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乙女ゲームの攻略キャラだけど許嫁を愛でたい。  作者: 籠の中のうさぎ
喪女にヒロインは荷が重すぎない?
64/99

久しぶりに会いました。

久々のジル様視点です

俺とアイリーンが正式に結婚してはや数ヶ月、今日は久しぶりにミシェリアとその従者がうちに遊びに来ている。


久しぶりの友人の来訪にアイリーンは普段よりいっそう念入りにメイクをし、この間作成したばかりの秋色のドレスを身にまとっている。そのドレスの色は俺の髪の毛と同じような深みのある赤色をしており、まるで俺の色に染まったみたいなアイリーンに愛おしさが募る。

そんな愛おしい愛妻の、テーブルを挟んで前に座るミシェリアは、意識したのかは知らんが自分の恋人の瞳と同じ黄色いドレスを着て新妻アイリーンとの話に花を咲かせている。

似合っているとは思うがアイリーンの方が可愛いと思うのはしょうがない。察してくれ、新婚なんだ。

正直今日も相手がミシェリアじゃなかったら追い返して愛しい妻と1日まったりしてただろう。


なんというか、ミシェリアは話し方といい反応といい前世の姉にそっくりなんだよ……。

そんなミシェリアを優しく見つめる男、従者のテオドールはミシェリアとアイリーンの話に相槌を打ちながらたまに居心地悪そうに視線をさまよわせていた。

「テオドール、どうかしたのか?」

「え!?あ、いえ。す、素敵なお屋敷ですね、マーキス様。」

「ねー!!なんかヨーロピアンな雰囲気が素敵だよね!!」

「よ、よーろぴあん……?」

ファッションとかデザインが好きらしいミシェリアはテオドールの意見にキャッキャと喜びの声をあげている。

いやいや、明らかにテオドールが戸惑った顔しているだろう。落ち着け。……あ、テオドールが諦めの表情になった。


どうやら予想以上に苦労しているらしいテオドールに思わず同情する。

「ふふ!ミシェリアさんらしいですわ。……ところで、」

鈴を転がしたような軽やかな笑いを漏らしたアイリーンはその愛らしい声で話を切り出す。

「テオドールさんはいつまで私たちのことを敬称をつけてお呼びになりますの?」

「え!?」

「ミシェリアさんとご結婚なさるのなら私たちとも家族みたいなものですもの。ぜひ気軽に話してほしいですわ。」


確かに、姉のようなミシェリアの夫になるなら俺にとっては義兄あにのような存在だ。そんな存在にいつまでも様付けで呼ばれるのは気が引ける。

「そうだな、貴方は俺たちにとって義兄あにのような存在だ。俺のことはジルで構わん。」

「いやいやいや!!俺は男爵家の出ですし、侯爵家のお2人にそんな不敬な行いなどできません!!」

必死に手を振り拒否するテオドール。


「えー、でもさ。私とけ、けっこんするなら!これから先もジル君たちと付き合ってくんだから今にうちに慣れといたら?」

「身分差というものがあるだろう!!」

いちいち結婚のワードに照れる姉上殿に反論する義兄上殿。正直様付けで呼ばれる方が落ち着かない。

「じゃあテオドールが俺たちのことを敬称なしで呼ぶまで義兄上あにうえと呼ぶことにしよう。」

「は!?」

「でしたら私はお義兄様(おにいさま)にしますわ!」

「ええ!?」

「あ、いいなー。じゃあ私はテオ様って呼びたい!!」

「お嬢まで!!勘弁してくださいっっ!」

テオドール、基義兄上は羞恥とストレスで顔を赤くさせたり青くさせたりしている。

あとミシェリアは別に呼び方を変える必要はないと思うぞ。


「だ、第一なんで俺が義兄なんですか!!?」

まあ至極真っ当な疑問だろう。

「なんでって…ミシェリアは俺にとって姉のような存在だからだよ、義兄上。」

「姉のようなって、マーキス様の方が年上でいらっしゃるでしょう!!?」

「あら、でも私にとってもお姉様みたいな存在ですの。そのお姉様の旦那様ならお義兄様でしょう?」

流石はアイリーン、俺と同じ考えらしい。夫婦として考え方が似通ってくるのは嬉しいものがある。

「さあ、ジルと呼んでください、義兄上?」

「ふふ!私はアイリーンで願いしますわ、お義兄様?」






「じ、ジルベスターくんと、アイリーンさんで、勘弁してくれ…………っっ!!」

テオドールは粘ったようだがついに折れた。

ついでに喋り方も矯正した。





「ところで、テオドールとミシェリアはいつ結婚式をあげるんだ?俺達があげて随分経つがまだなんの連絡もないんだが……。」

「ん?ああ!結婚は私が25になるまで待ってもらうんだー。ファッション事業とかやりたいことあるからねー。」


……は?いやいや、好きなやつが横にいるのに結婚をしないとか生殺しか??

思わずミシェリアの隣に座るテオドールを見ると哀愁が漂っている。この憔悴具合を見るに清い結婚は守っているらしい。

「おま、……むごいことするなぁ。」

「え??なんでよ。」

「テオドール……苦労してるんだな。」

「ははっ。慣れたさ。」


かわいた笑いを漏らすテオドールが痛々しい。

まあ、惚れた弱みだ。頑張ってくれ義兄上殿。

ジルとミシェリアは互いに元姉弟だとはまだ知りません。


一応第2部の後日談はこれで終了です。

コメントで「そういえばこの件どうなってるの?」とかがなければ次回投稿は3部になります!


ヾ(:3ヾ∠)_




文章中でアイリーンとジルの爵位が侯爵から公爵になっていたのを訂正いたしました。

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