第67話 打ち合わせ②
朝桐さんは、俺の送ったラブコメのプロットを印刷して持ってきたくれていた。
「まず、全体的にはいいと思うわ。まさかのラブコメで驚いたけど」
「ええ、ファンタジーよりはラブコメを書いてみたいって思ったので」
紗良という妹がいる事もあり、兄妹ラブコメのプロットを送っていた。
「それで、タイトル何だけどね」
「はい」
そこまで言うと、マスターがコーヒーを運んできてくれた。
ちょうどいいくらいのタイミングである。
「ありがとうございます」
マスターは、少し口角を上げると、静かにカウンターの中に戻って行った。
「で、タイトルのことだけど、ここはもうちょっと一緒に考えてみましょう」
「分かりました」
「あらすじと、作品の軸になるもんのはよくできていると思うわ。このまま、本文の方を書いてみてください」
タイトル以外の所は、一発でクリアしてしまった。
「ありがとうございます。やってみます」
「お願いします。書式とかは後で送っておきますので」
「助かります」
俺にとって、小説を書くというのは初めてのことである。
分からないことも結構多い
「あとは、タイトルねぇ。これが結構難しいのよね」
朝桐さんは、頭を抱えていた。
俺の出したタイトルは『妹がいれば俺は彼女なんていらないのかもしれない』というものだった。
確かに、面白みがないというか、引き付けるものが無いというかだ。
「タイトルって大事ですもんね」
「ええ、そうなのよ」
ラノベは、タイトルと表紙イラストで売れるか売れないかが決まると言っても、過言ではないだろう。
「じゃあ、タイトルは練り直してみます」
「頼んだわ。私の方でも考えてみるから」
「ありがとうございます」
そこから、30分ほど、今後の動きについて話すと打ち合わせは終了となった。
大体、本にするにあたって、10万字前後は書いて欲しいとのことであった。
「では、私はこれで失礼します」
「はい、お疲れ様でした」
俺たちは、喫茶店を出ると、駅まで朝桐さんを送った。
「さて、俺も帰ろう」
そう呟くと、俺はポケットからスマホを取り出すと、メッセージアプリを立ち上げ、紗良に打ち合わせが終わったことを伝える。
すると、すぐに既読が付き、『お疲れ様』というスタンプが送られ来た。
それに、今から帰る旨を伝えると、俺は自宅に向かって歩き始めた。
「ただいまー」
玄関のカギを開けて、家に入る。
「おかえりなさい」
紗良がリビングから顔をだし、満面の笑みで迎えてくれる。
「打ち合わせ、どうでした?」
「大体、おっけーだったよ。本文の方をやってくれとさ」
「すごいですね!!」
紗良は、目を輝かせている。
「おう、とりあえず、着替えてくるわ」
そう言うと、シャツのボタンを外しながら、自分の部屋へと向かった。
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