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十六歳の肖像 1 結末
・貴種流離譚 というものがある。
ひょっとしたら、
あなたのことを
ー私に至っては、絶対に!ー
惹きつけて止まない、
物語の王道概念である。
ハンザキ タフウは、
数多の異境を訪れ、
その多くが戦場と呼ぶに相応わしいものであった。
彼は、
もともと望んでそういう旅に繰り出したわけではない。
人生そのものは選択の連続であったとしても、
彼の旅の始まりは、
「生まれる」こと同様に選択の余地が無いことだった。
どうしようもない運命のもとに旅を始めたものには、
祝福に等しい大団円が、
その最後には待ち受けているものだ。
永い闘争の果てに、
自分の生まれた世界にようやっと戻った彼のことを待ち受けていたのは、
対戦車ロケット・ランチャーでもって爆砕されるという運命であった。