到着
いやホントビックリした!
寝てるフリをしていたらいきなりララがおれの顔なら接近してくるだから。
え?何?俺顔になんかついてたのかな?むちゃくちゃ不審そうにこっち見てたから、多分俺の顔になんかついてたんだろう……
あんな近くに女性がいるなんて、何年ぶりだろ。
その後、車が揺れたせいでララが俺の上に乗っかって来たし。
心拍数ヤバかったよ。よくララの肩を持って起こしてあげれたよな、俺。
緊張状態が一周回って、逆にすごい事できるパターンの奴だわ。あれは。
クルーガーは動揺しまくりながら、外の景色を見ていた。
少しずつ日差しが強くなり、土色一色の大地の景色が緑力しい草原へと変わっていった。
クルーガーとララはお互いに背中合わせで視線は交わる事はなかった。
しかし、2人とも景色を見ているようで、内心はさっきの接触の事で頭がいっぱいなのであった。
****
[到着です!到着です!]
魔導車がゆっくりとスピードを緩め止まった。
「目的地、フランマダンジョンです。お気をつけてどうぞ]
クルーガーがドアを開けようと、またドアノブを捻ろうとする。
ガンッ!
「ちょっと何やってんの?これはひねるんじゃなかって、包むの」
魔力を感知しドアが開いた。
「知ってる」
「え?知ってたら何でやらないのよ」
クルーガーは答えなかった。普段の癖で普通に捻ってドアを開けようとしたことが恥ずかしかったからだ。
そのため「知ってる」という意味不明な回答をしてしまった。
「それにしても暑いな」
クルーガーはなんとか話を逸らそうとした。
「知ってるって何よ?知ってないから捻ったんじゃないの?」
ララはしつこかったが、クルーガーはもう後にはひけない。
「ポーラさんのギルド出たときは結構寒かったのになぁ」
独り言のようにつぶやく。
「ねえってばぁ、知ってるってなによ」
クルーガーは無視しきった。
****
「ここがフランマダンジョン、通称竜のダンジョンね」
さっきクルーガーが知ってると言ったときの表情が何故だか面白く感じちゃって、つい追求しちゃったけど、なにも返答がなかったわね。
まあ、いいわ。あのときはちょっとだけ楽しかったから。
「入り口はどこかしら?」
フランマダンジョンは大きな火山のような形をしており、中へと入る洞窟の入り口があるはずだった。
「確か、魔力車が止まるすぐ近くって話だったけど」
「あっ!あれ」
クルーガーが指を刺した方向を見て見てると、人1人が入れるほどの穴が空いてあった。
入り口に[ようこそ!フランマダンジョンへ!]と立板があった。
「なんだか、レジャー施設みたいね」
「そうですね……」
2人はフランマダンジョンを舐めきった。
そして、先の見えない暗闇へ、歩みを進めた。