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第101話 未確定要素

 富山県越中市(えっちゅうし)のとある集落に住む、賴永(よりなが) 兼鹿(けんしか)という男性。数年前に、事故で賴永の両親が他界。しかし、1週間前になって、突然再捜査をしてほしいと県警に依頼したそうだ。しかも、かなり焦って。そのタレコミがある記者の耳に入り、公安の協力者であり元刑事でもある小板橋(こいたばし) 寿光(じゅこう)に情報が渡った。

 何の確証も無いが、今回のパターンが類似していると思われるという理由だけで、特課とともに、この地を訪れた。どうやら石郷岡(いしごうおか)が関わる事件のパターンではないかと。その内容は、事故は殺人であったという嘘を信じ込ませ、信じ込ませた人物に犯罪を行わせる。

 少なくとも、これまでの捜査方針とは全くもって異なるし、方向性も違う。そもそも、空振りに終わるおそれが非常に高い。

 20日の夜は、賴永さんの家に明かりが灯り、来訪者はいなかった。これにより、不在では無いことが確認できた。実は日中に電力やガス、水道のメーターで、家にいることは確認済みだったが……。

 悠夏と鐃警、小板橋は空き家を借りて張り込みを行っており、各所に設置したネットワークカメラ越しに見ている。集落のため、隠れる場所が無く、そもそも人がいないので一発でバレるだろう。今回は家の様子が分かる位置に定点カメラを仕込み、モニタリングしている。カメラは操作すればズームや角度もある程度変更できる。

 翌朝。新聞配達と郵便物があり、朝7時過ぎに家の外に出てきた人物を確認する。

「小板橋さん。あの人が賴永さんで間違えないですか?」

「たぶんな」

「たぶん……ですか?」

 悠夏は、小板橋が写真や容姿を調べていると思っていたこともあり、思わぬ返答に驚いた。

「俺は刑事じゃないからな。普通の民間人については、調べられない」

「つまり、公安部で確認するということですか?」

「そう慌てるな。石郷岡の仲間との接触を確認できれば、その辺りもはっきりする」

「でも、照会しないと、石郷岡の仲間さえも判断できないと思うんですが?」

「それは、見れば分かる」

 小板橋との話は、どこか噛み合っていないような気がして、鐃警に小さい声で

「警部。私、何か間違ってますかね?」

「いえ。イレギュラーなだけかと……」

 そうは言いつつも、鐃警も少し困惑していそうだった。

 玄関先に現れた男性は寝間着姿で、如何にも起きてすぐに外に出たような雰囲気だ。髪の毛はボサボサで、寝癖がついている。

 賴永が封筒と新聞を持って、玄関に戻ろうとすると、1台のバイクが表札前に止まった。エンジンを切らずに、その場で賴永の方を見ている。賴永もバイクに気づき、近づくと何やら封筒を受けとり、賴永もバイクの人物にポケットから出した何かを受け渡す。

 小板橋は、カメラを操作してバイクを映し

「あんた、このバイクを照会して」

「ナンバー照会ですか?」

「それ以外に何がある?」

 小板橋の言葉に、悠夏は何も言わずに黙り込む。少し反論したかったが、口論になってもこの人は自分のペースだろうし、言われるがまま、調べてくれそうな人にバイクのナンバー情報を送信した。

 バイクが立ち去ると、賴永と思われる人物は家の中へと戻った。その後は、しばらく様子を見ても、動きは無かった。


 昼前にナンバープレートの照会結果が送られてきた。悠夏はタブレットで画像を表示し

「照会結果が来ました。1ヶ月前に盗難届が出ており、持ち主は新潟県在住の方のようです」

「盗難車か。怪しいな」

 怪しいけれども、それはバイクに乗った人物が窃盗犯である可能性は考えられるが、賴永には何の疑いにもならない。


    *


 警視庁生活安全部サイバーセキュリティ課の瀧元(たきもと) 瀧一(りゅういち)は、依頼のあったナンバー情報の照会結果を送信し、椅子に深く腰掛ける。

「特課から久しぶりにメールが来たと思えば、調べ物って……」

 独り言を呟いていると、伊與田(いよだ) 武章(たけあき)が缶コーヒーを飲みながら近づき

「どうした瀧元? もしや便利屋扱いされてるって?」

「そんなところですね」

「何処の部署だ?」

「あっ、いえ。特課からなので」

「なるほど。それは断れないな」

 伊與田は瀧元の隣席を座る。この椅子は、伊與田の席ではないが、話を聞くために座り込んだ。瀧元の画面には、照会結果が表示されており、伊與田はそれを覗き込んで

「盗難車? バイクか」

「そうですね。調べてみれば」

「一応、一課と交通課に情報を展開するかどうかですが」

「Nシステムでどこにいるか分からないのか?」

「今朝、越中市で確認できたあとは、音沙汰がないですね」

「乗っている人物は?」

「一応、解析をかけてはいますが、まだ結果は……」

 瀧元はパソコンを操作して、進捗が示された画面を最前面に移動させる。進捗は30%ほどである。ヒットした結果はまだ0件。

「越中市で映り込んでいるということは、特課も富山にいるってことか?」

「どこにいるかまでは、分からないですね」

「次の鐃警の診断。もうすぐだろ? 瀧元は行かなくていいのか?」

「現場までですか? こっちに戻ってきたタイミングで、定期診断はします」

 Nシステムに映ったヘルメット姿の人物について、もし該当人物がいるならば、もう少しすれば分かるだろうか。


To be continued…


危うく更新を落とすところでしたが、なんとか間に合いました。

他の作品についても、手が回らずかなり厳しいですね。

さて、サイバーセキュリティ課の2名はかなり久しぶりの登場ですかね。最後に出たのがいつだか覚えてないですが……

正直に言うと、あまり話が進まないのは、時間が無くて若干引き延ばそうとしているが故に……

えっと、次回の更新は大晦日の予定ですね。もう大晦日か、早いですね。首の皮一枚でなんとか毎週更新を継続しているので、来週の年内最後の更新も死守したいですね。頑張ります……

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