣人族まで見られる。
まさに亜人の楽園だな。
さて、まずは代表者――里長と顔を合わせなければな。
そこの畑で鍬を振るっている金髪エルフのお兄さんと目が合ったので、話しかけよう。お兄さんと言ってもエルフだから (今世の)俺よりも何十倍も歳上だろうけど。
「ハローこんにちは、今日は夕陽が綺麗な日ですね」
「おや、あなた達は人間かな?こんなところまでよく来てくれたね」
手拭いで汗を拭きながら、お兄さんは会釈を返してくれる。
「俺はアヤト。こちらはエレオノーラです。故あって仲間と旅をしているのですが、今日はここで一夜を過ごそうかと。里長とお話がしたいのですが、里長はどちらに?」
「私がその里長の『カークス』だよ」
おっと、このお兄さんが里長だったか。
「お仲間は外で待っているのかな?良ければ、私の家で話を聞かせてもらおう」
意外とフレンドリーな里長だな。まぁ、俺達が破落戸の集まりでないから警戒を緩めているんだろうけど。
「ありがとうございます。おかげで野宿をしないで済みそうです」
エレオノーラがぺこりと頭を下げてみせるが、カークス里長は不思議そうに彼女を見ている。
「あなたは……ふむ、人間?いや、それにしては……」
魔力の波長とかを読み取ったのだろう、エレオノーラが普通の人間でないことを既に見抜きかけている。
「里長、彼女は光の巫女の末裔です」
エレオノーラが光の巫女の末裔 (自称)であることは明かしても良いと言われているので、余計な誤解をさせないように、予め明かしておく。
「光の、巫女……!?」
するとカークス里長はバッと跪いて畏まった。急に何だよ、びっくりしちゃうよ。
「失礼致しました。ご無礼をどうか、お許しください」
「お気に無さらず。光の巫女など、今となっては過去の産物、ただの小娘に過ぎません」
エレオノーラもノリノリだな、まさにTHE・聖女って感じの神々しい雰囲気を醸し出している。と言うかなんかエレオノーラの周りがキラキラ光ってるように見えるのは、そう言う魔法なのか?
「は、いえ、しかし、その神性の輝きはまさしく光の巫女そのもの。千年前に血筋が途絶えたと聞かされていましたが……よもや、血族がまだ生きていたとは……!」
うん?光の巫女は既に絶滅してしまった一族なのか。
カークス里長がエルフであることも加味すると、どうやら彼らは光の巫女が実在していた頃から生きているようだな。
まぁその辺はエレオノーラのアドリブに任せて、俺は適当にそれっぽく空気を読んでおこう。
カークス里長に招かれて、俺達九人は里長宅へお邪魔させてもらう。大人数ですいませんね。
ここまで頑張ってくれた馬車馬二頭は、厩舎の軒下を貸してくれたので、そこでお休みしてくれている。(ついでにごはんもたくさん食べさせておいた)
椅子が足りない分は、ソファーなども使わせていただいて、どうにか全員が腰を下ろせたところで、俺とエレオノーラが代表となって、この旅の目的を話す。
「率直に申し上げると、私達は魔王ヴィラムと、その魔王が復活させようとしている冥王ノーヴェンネアの再封印、もしくは討伐と言う目的のため、この地へ訪れました」
「魔王に、冥王……未だそのような存在が闇に潜んでいたとは」
エレオノーラの言葉に対して、嘘偽りは無いと真摯に受け止めているカークス里長。
「魔王ヴィラムは、冥王ノーヴェンネアを復活させ、天上界に牙を剥くだろうと、と神々からの御言葉を受け、早急に対処せねばならないと冒険者ギルドに掛け合い、彼ら……"歴代最強"と言われるSSランクの冒険者パーティを雇用した次第です」
歴代最強ねぇ……俺と言う規格外の存在を"歴代"と比べてしまうのはかえって失礼ではないだろうか。
「それと……この地を訪れるため、アルカンシエル山脈を渡っている際に、魔王の洗脳を受けたと思われる魔物の群れの襲撃を何度も受けました。この里にも、何か被害や弊害はありませんでしたか?」
もしかしたら、この里にもヴィラムの影響を受けた魔物が現れて、被害を被ったかもしれないと思って、訊ねてみると。
「いえ、里に何か被害があったわけではありません、が……なるほど。近頃、山脈付近の魔物がやけに活動的だったのは、そう言うことでしたか」
やはりロスタルギアにも何らかの影響があったのか、カークス里長は神妙に頷く。
「俺達はエレオノーラから冒険者として依頼を受け、彼女の護衛依頼、及び有事の際の戦闘を受け持つことを契約しております」
俺達八人は、対外的には『エレオノーラからの依頼を受けた契約関係』として通している。
下手にエレオノーラとの関係性を仄めかすよりは、きっぱりと『依頼主と冒険者パーティ』と言う分かりやすい構図を示した方が、余計な詮索や誤解をされなくて済む。
「分かりました。では巫女様と冒険者様一行、今宵はこちらでお休みになられませ。何も無い里ではありますが、可能な限りの饗しはさせていただきます」
深々と頭を下げるカークス里長。
エレオノーラが光の巫女 (自称)だから、ここまでの厚遇をしてくれるのだ、俺達だけではここまでしてくれなかったかもしれない。
なんかごめんな、この人パチモンの巫女様なのに。
「……アヤトくん、今何か余計なことを考えませんでしたか?」
「えぇまぁ、腹減ったなーと」
しれっと嘘をつかない程度に本当のことを言う。
今日はけっこうな数の戦闘をこなしたから、それなりに腹が減ってる。
ここは素直にカークス里長のお気持ちを受け取っておこう。
カークス里長自らが駆け回って、俺達九人分の寝具やら食事などの準備をするように里に触れ回っている。
光の巫女の末裔様がお越しになられた、と言うことで、その当時を生きていた人達は驚きながらもエレオノーラを崇め奉り、慌てて饗しの準備を急ぐ。なんかすいませんね、雰囲気だけの巫女様で。
美味しい食事をいただきつつ、里民による楽曲演奏まで披露までしてくれて(俺はその楽曲演奏に合わせて即興で変な踊りを披露したり)、ちょっとした宴だ。
でも今日は疲れているし、明日も早いから、宴の続きは冥王を再封印してからに、と言うことで早めに切り上げてもらい、俺達は里長宅で床につく。
エレオノーラとアヤトそれぞれは別室を用意され(エレオノーラは光の巫女としての待遇、アヤトは男なので隔離)、残りはダイニングに敷き布団を敷いての雑魚寝と言う形になり、重なる戦闘の疲れもあって、皆早々に眠りについていた。
が、そんな中でエリンは寝返りを繰り返していた。
「(眠れないなぁ……)」
疲れてはいるのだが神経が昂っているせいか、なかなか寝付けないでいた。
むくりと上体を起こす。
周りを見やれば、静かに寝息を立てている。
このまま横になっていても眠れる気はしないし、いっそのことアヤトの部屋に夜這いにでも行こうかと思った時、
「ん……?」
すると眠りが浅かったのか、クインズが起きた。
「エリン、どうかしたのか?」
「あっ、ごめんなさい、起こしちゃいました?」
「いいや、気にするな。……眠れないのか?」
「うーんと……はい」
眠れないことを誤魔化しても仕方無く、エリンは正直に頷いた。
「なら、少しだけ私と話でもするか?」
二人は寝間着の上からコートを羽織り、ダイニングを抜けて外へ出る。
星月が優しく照らす夜空の下、里長宅から近いところに、腰を下ろせそうな段差があったので、そこに座り込むエリンとクインズ。
「緊張しているのか?」
開口一番に、クインズがそう訊ねた。
「緊張って……その、魔王とか冥王とかの戦いにですか?」
「あぁ。アヤトの言う通りなら、魔王ヴィラムはこれまでに無いほど強大な相手であると」
「うーん、あんまり緊張はしてないんですよね。アヤトより強いってことは無さそうですし」
「ふふっ、アヤトと比べられては、魔王も冥王も形無しだな」
エリンの素直過ぎる物言いに、クインズは苦笑する。
「となると……眠れないのは、何か他に理由が?」
「その……エレオノーラさんが言ってましたよね、この世界の今世の勇者はあなたですよって」
「うむ?」
続きを促すクインズ。
「私は、アヤトと一緒にこの世界に来た時に、もう勇者じゃなくて、ただの女の子になっていいんだって思ったんです。アヤトも、私を攫ってくれる時に、「もうエリンは勇者じゃなくていいんだ。俺がこれから攫うのは、エリンって言う、ただのかわいい女の子。それだけだ」って言ってくれて、すごく嬉しくて……」
けど、とエリンは膝を抱え込んで俯く。
「この間、エレオノーラさんに「勇者の因子はまだあるでしょう」って言われて……もう私は、普通には生きられないのかなって、思って……」
俯いたまま、自分の右手を見つめるエリン。
「これから先、また魔王とかがこの世界に現れたら、私が戦わなくちゃいけないのか、とか、いつかアヤトと結婚して子どもを生んだら、その子も勇者にならなくちゃいけないのか、とか。そう考えたら、これからの事が怖くなっちゃって……」
「…………」
クインズは、この年端もいかない勇者になんと言葉をかけてやればいいか分からなかった。
神々から神託を受け、勇者として選ばれることがどれほど重いのか。
皆の前では毅然としていたエリンとて、本当は怖くて不安だらけだったのだ。
怖くて、不安だらけで……だが、そこで足踏みをしているばかりでは何にもならない。
故にクインズは、何事も無いように。
「先のことは、分からない。アヤトにも、エレオノーラ殿にも、誰にもな」
いやもしかしたらアヤトなら未来のことまでお見通しかもしれないが、と言いかけて押し留めた。
「だが、分からなくて怖いからと言って、何もしないでいることの方が、もっと怖いだろう」
それは、自分で自分の未来を閉ざしてしまうことだから。
「私とてそうだ。シュヴェルト王国にいたまま……あの削除されてしまった世界にいたままだったらどうなっていたのかなど、想像も出来ない」
きっと、誰にも何にも顧みられずに、"何も無かった"ことにされていた。
「もう、私の大切な人達はいなくなっているかもしれない。けれど……今はみんながいる」
もちろん君もな、とクインズはエリンの頭に手を添える。
「ふぁ……」
「王国を去ることを選んだ私も、その時は不安だらけだったさ。……だが、アヤトやみんながいてくれたから、不安でも前を向いて、今日ここまで来た」
そのまま、ぽんぽんとエリンの頭を撫でる。
「私の不安と君の不安に、どれほどの差があるかは分からないが……そんなもの、隠さなくてもいいだろう?」
「わ、私、隠し事なんて……」
「していただろう、さっきまで。自分が勇者の業に押し潰されそうになっていたのに、みんなの前では強く振る舞って」
「っ、〜〜〜〜〜……」
しまった、とエリンは顔を赤くする。
「だから、いいんだ。辛いなら辛いと、不安なら不安だと、言ってくれて。私達は、家族だろう?」
クインズはエリンの頭を両手に添えて、そっと胸に抱き寄せた。
「わわ……」
優しく引っ張られて、エリンはクインズの胸に体重を傾けてしまう。
「君としては、アヤトにこうしてほしかったのだろうが……今は、私で我慢してくれないか」
「………………」
エリンは、そのまま固まっていた。
「……それとも、クロナの方が良かったか?」
「な、なんでそこでクロナさんが?」
「む?いや、私よりも胸があるし、名実ともに"姉"で包容力があると思ってな」
「や、それはその……そうかもですけど……」
このパーティでは最年長のクインズですら、クロナ以上の"お姉さん"にはなれないと思っている。レジーナの姉だからではない、もっと根本的なものが、"お姉さん"なのだと。
「……じゃぁ、今だけは、お姉さんじゃなくて、"お姉ちゃん"として甘えさせてください」
「うむ、どんと来い、妹よ」
エリンの言い方に合わせて頷くクインズ。
するとエリンはクインズの胸に、ぽふんぽふんとキツツキのように何度も顔を押し付けては離してを繰り返す。
「お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんっ」
「……今思ったのだが、何故"お姉ちゃん"なのだ?」
「その……なんというか、いつもはリザちゃんの手前、私がお姉ちゃん役みたいなものですし、ナナミさんとかピオンちゃんは……なんか違いますし」
今ここにピオンがいたら、「なぁに?それはあたしの胸が無いからお姉ちゃんじゃないのかしら?んん?」と笑顔で凄まれていたかもしれない。
「孤児院にいた時も、私が一番歳上だったから、歳上の姉弟とかに憧れてたんです」
「……まぁいいさ、"お姉ちゃん"に存分に甘えるといい」
「はい、お姉ちゃん」
しばらくぽふぽふとクインズの胸に顔を押し付けていたエリンだったが、不意にその挙動が止まった。
「エリン?」
どうしたのかと思えば、
「すー………くー……すぅ……くぅ……」
「……寝てしまったか」
きっと、不安を吐き出して、甘えている内に安心したのだろう。
仕方の無い妹だ、とクインズはエリンをお姫様抱っこにして立ち上がり、里長宅へ戻って行く。
………………
…………
……ん?
丑三つ時頃、異様な気配を感じて、俺はふと起きた。
これは魔物の気配――それも、何百体もの。
それらが、じりじりとロスタルギアに向かってくる。
気配の方角から見るに、例の"大穴"から。
エレオノーラがここにいるから、ヴィラムがまた魔物をけしかけて来たってところか?
けれど、俺にその動向を気付かれた時点で全部パァだ。
すると、コンコンッと急いだノックがされ、すぐにドアが開けられ、エレオノーラが入ってくる。
「アヤトくん、気付いていますね?」
「えぇ、もちろん」
コキコキと首を鳴らしながら、ソハヤノツルギを手に取る。
「任せましたよ」
「はいはい、仰せのままに」
エレオノーラからの命を受け、俺は窓から飛び出した。
フラッシュウイングを展開し、里の外へ。
ロスタルギアからおよそ3kmほど離れた位置になって、それは見えた。
"大穴"の方向から押し寄せてくる、おびただしい数の魔物。
まるで百鬼夜行……さしずめ、"百魔夜行"ってところか。
さてさて、まずは数を減らしていくとしますか。
「――ジャッジメントレイ」
奴らの認識の外から、ジャッジメントレイ✕5で先制攻撃。
びゅごーびゅごーと魔法陣から光の柱が照射され、陸空問わず魔物の大群を薙ぎ払っていく。
突然の光に何事かと魔物達は狼狽えているが、俺の睡眠時間を奪った罪はもれなく一律で極刑だ、加減はするが容赦はせん。
ジャッジメントレイだけで片付くならそれが一番楽なんだが、やはりそう都合良くはいかないな、俺の存在に気付いた魔物達が殺意を滾らせて一斉に襲い掛かってくる。
なめんなよ、こちとら過去の異世界転生で、魔力無しの生身だけで七万の大軍を一人で相手取ったこともあるんだ。この程度ならイージーモードにもならんよ。
ソハヤノツルギを抜き放って――突撃。
正面の敵はソハヤノツルギで斬り捨てて、側面はフラッシュウイングですれ違いざまに"溶断"する。
左右に行ったりきたりしていては時間がかかる、避けられてもいいからまずはこの行列を真っ二つに分断する。
行列の最後尾まで到達、即座に反転して、
「――『ガイアクラッシャー』」
俺が文字通り切り開いた空白地帯に、土属性の上級魔法による巨大な岩石の山を地中から生み出し、物理的な壁とする。
そうして魔物の大群を分断したら、再びフラッシュウイングを翻して、俺から見て右側へ突撃、ソハヤノツルギによる斬撃も合わせて、魔物を殲滅していく。
スタート地点にまで戻って来たら再反転して、分断した残りの魔物の群れに向けて、
「――『ブラッディランサー』」
闇属性の中級魔法、暗黒の炎で作られた魔槍を二十本ほど生み出して、自分の周囲に円形状に並べて、
「フルバースト」
一斉発射。
二十本の魔槍が、向かってくる魔物の群れを次々にぶち抜いていく。
一本につき一体ではない、魔槍一本で複数体を貫通だ。
貫通貫通貫通貫通貫通貫通貫通貫通貫通貫通……
辺り一帯の生体反応が全て消失したのを確認してから、フィンガースナップをパッチン、ガイアクラッシャーで隆起させた岩山を崩し、地面に還せば。
俺の目の前には死屍累々と魔物の死骸の山積みである。
とは言え、これで終わりかどうか限らない、ここから増援とか、第二波、第三波も有り得る。
俺が過去の異世界転生で経験したのは、宇宙戦争の拠点防衛作戦で無数のミサイルが第六波まで来たし、その最後の第六波が全部"気化爆弾"(ようするに核弾頭のこと)を積んだ、"本命"のミサイルが来たくらいだ。まぁ全部撃ち落としたけどな。
十分ほど警戒していたが、第二波が来るような邪気が感じられないので、これで夜襲は終わりだろう。
もうおしまいなら、"後片付け"をしておくとしよう。
「――ファイアボール」
高濃度の火属性魔力のファイアボールをいくつか顕現すると、死骸の山に向けてポイっとな。
一体や二体なら他の魔物や虫が集って自然に還してくれるが、死骸は百体以上もあるのだ、このまま放っておくととんでもない腐臭を放つことになるし、細菌の温床にもなりかねないので、この場で残さず焼却処分だ。
ファイアボールが着弾、メラメラ燃えていくがこれじゃ燃やしきれないな、もう少し手を入れるか。
「――ヘルファイア」
炎槍を放つフレイムランスではなく、火炎放射のヘルファイアだ。
爆発させると吹き飛ばしてしまうので、爆発させずに燃焼させるのだ。
ヂュボボボボボ、と火炎放射で焼き払っていき、灰の山が出来上がったら、最後に風魔法で吹き飛ばす。
クリーニング完了!さて、帰るか。
もう急がなくていいので、フラッシュウイングじゃなくて、長距離ジャンプでぴょーーーーーん。




