31話 ギャクゾクヲチュウバツセヨ
「父上!僕に構わず、兄う、がっ……」
アレックス第二王子が何か訴えようとして、ゴーマン第一王子に腹を蹴られて気絶した。
「お前は黙ってろ」
「貴様……!」
シュヴェルト王がゴーマンをついに名前じゃなくて「貴様」呼ばわりした。
「座興はここまでにしましょうか。なぁに、王位継承が少し早まっただけのことです」
バカタレ、座興をここまでにするのはお前の方だよ。
「それで、どうしますか?次男の命が惜しければ、大人しく王位を譲ってください。それが嫌なら……」
と、気絶しているアレックス第二王子の首筋に剣を近付けてみせるゴーマン第一王子。
油断し始めた頃を見計らって、縮地――無影脚で距離を詰め、アレックス第二王子を拘束している私兵の眉間を指先で突いて脳機能を麻痺させ、蹴り飛ばすと同時にアレックス第二王子を抱え込んでその場からハイジャンプ、階上に着地する。
「なっ、おまっ……!?」
「アレックス第二王子の身柄は、自分が奪還した!」
敢えて大声で奪還を宣言する。
これで人質作戦は封じ込んだも同然だ、私兵達にも動揺が広がっている。必勝の切り札をいきなり潰されればそうもなるだろうよ。
「陛下、号令を!」
奪還宣言の意味をいち早く理解したクインズは、サーベルを構え直してシュヴェルト王に号令を頼んだ。
国王命令さえあれば、とりあえずは正当化出来るからね。
「うむ。シュヴェルト王国国王が告げる。――反乱分子を捕らえよ!」
シュヴェルト王からの命に、衛兵達は一斉に人質の無くなったゴーマン第一……いや、ゴーマン一派を取り囲んで槍の穂先を向ける。
「ば、馬鹿なっ、こんなことが……!?」
弟の人質という切り札を潰されたゴーマンは狼狽えるばかりだ。国王としても将軍としても、器が知れてるな。
俺はその隙に、アレックス第二王子を抱えたまま階下に降りて、シュヴェルト王の近くに下ろしておく。
さらに、騒ぎを聞き付けた増援が彼らの背後から現れ、ゴーマン一派を包囲する。
「くっ……おいムルタ!なんとかしろ!」
ゴーマンがそう言って視線を向けたのは、幻術師の少年だ。ムルタと言うのか。
「うーん、思ったより先を読まれてたかぁ、これはさすがに予想外だなー」
窮途末路の状態でも、ムルタはどこか呑気だ。
……何か明確な勝算でもあるのか?
「それじゃーしょうがない、次の手だね♪」
パチン、とムルタが指を鳴らすと。
途端、狼狽えていたゴーマン本人を含む一派の動きがピタリと止まった――と思いきや、目を血走らせて、
「うがぁぁぁぁぁ!」
「なっ、ぐわぁっ!?」
「こっ、こいつら!」
手にしていた剣や槍で、衛兵達に急に襲い掛かった。
今のフィンガースナップも幻術、洗脳の類か!
恐らく、私兵達に予め術を仕込んでおき、合図ひとつで洗脳可能なようにしていたのだろう。
不意打ちに数名の兵士が負傷してしまい、今度は衛兵側が動揺しかけるが、
「狼狽えるな!反撃せよ!」
いち早く戦意を取り戻したクインズが声を張り、率先して私兵の一人を斬り倒して見せる。
洗脳されたゴーマン一派と衛兵達との戦端が開かれてしまった。
だが、俺はそれに加勢している場合ではない。
「逃がすか」
ガリ、と『左の小指の皮膚を噛みちぎってから』再び縮地、ムルタの背後へ回り込み、首根っこを押さえようと左手を勢い良く伸ばすが、
触れたと思った瞬間、またしても奴の身体が煙のように消えてしまった。
ちっ、ここでとっ捕まえられるならそうしたかったが、この場は仕方ない。追跡出来るようになっただけマシだな。
よし、反乱鎮圧に加勢しよう。
とりあえず私兵達を片っ端から気絶させ……ん?別の方向から敵意が。
俺がそれを視界に入れ、縮地しようと思った時には、私兵の一人が弓を引いており、矢を放った瞬間だった。
その矢の行く先は――クインズ!
私兵と戦っている最中の彼女は矢に気付かず、右肩を射られてしまった。
「ぐっ!?」
矢を受けて怯んでしまうクインズに、私兵は槍で突き刺――
「させんっ!」
両手に雷属性エネルギーを纏わせ、手を銃の形にすると、雷属性エネルギーを銃弾のように発射、弓兵と槍兵、両方の眉間を同時に撃ち抜いて射殺した。許せとは言わないよ。
いつかの異世界転生の、どっかの悪徳の都で二丁拳銃スタイルで暴れ回っていた時の経験がこんなところで活きるとはな。
そのままクインズに駆け寄り、支えてやる。
「大丈夫か!」
「っ……大、丈夫だ……」
っておいおい、右肩に矢が刺さったまま戦うつもりかよ、それはこのアヤト、見過ごせませんよ。
「ちょっと荒くするぞ」
クインズの右腕を掴み、刺さっている矢を強引に引き抜く。
「うっ、ぐぅぁっ……!」
鏃の両端が傷口を抉り、彼女が苦悶の声を上げる。
矢の鏃の厄介なのは、突き刺さったあとは抜けにくいように両端が広がっているところなんだよなぁ。
矢を抜いたところから血が飛び散ったが構わん、そのまま掌で傷口を押さえ付けて、
「パクるぞクロナ。――キュア」
クロナが使っていた上級法術……それを模した治癒魔法を発動、淡い緑色の光がクインズの右肩を包み込む。
何で俺が使えるのって?クロナの魔力波長を読み取って自分なりに再構築して可能な限り再現してるんだよ。
ただ、海巫女の神通力ではない、魔法によるものなので、100%の再現ではない。
本来なら法術は彼女の専売特許だが、緊急時なので許してほしい。
「これは、回復呪文……?」
クインズの顔から強張りが解け、傷口が塞がる。
よし、こんなもんでいいだろう。
「下がってくれ、あとは俺が片付ける」
トン、とクインズの肩を軽く叩いてから、無影脚で衛兵達と私兵達のど真ん中へ飛び込むと、
「ほい、ほい、ほい、ほい、ほい、ほい、ほい、ほい、ほい、ほいっと」
すれ違いざまに当て身を食らわせて、ゴーマンを含む私兵達を次々に気絶させていく。
最後の一人ももれなく意識を刈り取り、ゴーマン一派は全員赤絨毯の上を転がる。
はい、鎮圧完了。
ほんの数秒で、(殺害された者を別にして)ゴーマン一派を全員気絶させたのを見て、衛兵の皆さんもあっけにとられたような顔をしてらっしゃる。
「お……お見事」
クインズもポカーン顔をしている。
とりあえず力尽くでこの場を鎮圧したのはいいんだが、まだ問題は残っている。
「失礼致しました、陛下」
シュヴェルト王の前で跪いて頭を下げる。
「この場は片付けましたが、あの幻術師……乱の元凶には逃げられてしまい、申し訳ありません」
「よい、面を上げてくれ。旅人よ、よく乱を鎮圧してくれた。この国の王として、礼を言わせてくれ」
しかし、とシュヴェルト王は言葉を続ける。
「乱の元凶には逃げられたと言ったか。もしや、あの怪しげな子どものことか?」
「はい、あのムルタと言う幻術師が、何かしらの理由の元にゴーマンを唆し、シュヴェルトとエスパーダの両国をぶつけようとしたのだと思われます」
多分、奴は死の商人の手先だろう。
ゴーマンを見捨てて自分だけ逃げた辺りを鑑みても、ゴーマンに忠誠など違っておらず、戦争を引き起こすためのちょうどいい起爆剤にしか見ていなかったのかもしれない。
「かもしれない」から「恐らくそうだろう」というものに変わっただけだが、俺の中での可能性の順位は上がっている。
戦争は大量殺戮と大量破壊の象徴だが、同時に別の視点から鑑みれば、これ以上に儲かる商売はない。
武具や防具といった消耗品は、戦時中では飛ぶように売れる。
それらを双方の国に売りさばけば、戦争は激化・長期化し、さらにまた武具と防具が要求される……それを取り扱う者らにとっては莫大な利益を上げられてウハウハ、商売繁盛で笑いが止まらなくなるだろう。
マッチポンプ的に戦争を誘発させようとしたのだとすれば、ムルタが死の商人の手先だろうというのは想像に難くない。
「それをみすみす逃した……つまり、『乱の熾火はまだ残っている』ということ。熾火が残っていれば、すぐにまた燃え上がります」
そうなると今度は違う方向からアプローチをかけて両国の戦端を開こうとする恐れがある。
もし本格的に戦争状態になったら、エリン達も巻き込まれてしまう。
それは何としても阻まなければならない。
「む……第三者が我が国とエスパーダとの戦争を望んでいる、ということは理解した。エスパーダの方も、こちらとの戦争を避けたいがために、アレックスとクリスティーヌ姫との婚約話を申し出てきたのなら、向こうから仕掛けてくることはあるまい」
頷くシュヴェルト王に、「まさしく」と肯定する。
そこへクインズが一歩前に出て意見を口にする。
「我が国とエスパーダが盟を結び、そして乱の元凶たる謀反人ムルタを、協力して誅伐すべきでしょう。奴がいる限り、両国は緊張状態に晒され続けることになります」
おっ、積極的な意見いいゾ~。
謀反人ムルタと言う、共通の敵を以て両国の盟を確かなものとする、ということだ。
「だが、謀反人ムルタは先程、煙のように消えてしまった。追おうにもこれでは……」
ムルタのワープの仕組みが分からない以上、奴の潜伏先はどこかの目処も立たない、とシュヴェルト王は言う。
ふははははは、そんなこともあろうかと!
「いえ、奴の居場所は分かります」
「何?どう言うことだ?」
シュヴェルト王よりも先にクインズが食い気味に訊き返してきた。近い近い。
「奴が逃げる寸前、自分の血を奴に付着させておきました。奴が血に気付いて洗い落とさない限り、血の気配を追って追跡が可能です」
そう。
俺は自分の血が付着した存在を追跡することが出来る。
同じ時空にさえいれば、たとえ地球の反対側にいても探知可能だ。
ようするに、カラーボールみたいなもんだな。
ついさっき、左の小指の皮膚を噛みちぎって血を出したのはこのための仕込みだ。
ムルタを捕まえようと手を伸ばしたのは間違いないが、捕まえられればそれでよし、逃げられても血を付着させればこちらのものである。
「なんと、そんなことが可能なのか!?」
「はい。……どうやら謀反人ムルタは、ここから南東辺りに身を潜めたようですね」
俺のような長距離ジャンプではない、空間転移の類で移動しているらしいが、この時空内で俺の血を付けている限り、どこへ逃げても無駄だ。
「南東というと……あの辺りは確か廃村――『オキザリス村』があった場所だ」
クインズが顎先に指を添えて地勢情報を明かしてくれる。
廃村か。
なるほど、人気が無いという意味なら身を潜めるにはうってつけだ。
「ん……これは……地下か?」
廃村の中に地下室でもあるのか、奴は地下に逃げ込んだようだ。
「ふむ……ならば、エスパーダとの共同軍でオキザリス村に包囲網を展開し……」
「いえ、包囲網は恐らく無意味です。謀反人ムルタは空間から空間を移動していると思われます。つまり、包囲してもそれを飛び越えて別の地点に移動してしまうのです。それに、あまり大人数で動くと謀反人ムルタにこちらの行動を勘付かれてしまう可能性もあります」
包囲網を展開する、というシュベルト王の策を遮る。
「む、それはなんとも面妖な……」
面妖か、言い得て妙だな。
「ともかく、奴の潜伏場所は割れました。今日はもう日が暮れる寸前ですので、明日の朝にでも、自分と自分の連れでオキザリス村へ攻め込みます」
「いや、これは我が国の問題だ。客人たる貴方の手をこれ以上煩わせるわけには……」
事に対して責任感を持つというのはいい姿勢だよ、クインズ。
でもね、
「俺達からしても、奴に戦争など起こされてはたまらないからな。せっかく乗りかかった船だ、関与したからには、"後始末"までしっかりさせてらうよ」
あのムルタの目的なぞ知らんこっちゃないが、俺の休暇の邪魔をするなら容赦はせん、因子の一欠片も残さず"消して"やるとしよう。
「関与したという意味なら、私もそれに含むだろう。私にもどうか協力させてほしい」
おっ、もしやこれは仲間になるフラグかな?
「俺達はこの地の地勢に詳しくない。案内役と、もし戦闘になったとしたら、戦力としてもアテにしていいか?」
「無論だ。騎士の誇りにかけて、あのような幻術師に遅れは取るつもりはない」
毅然として姿勢を正してみせるクインズ。
「ならば、旅人……いや、アヤト殿、クインズ。我が名において命ずる。――謀反人……"逆賊"ムルタを誅伐せよ」
シュベルト王からの辞令も降り、ムルタも逆賊認定、これで心置きなく暴れられる。
「お任せください」
「仰せのままに」
今度はシュベルト王が、エスパーダへ向けた信書の返信を行う。
その内容は簡潔に纏めると、
・逆賊ムルタなる存在が、両国の緊張を煽り、戦争を引き起こそうとしている。
・アレックス第二王子とクリスティーヌ姫の婚約のために、両国が協力して動くべき時。
・故に、決してシュベルトから戦争を仕掛けることはないと誓う。
・現在、逆賊ムルタ誅伐のために行動中、吉報を待つべし。
というものだ。
伝令役に馬を走らせて、エスパーダまで一直線。
それを見送ってから、俺はようやく解放された。
城門前で、門番さんにロングソードを返してもらって。
「ではアヤト殿、明日の朝に出立ということで、よろしいか?」
帰る前にクインズと明日についての軽い打ち合わせだ。
「あぁ、分かった。……それと、俺のことは"殿"呼ばわりせず、普通に呼んでほしい。俺もクインズと呼ばせてもらう」
「了解した、アヤト」
互いに会釈しあって、また明日。
やれやれ……このモノクロな世界に来てからまだ半日しか経ってないのに、色々あり過ぎた。早く宿屋に行こう。
宿屋に着いたら、食事処でみんなが待ってくれていた。
「あ、アヤトおかえりー」
「おかえりなさい、アヤトさん」
「アヤト様、おかえりなさいませ」
「お疲れ様でした、アヤト様」
エリン、リザ、クロナ、レジーナが順に出迎えの言葉をかけてくれる。
「うん、ただいま。みんな揃ってるならちょうどいい。……そうだな、ここじゃなくて、借りた部屋の中で話したいことがある」
ちょっと長くなるし、他人に聞かれてはまずいことなので。
三人部屋の方へ入室し、すぐにこの部屋の周りに結界を張る。
この結界は他者の侵入を防ぐだけでなく、防音効果もあるので、この会話が外へ漏洩することはないはずだ。
ムルタの気配はまだ廃村の地下にあるが、念には念を入れておかなければ。
「それで、話したいことって?」
なんだか機嫌の良さそうなエリンが訊ねてくる。何か良い事でもあったんだろうか。
「実は……」
俺は、この二時間少しの間で起きたことを、出来るだけ詳しく話した。
アレックス第二王子に頼まれた信書を、隣国エスパーダのクリスティーヌ姫に届けたら、そのクリスティーヌ姫に同席を頼まれて、エスパーダ王に拝見することになったこと。
その信書の内容とは、アレックス第二王子の実兄、ゴーマン第一王子が、エスパーダへの軍事侵攻を企てているので、アレックス第二王子とクリスティーヌ姫とが婚約することで盟を結び、戦争を回避したいということ。
しかしこの話は、エスパーダ王の妃に化けた幻術師――ムルタに聞かれており、そいつを捕えようとしたが逃げられてしまったこと。(なお、本物の王妃は自室で拘束されていたらしい)
ムルタの目的は恐らく、シュベルトとエスパーダの両国を戦争状態に陥らせ、両国に武器や支援物資を売り付けて上前をはねるつもりだろう、ということ。
今度はエスパーダ王からシュベルト王へ向けた信書を預かり、シュベルト王国へ蜻蛉返りし、ついさっきに出会った女騎士――クインズの先導で入城、信書をシュベルト王へ渡すと、アレックス第二王子とクリスティーヌ姫との婚約に賛成してくれたこと。
これで戦争は回避出来るはずと思ったら、ムルタがゴーマン第一王子を唆したのか、ゴーマン第一王子とその私兵らが反乱を起こしたこと。
反乱そのものは (力尽くで)すぐに鎮圧出来たものの、事の元凶のムルタにはまたしても逃げられてしまったが、逃げられる間際に俺の血を付けておいたおかげで、潜伏場所の大まかな場所は割り出していること。
ムルタを大々的に逆賊認定し、シュベルト、エスパーダはこの誅伐のために足並みを揃えることを誓ったこと、
明日の朝にクインズと合流し、南東にあるという廃村、オキザリス村へ攻め入ることになったこと。
「……と、言うのがこれまでの経緯だな」
「やっと落ち着けると思った早々になに問題起こしてるんですか……」
言い終えて早々にリザにジト目で見られた。
「俺が起こそうと思って問題を起こしたわけじゃないぞ?ただ手紙を隣国に届けただけなのに、なんでこうなったのかむしろ俺が聞きたいわ」
訳:コレも全部ムルタってやつのせいなんだ。
いや、ほんとに。
ぁんのダボが余計なことしなきゃ、こんなことに巻き込まれはしなかったのに。
「と、ともかく、両国の戦争を誘発しようとした幻術師がいて、明日の朝に目標を討伐、あるいは捕縛、ということですね?」
話が逸れる前に、レジーナが話の腰を戻してくれた。
「可能であれば捕縛だが……今回は少し難しいかもしれないな」
次にムルタを捕捉したら、封印魔法で奴の幻術を封印するつもりだが……何せ奴は転生者(本人は否定していたが)だ、どんなチートスキルでこっちの手段を無効化してくるか分からん。
「アヤトさんが少し難しいかもしれないと言う相手……わたし達に対抗出来るでしょうか……?」
リザが(なんか間違った方向に)不安を感じている。だから俺を基準にするんじゃありません。
「確かに奴の幻術は厄介だが……逆に言えば、それさえ躱してしまえばこっちのものだ」
だが、奴が転生者(仮定)だとすれば、こっちはこっちなりの対処のしようがある。
こちとら文字通り桁が違うんでね、女神様の指示で、チートスキルやらなんやらで好き放題暴れていた転生者を何万人も粛清したこともあるからな。
「では、今日のところは明日に備えましょう、ということですね?アヤト様もお疲れでしょうし……エリンさん、あまりアヤト様に無理をさせてはいけませんよ?」
クロナがそう締めてくれたが……何故そこでエリンが俺に無理をさせることになるんだ?
今日この宿で借りる部屋の割り当てで、俺とエリンが二人部屋で夜を過ごすことになったと知らされたのはこのあとすぐのことだった――。
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