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第12話 書道部長

日間ジャンル別18位!

ありがとうございます!


 放課後、教室を出ると、階段を上がり、『書道室』とプレートが出ている扉を開ける。


「こんにちは」


 書道室に入ると、先に居た部員たちに声を掛ける。


「あ、部長こんにちは」

「お疲れ様です!」


 きちんと挨拶をするのが、書道部のルールだった。


「莉緒はまだ来てないのか?」

「あ、副部長なら、飲み物買いに出ました」


 1年生の部員がそう、教えてくれた。

書道部は、俺以外は全員女子だ。

最初は、肩身の狭い思いをしたが、今では、だいぶ馴染んで来たと言えるだろう。


「さて、練習するかぁ」


 カバンを下ろすと、定位置に座った。


 書の世界では、臨書と言われる、手本を見て、それを真似する練習するため、後ろの棚から、今日の課題を取り出した。


 愛用の筆と墨で、半紙に6文字を入れていく。

黙々と、神経を集中させ、一文字一文字を書いていく。


「ふぅ……」


 一段落した所で、顔を上げた。


「めちゃくちゃ上手い……」

「さすがは部長です!」


 気付くと、1年の部員、萌と亜未が覗き込んで居た。


「おお、びっくりしたな!」

「部長って、本当に書いてる時は周り見えなくなりますよねぇ」

「仕方ないだろ? 集中しているんだから」

「私の作品、見てもらえませんか?」


 そう言って、後ろから現れた咲良が、半紙をこちらに向けて来た。

これが、一年生ながら、中々上手いのだ。


「うん、よく書けているんじゃないか? だから、敢えて言うけど、右払い苦手だろ?」

「分かるんですね?」

「ああ、右払いに独特な癖がある。もっと、こう滑らかに力を抜いていくといいぞ」


 俺はそう言うと、実際に書いて見せた。


「何で、1発でそんな書けるのよ……」

「練習だよ」


 俺は、誰よりも遅くまで残り、書と向き合って来た自信がある。

まあ、自信過剰になるのは良くないが。


「部長、次、私のも見て下さい」

「その次私も!」


 萌と亜未も作品を持ってきて居た。


 その時、隣の部屋の扉が開いた。


「東條、ちょっといいか?」


 隣に併設されている、書道科準備室から、顧問で、この高校の書道教諭の河合が顔を出した。


「はい、今行きます!」


 春輝は立ち上がると、書道科準備室へと向かう。


「ごめん、呼ばれたから、また今度な」


 書道準備室の前まで行くと、扉をノックする。


「入ってくれ」

「失礼します」


 相変わらず、作品や資料で雑然としている部屋を見回しながら、河合の元へと行った。


「僕に何かご用ですか?」

「ああ、まぁ、座れ」


 河合は近くにあるパイプ椅子を指差した。


「は、はい。では、失礼します」

「これ、知ってるよな?」


 河合は、一冊の冊子を手渡して来た。


「これ、うちの生徒会誌ですよね?」

「ああ、その表紙をお前さんに書いて貰いたいんだと。生徒会長からのご指名だ」

「また、何で俺に」

「まぁ、そんな面倒くさそうな顔するな。お前さん有名なんだよ。この学校ではな」


 何せ、この学校では快挙とも呼ばれるほど、書のコンクールの上位賞を総なめにして来たのだ。


「分かりました。やらせて頂きます」

「助かるよ。じゃあ、詳しいことは生徒会長に聞いてくれ、今度資料持って来るそうだ」

「はい、分かりました」


 河合の話はそれで終わったので、俺は書道準備室を後にした。

いかがでしたでしょうか?

楽しんで頂けたら幸いです!


少しでも「気になる」「面白い」「続きが読みたい」と思われましたら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけると幸いです!

感想・ブクマも大歓迎!


どうぞよろしくお願いいたします!


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