43話 魔王ヴィラム
一方その頃レジーナは、開所時間に合わせてリザが入院している診療所へ足を運んでいた。
受付には、リザの連れであり、付き添いに来たと伝えてから通してもらい、リザのいる病室まで案内される。
ドアを小さくノック。
「リザさん、レジーナです。入りますよ」
リザからの反応は無かったが、静かにゆっくりとドアを開けて入室する。
ベッドの中には、まだ明らかに具合の悪そうな顔をしているリザが、レジーナの来室を見て目を丸くする。
「レ、レジーナさん……?ゴホッ、ゲホッ」
「まだだいぶお辛い様子……無理に起き上がらないでください」
咳き込みながらも上体を起こそうとしたリザを、レジーナは制する。
「お水はいりますか?」
「は、ぃ……」
弱々しく頷くリザに、レジーナは持ってきていた水筒にストローを指して、口元に差し出す。
ちぅちぅと、産まれて間もない赤子が母乳を吸うように、ゆっくりと水を吸い出すリザ。
「ぷふ……けほっ、けほっ……」
「反応はしなくて結構ですので、現状をお伝えします。アヤト様達は、ヴァレリオ霊峰に潜んでいるらしい魔物の討伐と、インフェル熱の特効薬のために、ハイリング草の採集に向かっています。何ごとも無ければ、日が暮れる前には里に帰還するはずです。その間、私はリザさんにお付き添い致します」
レジーナは、今の自分達の現状と目的を簡潔に伝える。
「首尾よく事が運べば、明日にも治療を受けられるはずです。……最悪、アヤト様が何もかも自力でどうにでもするかもしれませんが」
「ぁはは……アヤトさんなら、ゴホッ、本当にどうにでも出来そうですね……」
さもありなん、とリザはおかしそうに笑う。
「はい。ですから、リザさんは今はゆっくり休んでいてください」
「…………ゲホッ」
ふとレジーナは、リザの目元に濃い隈が浮かんでいることに気付く。
「眠れていないのですか?」
「せ、咳のせいで、起きてしまうんです……咳のし過ぎで、頭も痛いですし……ゴホッ」
丸一晩、誰もおらず何もない病室で、眠れない夜を過ごしていたのだと言う。
それは精神的にも苦痛だったろう。
「お父さんとお母さんに、会いたいですぅ……」
心も参ってしまっているのか、ホームシックになるリザ。
「……」
身も心も弱りきっているリザに何をしてあげられるか、考え込むレジーナ。
自分がこう言う時、姉上はどうしてくれたか。
もう薄れつつある記憶を掘り返す。
クロナなら法術を使って苦痛を和らげてくれただろう、しかし自分に法術の才は無かった。
自分に才があったのは、むしろ真逆である呪術……
不意に、レジーナは妙案を思い浮かべた。
そっとリザの頭に手を乗せて、ゆっくりと優しく撫でる。
「ふぁ……」
「私はリザさんの姉ではありませんが……ご両親がおられない代わりに、どうか私を家族だと思っていただければ」
我ながら無茶苦茶なこじつけだと、レジーナは自嘲する。
すると、リザの表情が安らいだように和らぐ。
「コホッ……アヤトさんのなでなでもいいですけど、レジーナさんのなでなでも気持ちいいです……」
「私よりも、姉上の方が上手でしょうが……そう言っていただけると幸いです」
「それに……なんだか、ねむく……、けふ、すぅ……」
程なくして、リザは静かに眠りに落ちた。
「(呪術も使いよう、ですね)」
実はレジーナは、なでなでしながらも、掌越しにリザに催眠の呪術をかけていた。
弱っている身体に対して、眠りを強制的に促すのはあまり良くないかもしれないが、それでも眠れなくて苦痛を感じているよりはマシだろうと思っての行動だった。
「夢の中で、ご両親にお会い出来るといいですね」
安らかな寝息を立てるリザに、レジーナはそう微笑んだ。
文字通り尻尾 (は俺が引きちぎったけど)を巻いて逃げたカオスドラゴンの反応は、今いる地点から見てもう少し上……つまり、山頂付近にいるようだ。
「さっきのブレスは冗談抜きで危なかったわ……ありがとうね、アヤト」
クロナに麻痺を回復してもらったピオンが礼を言ってきた。
「どういたしまして。……しかし神経毒のブレスとは初見殺しだな、そこは普通吹雪ブレスだろうに」
いや、あの奇怪な見た目なら何を吐き出してきてもおかしくはないか。
「さて、もう一押しだ。最後の最後で反撃されないように、キッチリとどめを刺すとしよう」
さっさとハイリング草を見つけて、インフェル熱の特効薬をリザに与えないとね。
山頂付近に逃げ込んだだろうカオスドラゴンを追うため、再び山道を急ぐ。
山頂付近に到着すると、傷付いたカオスドラゴンはそこで待ち構えていた。
『もgsげじwucksぢr!』
前歯砕かれて、脇腹に風穴を開けれて、尻尾もちぎられて、色んなところを燃やされたのに元気な奴だな。
まぁいい、遠慮なく斬り捨ててやるとしよう。
バタバタと前後の脚を忙しなく走らせながら突進してくるカオスドラゴン。
とは言えわざわざ正面からぶつかってやる義理は無い、散開して突進を躱す。
すぐさまクロナは補助魔法を詠唱し、
「猛き力をこの手に――『オフェンスドシャープ』!」
赤色の光がクロナに纏われ、それが全員に共有される。
さっきの広域補助魔法の攻撃力版だな。
突進を躱し、真っ先にピオンが反撃に出る。
「――『疾風』!」
焔火とは異なる、新緑色の風を纏った矢を放つ。風属性の射撃のようだ。
文字通り、疾風のごとき一矢が、カオスドラゴンの首に深く突き刺さる。
急所への一撃を受けてもがくカオスドラゴン、突進を止めてしまったそこへクインズが躍りかかる。
「ふぅんッ!」
抜刀様の一閃が左翼の付け根に叩き込まれ、斬り裂く。
「りゃあぁッ!!」
軸足を入れ替え、ぐるりと全身ごと回転させて大きく袈裟懸けに薙ぎ払い、カオスドラゴンの左後ろ脚を深く斬り裂いた。
トゥーハンドソードの質量を、身体の重心移動と遠心力を合わせることで成し得る重撃だ。ただの筋力任せな攻撃では、こうはならない。
「ダメ押しだ――フレイムランス」
もう一発フレイムランス、クインズを巻き込まないように奴の土手っ腹に炎槍をぶち込み、炸裂させる。
『でasu、じenもrn……』
瀕死の状態ですらなお何語喋ってんのか分からん奴だな。
そこへ、クインズの反対側からエリンが弾丸のごとく飛び掛かってくる。
「はあぁッ!」
飛び掛かり様のジャンプ斬りが、腹部を斬り裂き、太刀筋を変えて斬り払い、中段、下段、上段と三連突き、斬り上げながら跳躍し、
「これでっ!」
エクスカリバーを上段から振り下ろし、カオスドラゴンの首に叩き込むと、その長い首を半ばから断ち斬った。
断末魔を上げることなく、カオスドラゴンはその巨躯を崩し、雪に横たえた。
一拍遅れて、カオスドラゴンの頭部と首筋の半分が積雪に突き刺さり、やがて黒ずんで消えていった。
カオスドラゴン、これにて撃破だ。
「ふぅ、倒せたかな」
跳躍から着地したエリンは、息を吐き出す。
「これで、この異常気象は止まるかしらね」
矢をつがえていたピオンは、抜いていた矢を矢筒に戻し、弓も下ろす。
「雪は止むだろうが、気温が上がって雪が溶けるまでは、まだ少し時間がいるかもしれないな」
雪のち晴れ、になるとしたら、雪解けは夕方くらいになるかもしれない。
それでも寒く無くなれば、それだけで薬草探しの難易度は下がる。
「結局、奴は何が目的でこの一帯を雪で閉ざそうとしていたのだろうな?」
クインズはトゥーハンドソードを鞘に納めて、黒ずんで消えていったカオスドラゴンの跡に目を向ける。
「この霊峰の守り神に呪いをかけた……という話では、無さそうですね?」
ヨルムガンド湿地帯の神殿や、アトランティカの水の霊殿のことを言っているのだろう、クロナも鉄扇を畳んで懐へ仕舞う。
「守り神がいるとか、そう言う話は聞いたことないわ。何が目的なのかもサッパリだけど……」
ピオンからすれば、『わけのわからん奴が雪を降らせて里を困らせている』くらいの認識なのだろうが……あの"アリスさん"の一件から、俺に恨みを(勝手に)抱いているアリス(しかも被害妄想で完全にとばっちり)が引き起こした嫌がらせでは無いかと勘繰ってしまう。
まぁともかく、異常気象の元凶は討伐したのだし、ハイリング草を見つけて集めるだけだ。
「素晴らしい!出来損ないとは言え、"ジャバウォック"をこうも容易く倒すとは、これがなろう系転生者の力か!」
ん?なんか変な声が聞こえた。老若男女の聴き分けが出来ない、歪な不協和音のような声色だな
振り返って見れば、俺達が登ってきたところに、俺より一回りくらい歳上っぽい、女性にも見える青年?が喜色満面の笑顔を浮かべている。
ただ……耳が尖っていたり、側頭部に巻角、背中には蝙蝠のような羽根が生えているところ、魔族かあるいは魔人だろうか。
「誰よ、あんた?」
警戒心を強めたピオンが、矢筒に戻したばかりの矢を手に添える。
「おぉ、これは失礼。そこの彼の力があまりにも素晴らしいもので、思わず感動してしまった」
そこの彼?俺のことか。
いや、それよりもだな。
「ハローこんにちは。どこの世界から転生した方かご存知無いが、俺に何か御用かな?」
今こいつ、俺のことを"なろう系転生者"と言ったな。
と言うことは、こいつもアリスやムルタの"同類"の可能性が高い。
0.1秒で始末出来るようにだけ構えておくか。
「初めましてだな、――ふむ、この世界ではアヤトと言うのか。我が名は、魔王『ヴィラム』。なに、汝らと事を構えるつもりはない。安心するが良い」
「……魔王?」
魔王と聞いて、エリンの目が細まる。
「まぁ、魔王と言うのは仮の肩書に過ぎぬ。我は、"エタられた者ら"の代表として、魔王を仮称しているだけだ」
「エタられた、者?」
何の話かと疑念に思いつつもクロナは、懐の鉄扇に手を添える。
「エタ……と言うと、貴様も"削除された世界"からの転生者か?」
その当事者であるクインズはトゥーハンドソードを抜いて身構えているが、俺は一歩前に出てそれを制する。
味方では無いかもしれないが、敵だと決め付けるにも早計だ。
「俺のことを知った上で接触してきたと言うことは、あんたもあのマジキチ……アリスに利用されてきたクチかな?」
こっちが何もしなくてもあっちこっちに敵を作りやがって、マジでふざけ散らかしてんなあのマジキチ。
「アリス?あぁ、あの善悪の区別も出来ぬどうしようもないクズのことか」
どうしようもないクズwww確かにその通りだなwww
「なんでも、しげねこ……汝を随分と怨んでいたようでな。あまりにも素晴らしい魂だったから、少し甘言を囁いてやればすぐに全てを委ねよったわ」
ん?こいつはあのマジキチの魂と言うか、怨念を自身に取り込んだのか?
「まぁそれは良かろう、本題に入るとしよう」
本題ってなんだよ、こちとら病人が待っているから早く探しものを集めて帰りたいんだけど。
「転生者アヤトよ、その力を見込んで頼みたい。我々"エタられた者"と共に、物語をエタらせる無責任な神々や作者への、報復の力添えをしてくれぬか?」
「断る」
ナノ一秒でお断りだよ。
「何故だ?それほどの力があれば、多くのエタられたオリキャラ達を救うことが出来る。ひいては、創作界隈の陳腐化を防ぎ、活発化に繋がるのだ」
いや、何故だって言われてもな。
「俺は今、"休暇中"なんだよ。故あって色々とトラブルに見舞われているけど、今は自由に過ごしたいんだ」
ただでさえ色々あって休暇の予定が変わりまくってんのに、これ以上面倒事に巻き込まれてたまるかい。
「むぅ、それは残念だ。そなたの力があればまさに億人力だが、意にそぐわぬことを強いらせるつもりもない」
おや、あっさり退いてくれたな?
力尽くで俺を連れて行くなら、正々堂々と武力で叩き潰すつもりだったけど、帰ってくれるならまぁいいや。
「では、いずれまた会おう。……あぁ、それともう一つ」
まだなんかあんのか、はよ帰れ。そして二度と出てくんなし。
「ジャバウォックの呪いによって、この一帯の天候が乱れていたことは謝罪しよう。尤も、それも討たれたことで消える呪いだがな」
ふむ?
つまり、ジャバウォックを俺達にけしかけたのは、ヴィラム。
何故かジャバウォックをけしかけたのかと言えば、俺の力を試すため。
しかしヴィラム自身にもジャバウォックの呪いは把握しきれていなかったと。
……合点が入った。
アリスの怨念がヴィラムに取り込まれたことで、アリスが復活させようとしていたジャバウォックの存在を知ったのか。
でもまぁ、呪いの如何に関わらず俺の休暇の邪魔をしたことに変わりはないし……
「よし、殺すか」
「さらばだアヤトよ」
するとヴィラムは、時空を切り開いて、その中へと消えるとすぐに時空を閉じた。
……ちっ、逃げやがったなあの野郎。
今度会ったらけちょんけちょんにしたる。
それにしても……無責任な神々や作者への報復だかなんだか知らんけど、俺じゃ無くても強いなろう系転生者はいくらでもいるんだから、俺達を巻き込もうとするんじゃない。勝手にやれよ。
「……何これ、あたし、夢でも見てるの?」
「大丈夫だよピオンちゃん、慣れたらあれくらい普通に見慣れるから」
ゲシュタルト崩壊したような顔をするピオンを、エリンがフォローしてるけど、そのフォローのし方がいい加減すぎる。
「無意味な時間を過ごしたな。さぁ、早くハイリング草を集めて、帰還しよう」
さて、第一目標は達成したから、次は第二目標の達成を急がなくてはな。
とりあえず……
「ピオン、ハイリング草は高地のどの辺りに自生しているか分かるか?」
ここからは、この中で唯一土地勘のあるピオンの知識頼りだ。
「頂上付近まで来ることはあまり無いのだけど、確か……」
少し考え込むそぶりを見せてから、ピオンはその方向へ近付いてしゃがみ込むと、積雪を払う。
「違う……」
位置を変えて、積雪を払い、また位置を変えては積雪を払い……を何度か繰り返すと。
「あった!」
ピオンの声と共に、それが雪の中から掘り起こされる。
蓬色に近い草を顔に近付けて、匂いを嗅ぐ。
「スンスン……うん、これに間違いないわ」
見た目だけではハイリング草とよく似た別の草である可能性もあるので、匂いも確かめたのだろう。
「よし、早速見つかったらあとは余裕だ。ピオン、それちょっと貸してくれ」
「え?はい」
ピオンからハイリング草を受け取り――
………………
…………
……
「よし、覚えた。ありがとう」
ハイリング草をピオンに返そうとするが、
「え、覚えたって……もう?見ただけなのに?」
普通ならパッと見ただけじゃ、細かい部分の違いには気付かないかもしれないだろう。
「大丈夫だ、『物質の情報を読み取った』から、間違えることもない」
どういうことかと言うと。
言うなれば、人間のゲノム……つまりは、DNAを読み取るようなものに近い。
万物全てには必ずその"情報"があり、それを感覚化したのだ。
例えばその辺に転がっている石ころだって、それにしか無い唯一無二の情報が刻まれている。
ハイリング草も同じことで、自生する環境によって情報は左右することはあるものの、『基本的な構造は変わらない』。
人間にも男女の違いこそあれど、根源的な"ヒト"としての部分は変わらないのと同じだ。類人猿辺りまで来るとカテゴリが変わるけど。
故に、今ピオンが採取したハイリング草と比較して、その他多くの薬草との情報が、凡そ一致していれば、それはハイリング草だと識別出来るのだ。
その識別を俺の探知とトレースすれば、このヴァレリオ霊峰のどこにいようと、ハイリング草が自生している場所を特定可能だ。
以上のことをみんなに説明したが、揃って「?」な顔をされた。今の話を理解できるのは、魔法学について造詣のあるリザくらいだろう、仕方ないね。
探知を拡散、ハイリング草の情報と自生位置を相互トレース――結合!
「これでよし。あとは道すがら、採り過ぎない程度に採集しながら帰ろう」
インフェル熱の本来のピークである寒冷期、その直前になってハイリング草が乱獲で絶滅してました、なんてシャレにならないので、生態系を乱さない程度にね。
「さ、さすがフローリアンの英雄、何でもありね……いえ、もう英雄かどうかは関係無いかも……」
ピオンは顔を引き攣らせているが……うん、確かに英雄かどうかは関係無いな。
英雄にはなりたくてなるものではないからな。
やりたいことか成すべき事か、持てる力を尽くした上で叩き出した結果を見た、他人が勝手にそう讃えるのだ。本人の意志はほったらかしにした上で。
伝説の英雄の伝説なんてものは、しょせんそんなものだ。本人からしたら傍迷惑極まり無いだろうけどな。
帰るついでにハイリング草を採集しつつ、ヴァレリオ霊峰から下山し、スプリングスの里に帰還してきた頃には、まだ昼過ぎ頃だった。思ったより早く帰ってこれたな。
気温が元に戻り、雪解けが始まった里の中をそそくさと歩いて、集会所へ。
受付嬢さんにはピオンが応対し、そのまま奥の執務室へ入れさせてもらう。
ノックしてもしもーし、しつれーしゃーす。
「あ、アヤト殿?まさか、もう帰還してきたのですか?」
こんな早い時間に帰ってくると思ってなかったのか、ジョンソンマスターは目を丸くしている。
「報告致します。霊峰高地に潜んでいた魔物の討伐を確認。ハイリング草も、乱獲にならない程度の量を採集しました。こちらをご確認ください」
道具袋に詰め込んだ、それなりの量のハイリング草をジョンソンマスターに見せる。
「おぉ、こんなに多くの……ありがとうございます。こちらはギルドが責任を持って預かり、すぐに診療所の方へ届けさせましょう」
よろしくおなしゃーす。
道具袋は借り物なので、袋ごとハイリング草を引き渡す。これでリザも安心だろう。
あとは、首尾よく特効薬を調剤してもらえれば、彼女の容態も良くなるはずだ。
せっかくの温泉、リザも一緒に楽しんでほしいからな。
すると、機を伺っていたピオンが、ジョンソンマスターに発言を求める。
「ギルドマスター、温泉の復旧はどのくらいになりますか?気温も元に戻って来ているので……」
そうか、温泉が凍ってしまっているってさっきも言ってたな。
温泉そのものはこの山から引いてきているんだろうけど、それが凍結するほどとなると……下手すると、せっかくの温泉旅行で温泉に入れないままお帰りになる可能性もあるか。
それはやだなぁ……




