第四話:魔王、流される
「ククク、ではなバルザックよ。運が良ければまた会おうぞ」
俺の幼女ルームに入り込んだ魔王デスドーラ。
自分が満足するだけ話し込んだ奴は、また来たときと同じように何処ともなく消え去ろうとする。
流石にそれは不味いなーとなんとなく理解した俺。
とりあえず聞きたいこともあるし呼び止めることにした。
「待て待て待て、もう少し話していきなよ」
「……なんだ? 諭そうと思ってもムダだぞ?」
「いや、復活して何するのか聞いてなかったなと思って」
折角復活出来るんだし、何か楽しいことするべきだよね。
面白かったら後で参加させて貰おうかとフィオナちゃんは思っているのだ!
「知れた事よ! また世界を征服するのだ!」
「え?」
「ん?」
「マジで?」
思わず聞き返したわ。
え? なにこの人。びっくり。また世界征服するって言いましたよ。
ちょっと何考えているのか分からなくなって素になってしまったではないか!
「……むしろ他に何がある」
「いやいやいや! 自分ね、前に会ったとき言ってたじゃん。『永劫の命がもたらす虚無を慰撫する為、世界征服を考えたのだ』って」
俺がびっくりしちゃったのはこの理由。
そもそも暇だから世界征服するってだけで頭おかしいのかな? って思っていたんだけど、封印されて復活しても同じ事するとか、お母さん貴方の将来が心配よ。
いや俺は魔王のお母さんじゃないけどね。
あれ? でも幼女って包容力あるからお母さんなのか?
皆のママなのか?
「むぅ、確かにそうだ。世界を征服すれば、きっとこの虚しさも晴れるだろうと思った……だからワガハイは、世界征服に固執しているのかもしれん」
「それって暇ってことでしょ? まぁ永遠の時間って確かに暇だよな! でもさ、なら丁度良い解決策があるんだぜ!」
ふふふ、天才幼女フィオナちゃんを舐めるなよ!
幼女ブレインは全ての問題を解決する素晴らしいアイデアを有しているのだ♪
「むっ!? それは何だバルザック! ワガハイが抱くこの虚しさをどうすれば消し去ることができる!? 教えてくれ!!!」
「幼女だよっ! 幼女になったら毎日が楽しいよ! えへへ……にゃん♪」
「貴様に期待したワガハイが馬鹿だった。ワガハイは……本当に馬鹿だった」
「二回も強調して言うんじゃねぇよ!」
コイツくっそ落胆しやがって!
幼女楽しいだろうが! 毎日が新鮮で輝いているだろうがぁぁ!
思わず跳び蹴りをぶちかます。だが奴は非物質存在。
幼女の蹴りは空しく虚空を切った。
くそ……仕方ない、戦法を変えよう。絶対コイツに謝罪させてやるぜ!
「はぁ……分かったよ魔王。じゃあちょっとついてこい。俺がどれだけ輝いて充実しているかを見せてやるよ!」
「……まぁ良いか。ワガハイには永劫の時間があるのだから、その位付き合ってやろう。それで、どこに行くのだ?」
「えへへ、魔王ちゃんと一緒に、パフェを食べに行っちゃうのです♪」
幼女と言ったら甘い物! 甘い物と言ったら幼女!
幼女がお菓子を頬張って幸せそうにニコニコする姿を見せることによって、コイツの空っぽ脳みそも幼女の偉大さを理解し俺にむせび泣きながら謝罪することだろう!
可愛らしくぴょんと跳びはねてブイっとポーズする俺。
んむんむ! 可愛いぞフィオナちゃんんんんん!!
「いいだろう……あとな、どうせ聞かんと思うが一応言っておく。ワガハイは以前の貴様を知ってるのであまりそういうキャラをされると心が痛いのだが……」
「はわわ! 魔王ちゃんってば辛辣なのです!」
「幼女は辛辣なんて難しい言葉使わないぞ。ところどころ甘いな貴様」
え? そうなんだ……じゃ、じゃあなんて言えばいいんだよ。
もしかしてコイツ中々幼女力高いんじゃ?
ワナワナと震えるフィオナちゃん。
あれ? もしかして幼女ってワナワナとか震えない? 震える? やっべ不安になってきた。
ってか魔王が俺より幼女に詳しいとかヤバくね……。
こ、これは大変です!
思わぬライバル出現です!
うにゅ~! 魔王ちゃんめ~!
まぁその件に関しては後ほど考えるとして、フィオナちゃんは魔王ちゃんと一緒にパフェを食べに行くのです!
えいえいお~♪