第1-④話:四辻公園の説明
「四辻公園は五感がテーマとなっているのは、記者様のおっしゃる通りです。それぞれ視覚、聴覚、嗅覚、触覚をメインに打ち出している区域が四つあります。それから、嗅覚を覗く三つの区域にそれぞれ食事を楽しめる場所があるのです」
四つの指を伸ばし、もう片方の手で人差し指を指し示す。
「視覚をメインにしたところは、タイルアートを施した展望台が特徴的でしてね。いつ見ても素敵で、何時間でも過ごせそうな雰囲気で。噴水ではパフォーマンスも行っていますので、多くのお客様が立ち止まってご覧になってくださいます。展望台の上にはアイスやクレープといった出店に、食事を楽しめるお店もあります。小さなタイルアートを販売するお土産屋もあるのが特徴ですね」
続いて中指を指し示す。
「聴覚をメインに打ち出したところは、水の流れる音、滝の音や葉のざわめく音、枝のこすれる音などを楽しめる空間です。通常の道路より低い位置にある分、木が高く感じて、音の世界に閉じこもることができるのです。道沿いに歩いた先にある茶屋では、お団子やあんみつといった和のお菓子を堪能できます。一服しながら自然の音に耳を傾けられるのが特徴です」
次に薬指を指し示す。
「嗅覚をメインに打ち出したところは、まるで英国のような庭園となっており、四季折々の花を楽しめます。チューリップやバラ、コスモスなどの足元を彩るものに、桜や椿といった頭上を彩るものもあります。四方を花に囲まれ、とても良い匂いに満ちているのです。唯一、甘味処がなく、花を楽しみながら散歩してもらう場所となっています。庭園の奥には洋館があり、景観の一部としてとてもなじんでいるのです」
最後に小指を指示した。
「触覚をメインに打ち出したところは、芝生広場と大きな建物があります。芝生で寝転がれば全身で自然を感じられます。建物では、常時二種類のワークショップが開催しております。粘土細工やタイルアートづくり、パン作りに生け花などです。建物の下には足湯があり、疲れた足を癒すことができます。パン屋も併設されており、癒される場所なのです」
そこまで話し、記憶屋が立ち止まった。
「さて。到着しましたね」