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487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う  作者: こすもすさんど
第五章 凍て付いた里のツンデレ狩人

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44話 強欲で傲慢で愚かなハッピーエンド

 温泉の復旧はいつ頃になるかと言うピオンの質問に対し、ジョンソンマスターは「ふむ……」と顎に指を添えながら考え込む。


「気温が元に戻ってきているなら……遅くとも明日の夕方頃には源泉の温度も戻るはずだ。アヤト殿達には申し訳無いが、温泉はもう少しだけ待っていただけませんか?」


 やだやだー!そんなに待てないよー!

 と、駄々をこねたいところだが、駄々をこねこねしても事態は変わらん。


「構いません。元より数日は滞在するつもりなので、少しは我慢しましょう」


 それに、と付け足して、スプリングスの里へ来たもう一つの目的を話す。


「この里に、アルゴという古鍜冶師がおられると、フローリアンのオルコットマスターから聞きました。是非その方に、唯一無二の業物を拵えていただこうかと」


 アルゴの名を出すと、ジョンソンマスターは何故か少しだけ渋るような顔をする。


「アルゴ、ですか……」


「何か問題が?」


「いえ、彼の鍛えた武器は、多くのハイランカーの冒険者から喜ばれています。ですが、アルゴはその……少々気難しいところがありまして……あぁ、決して犯罪を犯していると言うことはありません。彼自身、曲がったことが嫌いな者ですから。ただ、曲がったことがあまりにも嫌い過ぎるせいで、自分が認めた者以外には、仕事を承りたがらないのです」


 ふむ、いかにも頑固職人って感じの人物像だな。

 ギルドマスターたる人物がそこまで言うほどだ、相当"お堅い"人らしい。


「いえ、むしろ安心しました」


 だが、だからこそ信用は出来そうだ。この手の頑固者は、人を嫌いはしても己の仕事を嫌いはしないのだがら。


「手前の命を預ける物を手懸けてもらうのです。半端者に安い仕事をしてもらうよりも、よほど価値がある」


 思ったことを口にしたら、ジョンソンマスターは堪えるように小さく笑う。


「……ははっ、なんとも器の大きな方だ。さすがはフローリアンの英雄、と言うべきでしょうか」


 分かりました、とジョンソンマスターは頷く。


「アルゴの鍛冶屋は、里の南東の外れにあります。恐らく二つ返事では頷かないでしょうが、アヤト殿ならば、あるいは」


 なんと!南東だと!?いや、別に驚かなくてもいいんだけど。


「ありがとうございます。この後にでも、アルゴ氏の元へ伺わせていただきます」


 とは言え、その前に診療所に行き、レジーナにインフェル熱の治療の目処が立ったことを伝えておこう。


「アヤト殿、フローリアンの冒険者方、そしてピオン。此度は里の危機をお救いいただき、ギルドマスターとして、心より感謝致します」


 ジョンソンマスターの礼の言葉を締め括りに、執務室を後にする。




 受付嬢さんから報酬を受け取ったあと。


 ピオンは、俺達に里の案内役をジョンソンマスターから命じられたようなので、そのまま同行している。

 アルゴ氏の鍛冶屋や、温泉宿の案内だけしてくれれば、無理に案内してもらわなくてもいいんだが……まぁ、綺麗所が増えると言うことで素直に案内されよう。


 先に診療所へ、と言ってもこの人数で押しかけては迷惑なので、俺一人で覗わせてもらう。


 受付の方には顔と名前を覚えてもらっているので、見舞いとして通してもらう。


 リザとレジーナのいる病室に、ノックしてもしもーし。

 数秒の間を置いて。


「はい、どなたでしょう?」


 レジーナの声が応じてくれた。大きな声を出さないように、ドアに近付いているようだ。


「レジーナ、アヤトだ。入ってもいいか?」


「アヤト様ですね、どうぞお入りください」


 ガチャリとドアを開けられ、一旦廊下に出る。


「おかえりなさいませ。お怪我はありませんか?」


「あぁ、心配ない」


 分かりやすく頷いて、事の顛末を簡潔に話す。


「さすがはアヤト様。やはり私などおらずとも、何も問題無かったようですね」


「レジーナもいてくれればもっと楽に倒せたんだがな」


「いえ、そんなことは……それより、リザさんの治療の目処が立ったようで、何よりです」


 間もなく診療所に、ハイリング草が届けられるはずだ。


「リザの樣子は?」


「昨夜は咳のせいであまり眠れていなかったようなので、私が呪術を用いて少し強引に眠らせました」


「大丈夫なのかそれ……まぁ、辛いままずっと起きているよりは、寝ている方が精神的にも楽だろうが」


「一応、お昼前に点滴を受けるために一度起きています。今はまた眠っていますが……」


「なら良かった。診療所が閉まる前に迎えに来るから、もう少しだけリザを頼んでいいか?」


「かしこまりました。リザさんが起きてきたら、治療の目処が立ったこともお伝えしておきましょう」


「すまない。また今度、レジーナには特別にお礼をしなくちゃな」


 特別にお礼を、と言ったからか、レジーナの気配が変わった。


挿絵(By みてみん)


「そ、それでしたら……以前の時のように、姉上と一緒にではなく、その……私一人を……、…………」


 何このエクストリームかわいいが息してる生き物。

 頬を赤く染めて、俯きがちに目を逸らしながらもじもじするとか、超絶萌えるんだが、このレジーナさては策士ですね?


「あぁ、分かった。約束だな」


「えっ、えぇっ!?あ、いえ、その、よ、よ、よろしくお願い致します……っ」


 ペコペコと黒髪ロングを揺らしながら何度も頭を下げるレジーナ。

 このアヤト、あまりにも余程のことが無い限り、約束を違えることなど無いのだよ。

 とは言え、クロナをお預けにしていることもあるし、出来るだけ待たせないようにしないとね。


 リザは今は眠っているようなので、ここは起こさずに後のことはレジーナに任せて、スマートに立ち去るぜ。




 俺が診療所を後にしようとした頃、入れ替わるようにギルドの職員がハイリング草を届けに来た。

 このハイリング草を採集して来たのが俺の功績だと知ると、看護師の方々が次々に頭を下げてお礼を言ってくれた。どういたしまして。


「アヤト、リザちゃんの容態はどうだった?」


 外で待ってくれていたみんなの中から、エリンが最初に容態を訊いてくる。なんだかんだ言って、エリンにとってリザは妹分みたいなものだしな、心配するのも当然か。


「今はゆっくり眠っていた。昼前に点滴を受けていたようだから、昨日ほど酷くはなっていないな」


「そっか。薬ももう出来るんだよね、良かった……」


 エリンはホッと胸をなでおろす。

 実際には、脊椎動物などで動物実験をする必要もあるから、もう少しかかるだろうが、毎年の流行り病だと分かっているなら、それもすぐだろう。

 リザの容態に大きな変化が無いことに、クロナとクインズ、ピオンも安心している。


「とりあえずの不安も無くなったことだ。ピオン、アルゴ氏の元へ案内してくれるか?」


 さて、これよりアルゴ氏とご対面だ。


「その……あたしは人づてにしか聞いたことないから分からないけど、相当な頑固爺さんらしいわ。最悪、門前払いも有り得るかも」


「兎にも角にも、行ってみないと分からない。門前払いされたら、残念だがそこまでだな」


 無理矢理頼んで、気が乗らない手抜き仕事をされても困るしな。

 頼むからにはしっかりやってもらわねば。




 スプリングスの里の南東の外れに、その小屋はあった。

 辺鄙と言えば聞こえは悪いが、商業区との距離はそれほど離れていないから、単なる立地の問題か、アルゴ氏自身の都合か。

 まぁどっちでもいい。


「ここが、アルゴさんの鍛冶屋。有名では無いけど、品はどれも一級品ばかり。近接武器はナイフ以外は素人のあたしでも分かるくらいよ」


 ピオンがそう説明してくれる。


 カウンターの向こうには、赤々とした炎が炉の中で燃え盛り、その目の前でガッチンガッチンと金槌を鉄板に打ち付ける、短足寸胴の大柄な褐色肌の高齢の男が一人。

 ドワーフのようだな。余程仕事に集中しているのか、俺達のことには気付いてない。


 それではいざ尋常に、大きく息を吸い込んで、


「たぁのもぉーぅ!アルゴ氏の鍛冶屋とはここのことかぁー!!」


 クソデカボイスでご挨拶。

 まずは気合を見せつけておこう。漢はハートで勝負する生き物だからな。


「……なんじゃ、やかましい」


 イッツミー不機嫌ですと言わんばかりのドスの聞いた声と共に、のっそりとアルゴ氏が立ち上がって俺に向き直る。

 クソデカボイスとは打って変わって、目上に対する礼儀正しい態度に切り替える。


「初めまして、俺はアヤトと申す者です。ジョンソンギルドマスターからこの鍛冶屋をご紹介していただきました」


 きっちりしっかりした挨拶に、アルゴ氏はギロリと俺を値踏みするように睨んでくる。こわい。


「冒険者か。ギルドカードを見せてみろ」


 なるほど、まずは軽いジャブと言うわけか。


「はい、こちらを」


 素直に、SSランクの証たるプラチナ色のギルドカードを差し出す。

 アルゴ氏はそれを手に取って、眼力で穴を空けるかのように凝視する


「SSランク……偽造では無いようだな」


 ギルドカードってギルドが正式発行したもの以外は偽造らしいから、その事を懸念しているのだろう。


「ご心配なく。フローリアンのオルコットマスターも、承認しているものです」


 ここで、この人と旧知の仲らしいオルコットマスターの名を挙げておくことで、さり気なく『フローリアンのギルドでも信頼されている』ことを主張する。

 さて、このSSランクの若者を、あなたはどう評するかな?


「アヤトと言ったか。お主は、それだけの力を持って、何を望む?」


 ん?急に抽象的な問い掛けだな。


「望む、と言うのは、ここで造られる武具のリクエストですか?」


「違う。その武具を使って、何を為すのかと訊いている」


 あぁ、そっちね。

 何を望み、何を為すのか。

 ただの休暇中だからなぁ、我が名の元に天下統一、なんて御大層な大望なんざ無い。

 敢えて言うならば。




「"ハッピーエンド"です」




「………………ほぅ?ハッピーエンドか」


 間を置いたその興味深けな反応から見るに、悪くはない感じか。


「お主が望むハッピーエンドとは、なんだ?」


 そんなもの決まってるさ。

 一度、俺の後ろにいるみんなと、今ここにはいないリザとレジーナを想いながら。


「明日が来ることが当たり前で、そんな不安を口にすれば笑われる。明日が来ることが当たり前なら、食べるも寝るも困らない。食べるも寝るも困らないなら、隣人を愛することだって出来る。そんなハッピーエンドです」


 それは、まるで退屈で変わり映えのないハッピーエンドだが、別の人にとってこの上なく幸せ(ハッピー)なことだろう。

 いつか前にエリンにも言った、「好きな人と一緒にいるための事も物も、ちょっと余裕があればいい」の延長だ。


 けれど、


「そして、そんなハッピーエンドを台無しにしようとする、物分かりの悪いバカを理解(わか)らせる、そんな絶対的が武具(ちから)が欲しいですね」


 己の明日を守るために、他者の明日を奪う。

 なんと矛盾した答えだろう。

 だが悲しいかな、この世の全てはそれで成り立っている。


「王にでもなるつもりか?」


「王になりたきゃ国を奪えばいいだけです。でも、俺が望むハッピーエンドはそんな"しょーもない"ものじゃありませんから」


 そもそも過去の異世界転生から遡れば、飽きるほど王や帝になったことはある。

 いやほんと、国のトップとかマジヒマ過ぎて死ぬぞ。ヒマ過ぎるあまり、私利私欲に走ってばかりの無能な宦官(かんがん)達を一人ひとり呼びつけてくびり殺していたくらいだ。


「随分と無欲な若者だ、まるで聖人君子だな」


 そんな俺を嘲笑するアルゴ氏。

 お?なんだ喧嘩か?喧嘩なら買ってやるぞ?もちろんあんたの奢りでな。


「いいえ、むしろ誰よりも強欲で、傲慢で、……誰よりも愚かだと思っていますよ」


 右の頬を殴られたら左の頬を突き出せ、とは言うがそんな聖人君子はいない。誰だって死にたくないからな。

 対話じゃ解決出来ないならぶん殴って解決するなんて、愚かとしか言いようがないだろうよ。

 いやむしろ、最初に対話が出来るだけまだ理性的とでも言うべきか。

 対話すらせずにいきなり殴りかかってくる奴はヒトですらない。それこそ魔物と何も変わらない。


 さらに質が悪いのは、そんな魔物の中には殴りかかるためにそれっぽい理由をでっち上げて正当化して、周りを味方につけて寄ってたかって追い詰めようとする奴もいるんだ。例え相手に濡れ衣をおっ被せるような結果になったとしてもな。


 正義の暴走とはまさにこれ。


「力を持つことを愚かだと言いながらも、それを手にすることをやめないどころか、誰よりも強い力を欲しているんです。……さてアルゴ氏、あなたの目には……そんな"愚か者"がどう映りますか?」


「良かろう」


 はっや、即決かい。

 良かろう、と言うことは、俺はアルゴ氏のお眼鏡にかなったかな?


「どんな武器が望みだ?」


 合格かどうかは教えてくれないのか。まぁ、作ってくれそうなので良しとしよう。

 で、どんな武器が望みか。

 一番いい装備を頼む、と言いたいところだが、そんないい加減な注文したら機嫌損ねそう。

 具体的には……


「魔法剣が使えて、なるべく頑丈なのがいいですね」


「うむ、丈夫な魔法剣を作るなら、高純度のミスリルは欠かせん。だが値は張るぞ?」


 お値段の話か。

 特注のワンオフモデルを作ってもらおうって言うんだ、それなりの出費は覚悟しているよ。




「三千万ゼニーでどうです?」




「…………………………は?今、いくらと言った?」


 おいおい、耳が遠くなっちまったのかい。


「手入れ道具とかの付属品も含めて、全部で三千万でどうですか?と聞いたのですが」


 俺の後ろでエリンが「またアヤトがとんでもないこと言ってる」とか呟いているけど、聞こえないふりをしておこう。


「待て。待て待て待て、たかが武器ひとつに三千万?お主、正気か?」


 アルゴ氏が狼狽えてるんだけど、俺なんかおかしなこと言ったかね?


「正気じゃなきゃ三千万も出しませんよ」


 むしろこれは必要な投資だよ。だからそれくらいは払って当然だと思ったんだが。


「剣一本で三千万も受け取れん。そんな噂が広がってみろ、お主は儂の店を潰すつもりか?」


「滅相もない。それなら……」


 エリンに向き直ると。


「エリン、エクスカリバーをアルゴ氏に強化してもらう予定とか無いか?」


「え?えーっと、うーんと……うん、ある、よ?」


 今まさに出来た予定だけど、とエリンは腰のベルトから鞘ごと切り離してたエクスカリバーを、ちょこんとカウンターに置く。


「この剣を強くしてください」


 めっちゃ正直。


「む、むぅ……」


 アルゴ氏はエクスカリバーを鞘から抜いて、凝視して、唸る。


「…………見たこともない素材で作られているな。お主、この剣をどこで手に入れた?」


「えっと、オバケが住む村にある、『勇者にしか抜けないかもしれない剣』を抜いたんです」


 エリンは正直に答えたのだが、それを聞いたアルゴ氏は額に手を置いて、幸せがマッハ5くらいで逃げそうな勢いの溜息をついた。

 ……普通に考えたら、「オバケが住む村ってどこだよ」とか「勇者にしか抜けないかもしれない剣ってなんだよ」ってなるわな。


「……これも値の張る仕事だな。だが、これでも三千万とは釣り合わん」


 なんだよ、変なところで謙虚なジジイだな。頑固親父なら頑固親父らしく金にがめついとけ。


「クインズ」


「……あぁ、私の剣もか」


 名前を呼ばれたクインズは、俺の言わんとすることを理解したか、背中のトゥーハンドソードをアルゴ氏に差し出そうとして、


「えぇぃ分かったわ!お主ら全員の武具を仕立てろと、そう言いたいのだな?」


 急にキレんなよ、びっくりするじゃないか。

 俺達全員の武具を強化してやるって言うなら、お言葉に甘んじるけども。


 結論から言うと、俺のロングソード、エリンのエクスカリバーと盾、クロナの鉄扇、レジーナの鎖鎌、クインズのトゥーハンドソード、ついでにピオンの弓矢と言う七種類の武具をアルゴ氏に仕立ててもらうことになった。

 リザの杖は鍛冶屋では強化出来ないが、あれ自体が強力なレアマジックアイテムなので、特に強化する必要は無いかも知れない。


 武具の受け取りは一週間後、代金は現金ではなく、三千万ゼニー相当の金塊で先払いと言うことで取り決められた。


 ヨシ!

 これで残された憂いはリザの容態だけだ。


「全く……とんでもない若造に目を付けられたわ」


 と、アルゴ氏はぼやいていたが、口とは裏腹に次の瞬間には俺のロングソードに関する図面を引き始めたので、早速取り掛かるようだ。

 若造と言われてもな、実は俺の方があなたの何百万倍も歳上なんだが……まぁ見た目永遠の十七歳なので説得力は皆無だけど、細けえことはいいんだよ。




 アルゴ氏に武具を発注した後。

 夕暮れ前にレジーナを迎えに行くと、リザも起きていた。


 なんでも、明日の午前中にも特効薬を接種することになるそうだ。仕事早いな。

 明日に接種して、そこから熱が下がってから二、三日様子を見つつ……ってところか。


「良かったな、リザ」


「はぃ……ゲホッ、もぅダメかと思いましたけど、明日の朝まで堪えれば、なんとか、ゴホッ……」


 昨日と比べれば幾分か容態がマシになっているようだが、今夜も咳のせいで眠れないかもしれないな。


「リザさん、私はギルドの方へ戻ります。……その前に、もう一度寝かせましょうか?」


「あ……出来れば、お願いします……」


「分かりました」


 するとレジーナはリザの頭に手を添えて、優しくなでなでする。

 なるほど、なでなでに託けて、眠りの呪術を少しずつかけてたんだな。


 なでなで、なでなで、なでなで……


「すぴぃ……」


 もう寝ちゃった。

 強制的に眠らせるのではなく、恐らくは睡眠のサイクルを少しだけ早める程度の効果だろうが、眠ろうと思っている相手なら少しで熟睡に至るのだろう。


「おやすみなさい、リザさん」


 安心した寝顔で夢の世界へ旅立ったリザに微笑んでから、レジーナは立ち上がった。


「ではアヤト様、戻りましょうか」


「そうしようか」


 そっと病室を出て、診療所を後にする。

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[一言] 頑固な鍛冶師に。 まさかの高額報酬(;゜Д゜) いやそれでこそアヤトよ(`・ω・´) でもって、妹分かぁ(意味深
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