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戻れないだって!?

「ふざけるな! 確かにシーラちゃんはかわいいよ? だがいくら何でも異世界で生活なんて俺にできるか! 俺を元の世界に戻せ!」


「あれー? 上野さんは"おんなうん"がないんじゃなかったんですか? 元の世界に戻っても、恐らく一生女性に縁がないまま惨めに死んでいくと思いますけどー?」


「それでもこんな訳のわからない異世界で暮らすよりはマシだしまだ俺は18歳だ! まだ可能性はあるはずだろ!」


「まあどちらにしたって元の世界に帰すつもりはありませんしそれに……」


 それに。


「元の世界であなた、もう存在すらしてないことになってますよ」


 それは事実上の死の宣告。


 聖女なのにやることがえげつない。


 存在抹消とかやってのけるのかよ。


「ですから、もうあなたは私を娶るしかないってことです!」


「自信を持って言うんじゃない!」


「私のことを好きになってくれないんですか……?」


「当たり前だろ!」


「そうですか……それなら……」


 俺は次の言葉に戦慄することになる。


「無理やりにでもあなたのことを好きになってもらうしかありませんね……」


 その後、突然身体中に激痛が走る。


「いてててててててててててて!!」


「私のことを好きになってくれなかったら、こうしてあなたに"お仕置き"していきますから……いいですね……」


 目に光がない。ヤンデレってやつだ。


「わかっ……たから! ……この痛みを……なんとかして……くれ!」


「わかってくれましたか……嬉しいです……」


 そう言うと、シーラは魔法を止める。痛みも引いた。


「とにかく! 俺は何をすればいい?」


「まずは私の父にご挨拶しましょう、まずはこれが第一歩です」


 どこの国……否世界でもやることは変わらないようだ。


「シーラちゃんが聖女ならそのシーラちゃんのお父さんは教皇のようなものか?」


「そうなりますね」


 俺はすごい人と会うのか……と今からすごく緊張する。


 それは既に見抜かれてしまっていたようで。


「大丈夫ですか? すごい汗」


「ああ……元の世界ではこういうのは親に交際を反対されるのが常だからな……」


「そうなんですか? 尚更こちらの世界で私と付き合うことが正解じゃないですか!」


「……ああ、そうかもな」


 ぶっきらぼうに返す。


「しかし今は召喚酔いか疲れた、今日は休んで明日にしないか」


「まだ昼間じゃないですか!」


「今何時なんだ……?」


「うーん、今なら14時ぐらいじゃないですか……?」


 そもそも時間の概念が元の世界と異なる可能性がある。


「時間って俺が元居た世界と同じなのか……? 1日が24時間で、1時間が60分で、1分が60秒の」


「まあそんな感じですね、どんな世界を想像してるんですか?」


「まあ中世ヨーロッパとかそんな感じの世界」


「よーろっぱ……? まあでも疲れたでしょうしね、今日は休んで明日挨拶に行きましょう!」


 元の世界で存在を抹消されたので、もうシーラちゃんと付き合っていくしかなくなってしまった。


 もしこれで交際を反対されたら、俺はどうしたらいいんだろうか……

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