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乙女ゲームの攻略キャラだけど許嫁を愛でたい。  作者: 籠の中のうさぎ
喪女にヒロインは荷が重すぎない?

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=ある女の結婚挨拶=

コメントであったテオさんとミシェリアの結婚は親に認められたのか!?についてのお話です。

私は今テオと一緒にこっちの世界のパパンのお部屋の前に来ています!まあ言ってしまえばアール伯爵家当主様のお部屋の前に……。

「て、テオ、大丈夫!?」

「……胃が痛い。」

横では未だかつてないほど顔を青くしたテオがお腹を押さえている。心配する気持ちとイケメンはこんな状況でもイケメンなのかという驚愕の気持ちが半々です。

今日も私の恋人カッコイイ!!!


時は少し、というよりだいぶ遡って約1年前、テオが私に公開プロポーズしてくれたあたりまで遡る。

テオとしても私への本気の気持ちとしてああやってプロポーズしてくれたわけだけど、まあ卒業パーティーの時にプロポーズしたじゃん?そしたらすぐに冬休みに入るじゃん?公開プロポーズだったからお話はお父様にも通ってるじゃん?

まあ挨拶しない理由はないよねっ!っていうことで婚約の事後報告です。

リーンハルトに保証をいただいた婚約だから破棄されることはないけどね!それでも守るべき従者がお嬢に手を出したって何言われるかわからないよね!!


「大丈夫だよテオ!!何があっても私が守るよ!!!」

少しでも安心させようと力いっぱいそう言うと苦笑いされた。

「あーうん。ミシェリアはそういう性格だったよな……。」

おいおいどういう意味だいテオドールさぁん!!?

私の疑問が顔に出ていたのか優しい顔で微笑まれ、ぽんっと頭を撫でられた。

「そういうところが好きってことだよ。」

「うえ!?あ、ありがとう……。」

急に口説きモードの甘い顔と声で言われたら照れるからやめてよね!!しかも私が顔を赤くして照れてると余計に笑を深めて私のことを見てくる。なんていうかもう!プロポーズ以降、視線とか笑顔とかがよりいっそう優しく甘くなったから私の心臓がもたない!!爆発しそう!!!


そんなふうにテオとの甘い空気を堪能していると、

「あー……、入ってくるのかい?来ないのかい?」

扉の向こうのお父様からお声がかかった。恥ずかしい!

そりゃ扉の前でイチャついてたら聞こえますよね!!!


「し、失礼しまーす。」

「し、失礼致します。」

テオとふたり、少しの気まずさと緊張と、それから大きな羞恥心の中お父様の書斎へと足を踏み入れる。

中には執事のセバスチャンとお父様が待っていた。お父様は私と同じように少し気まず気な表情を浮かべているんだけど、セバスチャンは不気味なほどニコニコしてる。

テオはそれを見て滝のような汗を流している。


「おやおや、これはミシェリアお嬢様とテオ、いえ今となってはテオドール坊ちゃん(・・・・・・・・・)でしたか。さささ、お二人共こちらにどうぞ。」

セバスに勧められてお父様の正面のソファーに腰掛ける。するとすぐにセバスが紅茶とか出してくれた。めっちゃ有能。

「あー、あの、俺も手伝います。」

居心地の悪さにテオがそう言い出したがセバスが心底信じられないと言わんばかりの表情を浮かべる。

「いえいえまさか!!お仕えするアール伯爵家に婿入りなさるテオドール坊ちゃん(・・・・・・・・・)にそのようなことさせられません!!!」

「……いい加減にしてください、父さんっっ。」

ついに耐えきれなくなったテオが羞恥で赤く染まった顔を両手でおおって膝に顔を埋める。


そう、何を隠そうアール伯爵家の筆頭執事のセバスチャンは、名をセバスチャン・バロン。テオの実のお父様です。

「いやはや!!テオドール坊ちゃんに父と呼ばれるとは恐れ多い!!!伯爵家と男爵家では身分差が天と地ほどありますからなぁ!!!!」

「わかってるから!!!わかってるけど、もう少しで三十路なのに坊ちゃんはきついって!!」

「いえいえ!!!!お仕えするお家の若君になられるのであれば坊ちゃんでしょう!!ねえ、テオドール坊ちゃん??」

テオとセバスが当主の父と私をそっちのけで言い争っている。


「いやー、私も1発殴るくらいはしてやろうかと思ってたけどセバスに揶揄われてるテオドールくんの様子を見ているとそんな気もなくなってくるよねぇ。」

もうおっさんと言ってもいい年なのに目の前に座るお父様は全く歳を感じさせない佇まいだ。オレンジブラウンの髪を後ろに撫でつけ、ビビットピンクのタレ目は優しげだ。目元や口元に入ったシワが年相応の貫禄となんとも言えない色気を醸し出している。

柔和な表情を浮かべている父だが、貴族間の腹の探り合いとなるとどこにそんなたぬき飼ってたの?って聞きたくなるような腹黒っぷり。たぬき親父とはまさにパパンのことだよね。


「まあ、どこの馬の骨ともわかんない奴にジュリーとの子をやるよりはましだけどね。」

ジュリーとは私の母だ。市井の出ながら本当に美しかった母は、父の寵愛を受け私を身篭ったあと、貴族社会から私を守るために再び市井に下った。そして、テオが私の護衛について数年たったある日、病気で呆気なく亡くなってしまったのだ。

「実はね、ある侯爵家からミシェリアを嫁に欲しいって申し出があったんだよ。」


「え。」

「ちょ、それは本当ですか旦那様!!?」

流石にこの言葉にはセバスと言い合っていたテオもこちらの会話に入ってこずにはいられなかった。

「おや、お父様って呼んでもいいんだよ?テオドールくん。」

ニコニコと底の見えない笑顔を浮かべるお父様にテオは再び顔を手で覆う。

「旦那様……もう、ほんとに勘弁してください……。」

「はははっ。いやね、本当にお父様って呼んでくれていいんだよ。リーンハルト王子が認められた結婚にケチを付けるつもりもないし、ある意味君には感謝してるんだ。」

すっとお父様が手をあげるとセバスが二枚のいわゆるお見合い写真ならぬお見合い絵画を持ってきて私に手渡してくる。

何も言われないのが余計に不気味で、不審に思いながら絵画を見てみて思わず顔をしかめた。


「げ、豚と蛙。」

そう、そこにはヒロインこと私がバッドエンドのときに結婚する相手だった豚似の男と蛙似の男が描かれていた。

「あっはっはっは!!!豚と蛙とは言い得て妙だね!!……まあそういうわけで、なまじ相手の方が爵位が上でね、断りきれなかったんだよ。そんな時にテオドールくんがうちのミシェリアにプロポーズ、しかもそれが王家公認となると奴らも手出しはできない。可愛い娘を人外のところに嫁に出さなくて済んだ身としてはかなり嬉しい。」

さらっと侯爵家の人を人外って言って退けるお父様のメンタルすごい。

「そ、そしたら。俺とお嬢、ミシェリアとの結婚を認めてくださるんですか!?」

「当たり前だろう?ああでも、もちろん婿入りになるし君にはこれから次期当主としてみっちりセバスから指導を受けてもらうよ。それから不義理は許さないし、当たり前だけど清い結婚は守ってもらう。」


それからあとは、と色々条件を盛りに盛って、付けに付け足されはしたものの、無事私とテオの婚約はお父様にも認めてもらえた。

ただ一つ問題があるとすれば、


「さて、ではテオドール坊ちゃん(・・・・・・・・・)。早速お勉強いたしましょうか。」

「父さん、本当に勘弁してくださいっっ!!!」


セバスチャンに散々いじられてテオの胃に余計負担がかかったことくらいだね。テオ!!強く生きてっっ!!!!

この一年後ようやくミシェリアと正々堂々イチャイチャ出来ると思ったテオさんは、ミシェリアから7年間のお預け発言食らうわけですが……

うーん不憫!!!

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