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第64話 同窓会バーベキュー

 2019年5月2日、国民の休日。平成が終わり、令和になったほか、増員した特課は、予定を変更して5月中旬まで継続している。

 快晴の昼下がり。吉野川沿いにとあるバーベキュー場があり、そこで楽しんでいるグループの姿があった。眼鏡をかけた女性、阿曇(あずみ) 里穂(りほ)は話を長々と喋り

「それでさぁ。うちの弟が私のヘアピンを黙って持っていってたことが分かって。何処にあったと思う?」

 その問いかけを聞きながら、網の上からお肉を取った、ぽっちゃり体型の女性、内里(うちさと) 清子(きよこ)は、

「机の上?」

 と言って、タレをからめたお肉を食べつつ、もう一人の小柄な女性、駒田(こまだ) 美和(みわ)

「あずの弟君の頭とか?」

「ちゃう。それが、うちの犬に付けられてたの。目が隠れてるから、見えないと思って、だって」

「目が隠れている犬……?」

「ほら、確か……なんとかかんとかシープドッグっていう、モップみたいな犬」

「あぁ、あれかぁ」

 正しくは、オールド・イングリッシュ・シープドッグという犬種である。

 女性4人と、隣のバーベキューコンロを3人の男性が囲っている。みんな知っている仲間同士である。そこへ、駐車場から食材の入ったビニール袋を持った女性が加わり

「ごめん、遅れちゃって」

「もう先に始めちゃってるよ」

「それにしても、よく皆集まれたね。悠夏から話が出たときは、集まるかよく分からなかったけど」

 そう言って、後から合流した女性は、平原(ひらはら) 亜衣(あい)。メッセージアプリで、今回の提案をした佐倉(さくら) 悠夏(ゆうか)

「久しぶりにみんなに会いたいなって、思って」

「流石に、全員は無理だったけど、男子の方も勝手に集まってるみたいだし」

 阿曇は、ふざけ合う男性陣の方を見ながら、そう言った。駒田はスマホを取り出し、

「ほら、写真を送りつけてやろ。飯テロ」

 そう言って、美味しそうに焼けているお肉や野菜などをスマホのカメラに収め、メッセージアプリのグループトークという複数人がやりとりできるところに写真を何枚か張り付けた。

 内里も自分が撮った写真を送信しつつ、

「そうだそうだ。この前、美和ちゃんのエンディングクレジット見たよ。知ってる人の名前があると、凄い不思議な感じ」

「えっ。何それ、初耳」

「何のアニメ?」

「”鬼里(きさと)”っていう、アニメの制作進行をやって」

 駒田は少し照れつつ、自身が在籍するアニメ会社の作品で、エンディングクレジットに載ったことを話した。阿曇は自信なさげに

「”鬼里”って、ジャンデーで連載してるやつ?」

「そう。アニメ化して、人気出そうだから、美和ちゃん、仕事頑張って」

 ”鬼里”は、週刊少年誌の中でも一番人気の”ジャンデー”という漫画雑誌で連載している。

「アニメ業界に入るのは知ってたけど、制作進行って、どんな仕事なん?」

「なんていうか……、アニメの元になる原画を書ける人を探して、スケジュールを管理して、担当する1話の制作を進めるというか……」

 駒田は自分の仕事について、簡単に説明しようと言葉を選びつつも、上手く伝わっているだろうか。

「昔、アニメ制作を題材にした作品を見たけど、結構大変そうだよね……」

 と、他の人よりも内里は知っていそうだ。駒田は「アニメは脚色されてるけど」と応えながらも。話は仕事のことになり、

「悠夏は、あいつと同じで警察官だっけ? 東京なんでしょ?」

 あいつとは、徳島県警の鯖瀬(さばせ)巡査のことである。

「警視庁でしょ? よくテレビで見るとこ」

 と、内里は刑事ドラマやアニメを含めて、そう言った。阿曇はスマホで何かを調べ、他のメンバーに画面を見せて

「広報に載ってたけど、このロボットって何?」

 悠夏は冗談っぽく聞こえるように

「警視庁のマスコット」

「嘘だあ。ピーポくんがいるじゃん」

「え? これがピーポくん?」

「亜衣、違う違う。これは違うから」

 と駒田が笑いながら否定する。笑いながらバーベキューを楽しんでいるが、悠夏はいつもよりも楽しさが減っていた。自分が発案したのも理由がある。例の結婚詐欺に関して、亜衣から情報を聞くための目的があるからだ。自然な流れで、結婚とか彼氏の話題になるまで、待っている。

 それぞれの仕事の話を(愚痴が大半で)一通り話し合い、そのあと忙しいアピールをしたあと、阿曇が呟くように

「このままだと、結婚できるかどうか」

「ほんと、それ」

 この流れに乗り、悠夏は

「そもそも、彼氏とかいるの……?」

「悠夏は東京でしょ? 人は、いっぱいいるでしょ」

「人が多いのと、結婚できるかは別だと思うけど……」

 と言い、話題を変えないように、悠夏は結婚の話を継続させる。

「それで、どうなの?」

「あれ? 悠夏は知らないんだっけ?」

 と、阿曇が他のメンバーに確認しつつ

「ついに、このメンバーから彼氏を見つけた人が出ました」

 そう言って、皆が拍手する。悠夏は知らないふりで「えっ? 誰?」と惚ける。そもそも、悠夏は平原と話しする機会が少なく、あまり知らない。この集まっても、別グループになることが多いが、今回は人数が少ないため、男女別のグループだけになった。

 亜衣が小さく手を挙げ、

「彼氏、できました」

「お、おめでとう」

 と、驚いた芝居。阿曇は「この、このー」と言って、肘でジェスチャーをしつつ

「亜衣が先に彼氏作るとか、このまま結婚ってことになったら、絶対、それ詐欺だよ。詐欺」

 唐突に出た単語に、悠夏は烏龍茶を吹き出しそうになった。「どうした?」と聞かれたが、「大丈夫。大丈夫」と誤魔化した。冗談で言ったのだろうが、まさしく詐欺の疑いで情報収集しようとしていたので、笑うに笑えなかった……


To be continued…


この時期に予定外のことで忙しなり、それでも毎週更新はしたいから、ストーリーを進めることは考えずに書いた結果、日常の雑談回になりました。来週の予定はゴールデンウィークに入るから間に合うと信じて…(更新の前日にでも書ければ…)

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