作戦会議をするそうです。
「アイリーンちゃん!久しぶりー!!」
「ミシェリアさん!お久しぶりですわ。」
ミシェリアが家に来るのは久しぶりのことなので、俺の女神も嬉しそうに笑っている。
「みしぇりあー、てお!!いらっしゃーせ!!」
「きゃー!!ヴィルくんありがとうー!!ぎゅーってしちゃう!!」
「きゃー!!」
「ヴィルヘルムくん。ありがとう。」
ミシェリアとテオドールになついてるヴィルがパタパタと走って行って、ぺこりとお辞儀をすると、ミシェリアがヴィルを抱きしめ、二人できゃいきゃいとはしゃいでいる。
「あーうー!!」
「もう、ソフィアちゃんも可愛いっっ!!」
「ヴィルもソフィアもミシェリアさんとテオさんのことが好きですもの。」
「ははっ。そう言ってもらえると嬉しいよ。」
アイリーンに抱かれたソフィアをミシェリアがぷにぷに突いているうちに、テオドールがヴィルを抱き上げながらそう言った。
うちの天使可愛い。
「そういえば、ミシェリアさんのところはお子さんは作らないんですか?」
もう結婚してしばらくたつので、そろそろ子供の話が出てきても不思議ではない。
アイリーンもそう思って聞いたわけだが、ミシェリアは一瞬きょとんとした表情をした後、くすくすと笑い始めた。
「あー。ほら、私たちってまだまだ事業初めてすぐでしょ?だから、子供はもう少し落ち着いてから出いっかって話になってるの!」
その言葉を聞いて、俺は思わずテオドールの方を見た。
当のテオドールはどこか遠い目をしている。
この世界は魔法が発展した代わりに、その他の技術はさほど高くない。
詰まるところ、子供を作らないイコールお察しである。
「おまっ………………。悪魔みたいなやつだな。」
「ええ!?な、なんで!?」
「ミシェリアさん…………。それは、テオドールさんがあまりにもお可哀そうですわ。」
「アイリーンちゃんまでぇ!?」
散々…………、散々学園時代から焦らしていたくせに。
その後も結婚はしばらくしないとか言って焦らしていたくせに。
ようやく、ようやく結婚したかと思えば、結婚してからも焦らすのか…………。
黙ってテオドールの肩をたたいてやる。
「ははっ。もう諦めたさ。」
不憫だ。
ミシェリアは男をなんだと思っているんだ?
キスなんぞで満足できるのは二次元の男だけだぞ。
一度こいつには男とは何たるかを教える必要があると思う。
男をなめすぎではないのか?
「俺がお前ならこいつの頭をひっぱたいて男とはなんたるかを永遠説明するぞ。」
「うーん。これを承知で付き合ったようなものだからね。」
「え、ええ………。私またテオに我慢させてるの?」
「どの口が言ってんだ。」
「どの口が言ってるんだ。」
「どの口が言ってますの。」
三人の声がそろったことで、ミシェリアがいじいじと指先をいじりながら、しょぼんとし始めた。
「うぅ……。そんなこと言ってもさぁ。喪女に男心はわからないもん。」
何をいまさら。
というかもんとか言うな。
アイリーンならまだしも、お前がもんとか言っても可愛くないぞ。
しかし、テオドールはさすが惚れた弱みというべきか、そんなミシェリアの肩を抱き寄せようとしたので、すかさずテオドールが抱き上げたままだったヴィルを受け取った。
「ミシェリア。ゆっくりでいいよ。俺はミシェリアのペースに合わせるから。な?」
「テオー………っ!もうっ、好きっ!!」
「ミシェリア…………っ。」
見つめあい互いの名を呼びながら甘い空気を醸し出し始めた二人に咳ばらいをすれば、はっと我に返った二人が顔を赤らめながらバッと体を離した。
「とりあえず、いちゃつくのは後にしてもらえるか?情報を共有して作戦を立てたいんだが。」
「ご、ごめん!!よし!テオ!!ヴィル君とソフィアちゃんのお世話よろしくね!!」
「はい、お嬢。」
「もうテオのお嬢じゃないですー。お嫁さんですー!」
俺の腕のなかできゃいきゃいとはしゃぐヴィルが、再びミシェリアの手によってテオドールの腕の中に戻された。
アイリーンが抱っこしていたソフィアもそのままテオドールにおんぶひもをつけておんぶさせる。
立派な主夫の出来上がりだ。
その状態のテオが庭に出てヴィルとソフィアの世話をしてくれているのを横目で見ながら、応接室のソファに座ったアイリーンとミシェリアを見る。
「さて、それじゃあ作戦会議といくか。」
「はいはーい!で?今日はなんで呼び出されたの?」
「カールの婚約が決まったらしい。」
「え………?」
俺の言葉に二人は言葉を失ったようだ。
そりゃそうだ。
アイリーンもミシェリアも、俺がカールとともにヘレンのところに行くたびに二人の様子はどうかと様子を聞きに来るくらいには二人の恋路に興味津々だったのだ。
そして、それと同時に二人のことを応援していたので俺の発言に驚きが隠せないようだった。
「どう、どういうこと、ですの?」
「リンラント王国とのつながりを強くすることが目的らしい。そこの王女が家の国に輿入れすることが決まった。」
「その相手がカール=ハインツ様ってこと?」
「そうなるな。あちらから来るのは第一王女だ。第一王女に対して何の理由もなく王太子のカールではなく第二王子のリーンハルトをあてがうわけにもいかんだろう。そのうえ、カールが平民のヘレンと結婚したいなんて言ったところで、それではリンラント王国を軽んじていると逆に問題になる。」
そう言うと、二人そろって眉尻を下げて情けない表情をする。
「と、現状では到底カールとヘレンの二人をくっつけることはできないというわけだ。だが、嬉しいことにリーンハルトは国王になってもいいと言ってくれた。ならばあとすることは一つだ。どうやってカールを自然にかつ自らの意思で病死させるかだ。」
「か、カール=ハインツ様を病死させるの!?」
ミシェリアが驚いたような声を上げた。
「そうだ。一度カール=ハインツ・フォン・ストウハーフェンという男には死んでもラう必要がある。そして、ただのカールという男として生き返らない限り、ヘレンとの未来はないぞ。」
「そう、ですわね。私とミシェリアさんに聞きたいのは、そのお話でしょうか?」
すぐに俺の言いたいことが分かったのか、アイリーンがそう言った。
なので俺はその言葉にこくりとうなずいた。
「些細な情報でもいい。カールの攻略情報と、それから、続編ではもう一人いたんだったか?その新しい攻略対象者の話も聞かせてくれ。」




