前置き
この話は、私が苦労して取材をした結果をまとめたものである。取材は長期間にわたり、彼らには多くの迷惑をかけてしまったことだろう。
取材内容を書き留めていたノートも増えてしまって、何を書いたか自分でわからなくなるほどだ。
そのため、話の時系列が前後してしまうこともあるだろう。それはどうか、許してほしい。なんといっても、こうやって文字に起こせることに、興奮しているのだ。
長い年月をかけてきたが、ようやく人へ伝えられるようになることが、私はとても嬉しい。
ふぅ。ここまで書いて、ようやく手の震えが落ち着いてきた。
これから書き記す話は、取材内容からさらに脚色して、面白く伝えるように編集したものである。本人たちが見れば、話を盛りすぎだとか、ここまでは言ってないとか、そう言われるだろう。けど、人に伝えるためには、多少の事実のねじ曲がりというのは必要不可欠だ。
彼らには、仲介人から許しを得ていると言えば、静かになってくれるはずだから、私は私のスタイルを貫かせてもらう。
さて。面白可笑しい彼らの話を書く上で、タイトルにも困っていた。
頭をひねりにひねった末に出てきた、「ちょっと他人より」という微妙なタイトルは、私に文才がないことを示している。
文才がないというか、キャッチフレーズを考えるのが苦手なだけだ。そういうことにしておいてほしい。
このタイトルにした理由があるため、恥ずかしながら書いておこう。
彼らは、他人よりも少しだけ違う点がある。
例えば、他人よりも少しだけ目が良かったり。
例えば、他人よりも少しだけ鼻が良かったり。
例えば、他人よりも少しだけ見ている物象が多かったり。
それらを踏まえたうえで、「ちょっと他人より」というタイトルが一番だろうと思った。
こう考えると、安直すぎる気もしてきた。
いや、タイトルというものはわかりやすくて覚えやすいのが一番だ。
ああ、そうだ。最後に。
どうか私のことは、偉大な記者と呼んでほしい。なんといっても、彼らの取材を許されたのは私が初めてだからだ。えっへん。