第46話 紗良、初めてのメイド喫茶
翌日、スマホのアラームで目が覚めた。
「時間か……」
春輝は、基本的に、寝起きはいい方である。
稀に、疲労で死んだように眠る事もあるが。
「おはよう」
「あ、おはようございます」
紗良と同じタイミングで部屋を出た。
「朝飯、適当に食べちゃうか」
昨日の晩ご飯の残り物と、納豆があったので、2人で食べることにした。
「「いただきます」」
手を合わせ、食事を進めていく。
「昼過ぎには出かけようか」
「ですね」
2人は朝食を終えると、それぞれ着替える為、部屋に戻った。
春輝は、紺の柄シャツに黒スキニ。
紗良は、白のワンピースに、小さなピンク色の鞄をぶら下げていた。
「準備できたか?」
「はい! 大丈夫です」
昼過ぎ、準備が整うとアキバへと向かうべく、駅に向かった。
ここから、駅まで10分、そこから電車で20分ほどで、目的地へと到着する。
「なんか、混んでるな」
「今日、ライブがあるらしいですよ」
「だからこんなに混んでるのか……」
混み合っていた電車を降りると、そこは比較的、落ち着いていた。
「落ち着いたな」
「そうですね」
正直、人混みというのはあまり得意では無い。
「さて、行くか」
改札を出ると、そこから5分ほど歩いた所に、今日、行くメイド喫茶がある。
「ここの3階だよ」
そう言って、春輝は指差した。
「アキバってあまり来ないから、新鮮です!」
「まぁ、用もなく来る所じゃないわな」
春輝自身も、用事が無いと訪れない地ではある。
「上がるぞ」
「はい!」
2人は、エレベーターに乗り、3階を押す。
「なんか、緊張します」
「そんな、緊張するほどのもんじゃ無いって」
エレベーターの扉が開くと、メイド喫茶セルヴァントと書かれている看板が出ていた。
『カランコロン』
メイド喫茶の扉を開いた。
「「おかえりなさいませ! ご主人様、お嬢様!」」
可愛らしい、メイド服を身に纏った、女の子たちが出迎えてくれた。
「おぉ、」
「ちょっと兄さん、鼻の下伸びてますよ!」
「おっと、それはすまない」
春輝は意外とメイド服が好きだったりする。
やっぱり、メイドは男のロマンだよな。
「こちらの、空いているお席にどうぞ」
1人のメイドさんが案内してくれた。
「はーい」
2人は、案内された席へと腰を下ろした。
そこから、メイドさんが説明をしてくれる。
「ご主人様方は、ご来店は初めてですか?」
「俺は一回来たことあるけど、この子はメイド喫茶自体が初めてだよ」
「そうなんですねぇ。カップルでメイド喫茶ですか? いいですね! それでは、説明させて頂きますね」
メイドさんが、注意事項や料金システムなどを丁寧に説明してくれた。
「何か分からない事とかありましたか?」
「いや、大丈夫です」
「私も」
「はい、それでは、お冷やお持ちしますので、メニューを見ていて下さいね」
そう言ってメイドさんは1度、春輝たちの席を離れた。
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