長期休暇になりました。
後半勝手に騎士様が暴走しました。
このせいでR15つけた方がいい気がしてならない。
やっと、やっと長期休暇に入った。
入学してからに4ヶ月間、全くアイリーンに会えない学園はまるで監獄のようだ。
マティアスとリーンハルトと一緒に入った生徒会の業務は忙しいし、やっと習得できた空間魔術は半径1mの範囲の移動しかできなかった。辛い。
だがしかし、そんな苦行も今日のためだと思えば頑張れたのだ。何を隠そう、隠すつもりもないが今日はようやくアイリーンに会いに行けるのだ。
「ようこそお越しくださいました、ジル様。」
なんと女神は俺の色のドレスを身に纏って出迎えてくれた。可愛い。
「休暇に入って早々うちに来るなんて、そんなに我慢ができなかったのかしら?」
なぜバレた。
「ま、まあ貴方がそれで良いと言うのならこれ以上言うつもりはございませんけど!」
自分で言って自分で恥ずかしくなってどうする。可愛い。
「そうか、ならば問題はないな。アイリーン、会いたかった。」
「わ、わたくしはどちらでも良かったのよ!!でも、休暇中も手紙の返事に悩まされるよりましだと思ったまでよ!!」
恥じらいを見せるアイリーンが可愛すぎて辛い。今すぐ抱きしめて嫁にしたい衝動に駆られる。
何も言わない俺にアイリーンは少し焦ったのか
「ま、まあ私もほんの少しだけ貴方が来るのを楽しみにしていましたのよ。私の代わりに動いてくださる騎士がいないと何かと不便だというだけのことですけどね!!ひゃあっ!!?」
思わずアイリーンを抱きしめたのは俺のせいじゃない。アイリーンが可愛い事を言うからだ。
何が恐ろしいってまだフュルスト家の玄関なのに俺の理性が吹っ飛びそうなこの状況だ。
二人っきりになろうものなら確実にR指定が入るぞ。
「そ、それで今日はなんの御用かしら。」
場所を応接室に移したが失敗した。
机を挟んで座るのでアイリーンが遠い。
「貴女に会いたかった、それだけだ。」
「もうっ!!どうしてそのような事がさらっと言えますの!?が、学園でも同じようなことを言ってらしゃるのではなくって!?」
照れる彼女は可愛いが、それは聞き捨てならない。
「貴女にだけだ。」
テーブルにある紅茶のカップを所在なさげにいじる彼女の柔らかい手を取り、若菜色の瞳を見つめる。朝露に濡れた瞳に吸い込まれそうになる。
「な、なら私に忠誠を見せてみなさいよ!!」
だめだよアイリーン、そんなことを言われたら
習得した空間魔術で彼女の座るソファに転移しそっと彼女を押し倒す。
足は座ったままの状態でアイリーンの上半身だけそっとソファに押し付けると、彼女は綻んだ花のように顔を真っ赤に染め上げてこちらを見上げる。
「な!!?え!!??」
「貴方が言ったんだよ、アイリーン。」
滑らかな絹のような髪をひと房掬いあげ口付けを落とす。
何かを言おうと少し開けた彼女の唇を塞いで黙らせて、次いで首筋に滑らせる。
扇情的な押し殺したような声を上げる彼女を見つめながらほっそりとした美しい腕に吸い付く。
「あ、や……ジル、様っ」
そのまま彼女の掌にちゅっと音をたて唇を落として、名残惜しげに離れる。これ以上は俺の理性がやばい。
「いつだって俺は貴女に、アイリーンだけに愛を乞うているんだ。」
最後に頬にキスをして立ち上がる。
「すまない。今日はもう帰ろう。……その、また……来る……。」
思春期男子としてはこれ以上ここに留まるのは危険だ。
ああもう、愛おしい。
後に残るは辛うじて動かした両腕で真っ赤に染まった顔を覆い隠す彼女だけ。
「ああ、もうっ!!!こんなの……諦められないじゃないのっ!!」
口は災いの元だと今更ながらに前世の先人の教えを噛み締めるのだった。
キスの格言
髪は思慕、唇は愛情、首は執着、腕は恋慕、掌は懇願、頬は満足を表すそうです。