フラグがたったそうです。
「ジル。ギデオンとマリア嬢だが……、遅くはないか?」
「また言い争いでもしてるんでしょうか………。」
「だとしたらもう一回きれるぞ………っっ!!!」
そう言った瞬間、
ドォォオォンッッッ!!!!
「なっ!!?」
激しい爆音とともに森の奥から土煙が上がり、ギデオンの魔力が膨れ上がる。
「チッ!!敵に襲われてたのかっっ!!」
「ジルっ!我々に合わせると間に合いません、先に行ってください!!」
「っ、わかった。」
マティアス、リーンハルト、俺の三人の中で空間転移魔法を習得しているのは俺だけなので瞬時に転移魔法を発動させる。
「っ!!ギデオン!マリア!!大丈夫かっっ!!?」
「マーキス先輩っ!」
「マーキス様っ!!」
降り立った先にいたのは、
「まタ増えタ。」
闇を溶かし込んだような黒い髪に、射干玉の黒い瞳。
一目見るとまるで日本人のような配色だが、実際にはそのいびつにゆがんだ膨大な魔力と表情が読み取れない青白い顔が恐怖心をあおる。
ギデオンは自分の後ろにマリアをかばい、そちらに攻撃が流れないように相手の攻撃を一心に集め、マリアもただただその傷をいやすことに専念していた。
しかしよほど怖かったのかきゅっとギデオンのローブの裾を掴み、縋りついているように見える。
不謹慎だが思わぬロマンスの雰囲気に心が高ぶる。
これで少なくとも俺がマリアとギデオンにまとわりつかれる心配はないッッ!!!!
「ギデオン!俺が前に出る。全力で叩くぞ!!マリア、回復は頼んだぞ!!」
「はいっ!」
「わかりましたっっ!!」
実際に戦闘を開始してみるとさきほどまでよりもよほどスムーズに戦闘が進むのがわかる。
相手の攻撃に合わせて俺が剣を振るい、そしてできたすきにギデオンが魔法を叩きこむ。
絶えず続く攻撃にマリアは必死に回復魔法をかけていく。
「くっ!!悪いっっ!!そっちに流れたぞっ!!」
「キャァッ!!」
「マリアっ!!」
俺が取りこぼした攻撃が後衛のマリアのほうへと流れると、それをギデオンがかばう。
「あ、ありがとう……っ!」
「当然のことだろ。」
お、おおぉぉぉおおおお!!?
ほんとに何があった!?ギデオンもそうだがあれだけギデオンに突っかかっていたマリアが素直に照れてるぞっ!!?
自分の後ろで展開されるラブロマンスにちょっとドキドキする。
「ジル!!ギデオン!!マリア嬢!!無事か!?」
「遅いぞ、リーンハルトっ、マティアス!!」
「マた……増エた………。」
遅れてリーンハルトとマティアスもやってきて戦況は一気にこちらに傾いた。
戦闘は割愛させてもらうが、魔族は引くくらい強かったっ!!
斬っても魔法を叩きこんでも倒れることのなかった魔族は結局俺たち五人の魔力が尽きるぎりぎりになってようやく倒れた。
「っく、はぁ………。めちゃくちゃ硬かったっっ!!!」
「ほん、とに………。もう魔族とは戦いたくないですね。」
全員げっそりとした表情でその場にうずくまる。
「あ、あのギデオン……さっきは、ありがとぅ………。」
沈黙の中、ぽそりとマリアがつぶやく。
その頬はわずかに赤く染まっておりくるくると髪を指先で遊んでいる。
「別に………女性には優しくするようにと、養父から言われていたからだ。」
ぶっきらぼうにそういうギデオンだが、褒められ慣れていないためわずかに耳が赤く染まっている。
「あまずっぱい……っ!!」
「はは、ほんとに……青春してるね…。」
「羨ましいですねぇ………。」
二人の恋愛になれていない奥手な感じを見てなんだかこちらまでむずがゆくなってくる。
あとマティアス、地味に俺のほうに近寄ってくるな。頬を染めるなっ!!」
「とりあえず、野営地に戻るか……。ギデオン、マリア嬢、移動しようか。」
「ふえ!!?あ、はい!!わかりましたっっ!!」
「は、はい!先輩!!」
ちらちらと互いを気にして視線を送りあっていた二人はリーンハルトに声をかけられて驚いたように返事をし、立ち上がる。
返事がかぶったことも気恥ずかしかったのかぽりぽりと頬を掻いている二人を見る。
「あー………アイリーンに会いたい…………。」
かれこれもう数週間アイリーン二会えていない。
今おなかの子はどうなっているのか、うちのは天使はどうしているのか。
父や母に頼んできたが結局便りはここに届かないので現状どうしているのかがわからない。
だが、甘酸っぱい青春を見せられるとどうにも恋しくなる。
よし、決めた、
「ちょっと一回家に帰ってくる。」
「「「「はあっっっっ!!!!?!?!?!?」」」」
「ちょ、ジルっ!!?本気ですかっっ!!?!?」
「そうですよマーキス先輩っっ!!先輩がいなかったら普通の戦闘でもこまるんですよっ!」
「マーキス様がいないとまとめ役いないじゃないですかぁ!!」
「そうか、いつか言い出すとは思っていたが今か……っ!!なんとか思いとどまらないかっ!?」
「そんなこと言われても俺はアイリーンに会いたいんだよ。大丈夫、今なら王都まで飛べる気がする。」
「ここから王都までどれだけ距離があると思ってるんだっ!一回やそこらの転移ではいけないぞっ!!」
「愛のパワーがあれば大丈夫だろ。」
「ジルなら本当にできそうなのが怖いですね………。」
マティアス…、できるかできないかじゃなくてやるんだよっ!
「一日、一日で帰ってくるから。」
「ほんとにできるんだろうなっ!?一日でもし帰れなかったとしても絶対に帰って来るんだぞっっ!!」
「え、許可しちゃうんですかっ!?」
というわけで俺の弾丸帰宅が決まりました。
女神と天使に会いに行ってきます。




