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婚約破棄されました

 貴族ランキング第15位であるベリントン・パーラーは言った。


「僕はもっと高みに行きたいんだ。こんなところで満足しちゃいられない。いつか絶対、貴族ランキング1位になって、王族の仲間入りをするんだ」


 ララは饒舌に話すパーラーを思っていたよりも冷静にみていた。


 私は彼のどこを好きになったのだろう。


 ララは考えた。


 しかし、何も思いつくことはなかった。


「僕は近々、貴族ランキング第9位のマリー令嬢と婚約するよ。君はもっと伸びると思っていたけどあんまりだったね」


 ララは思い出した。パーラーと出会った日のことを。


 私の亡き母親と仲の良かった友達の友達の息子。お母さんが死んで、寂しいだろうと紹介してくれたのが彼パーラー。


 断るのも何だか申し訳なくて、ただダラダラ付き合ってしまったけど。


 そうなのか。彼は地位にしか興味のない人だったんだ。


「君のお母さんがすごい魔術師で貴族として成り上がっていたからね。君にもそれを期待していたんだけれど、期待外れだったよ。君といれば、君と結婚すれば成り上がれる!そう思っていた僕が馬鹿だったんだ」


 そのお母さんは私とダンジョンに行ってる途中で死んじゃった。


あんだけ強かったお母さんが死んじゃったから、私は巷で悪魔の子とか、悪役令嬢だとかなんて呼ばれてるけど。


 お母さんが死んだのは私はせいじゃないのに。


 わたしが生まれてきてからそうなったから、すべての不幸の元凶は私みたい。


 パーラーと別れるとまたそんな噂が立つのかな。


「聞いてるかい?ララ。君のことは別に嫌いじゃないけど、君といてもさ、僕にもうメリットはないんだ。僕はマリーと結婚して最もビッグになりたいんだ」


「聞いてるわよ。パーラー。ありがとう今まで、私と話してくれて」


「あぁ聞いていたかい。なんだかボーッとしてるからさ。話聞いてないのかと思ったよ」


 彼の部屋にも来ることはないのだろう。最後になるなと思って、部屋を見渡した。


 高級な机と椅子、重厚感たっぷりの赤いカーテン、何かよく分からないけど高そうな花。


 しかし、ララは思っていた以上になにも感じなかった。むしろ、今日初めてこの部屋に来たみたいだ。


 さっさとここから出よう。


『空間魔法: 永遠扉』


 ララが詠唱した瞬間、時空が歪み、突如としてパーラーの部屋に木彫の扉が出現した。


「は?なんだこれは?空間魔法だと?」


 パーラーは急な出来事にパニックになっている。


「こんな超上級者しか使えない魔法をなぜララが使えるんだ!」


 パーラーが顔を真っ青にしてまくし立てる。


「パーラー、今まで言ってなかったけど、私、元貴族ランキング1位なの」


「なんだって!!!!元貴族ランキング一位??一瞬でもあの頂に立っていたというのか?」


「まあ、そうなの。でもね、権力って邪魔なの」


「権力が邪魔だと?言ってる意味が分からない!」


 真っ青だったパーラーの顔が真っ赤に染まっていく。


 こんなパーラーを見たことはなかったな。


「貴族ランキング1位の肩書はね、真実の愛を探すのに邪魔だったの。あなたみたいな権力大好きな害虫が寄ってくるから」


「なっっっなんだと!?」


「さよなら。パーラー。元気でね。この事は誰にも言っちゃダメだよ。私が真実の愛を見つけるまでは」


 ララは扉を開け、異空間へと入っていった。


「まっっ待て!話し合おうじゃないか!ララ!僕はまだ君のことが好」


 バタン!!


 パーラーが言葉を言い終える前に扉は閉ざされた。


 彼女が扉の向こうに消えた。


 少しずつ消えていく扉をパーラーは茫然と見つめていた。


 ****


 ララはドアを開けて異空間を出た。


 パーラーに対してはなんの未練もない。


 しかし、一つだけ後悔がある。


 それは、またもや恋愛感情になれなかったという事だ。


 ララは生まれてこの方一度も恋愛感情というものになったことがない。


 今まで言い寄ってきた何人もの男性に対しても、もちろんパーラーに対しても。


 そのことが、なぜだか、たまらなく怖いのだ。


 不思議と胸が押しつぶされそうになるのだ。


 ララは恋愛感情になりたかった。


 本当の恋を、愛を知りたかった。


 でも、無理だった。 また、無理だった。

この度は第1話を読んでいただき誠にありがとうございます。


また、評価、ブックマークをしていただき読者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。


この場をお借りして、心より御礼申し上げます。


皆様と一緒にララを見守っていきたいと思います。


今後ともよろしくお願い致します。


作者 春野彼方

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