生徒会に入りました。
俺は今人生最大の危機に陥っている。
学園に通い始めて早3ヶ月。それだけアイリーンに会えていないということだ。
ほんの僅かな期待を込めてとった空間魔術の講義では早々に才能なしと宣告された。辛い。
脳筋のマーキス一家に技巧派魔術は合わないってわかってはいたが……。
アイリーンに手紙を書くといつものツンデレ対応で頑張りすぎないでね、って返ってきたので意地でも習得してやろうと思う。
さて、相変わらず手紙でもアイリーンは可愛い。さすが俺の女神だ、と癒されていると突然マティアスに、
「生徒会に入りませんか?」
「生徒、会?」
なんだそれは。いや、何かは知っているがそんなものに入ったら余計アイリーンと手紙をやり取りする時間が、
「学園の規律を正し、生徒を守る為の学生団体ですよ。」
「よし、入ろう。」
アイリーンが入学するまでに不埒な輩が出ないとも限らない。
権力はあって困ることは無いからな。
「……理想の騎士の名は伊達ではありませんね。」
「言っただろ、ジルは必ず受けると。」
キラキラまでやってきた。
「ああ。理想の騎士とは君の二つ名みたいなものでね、最近ご令嬢の間では有名だよ。ストイックで真面目でおまけにかっこいいからね、物語に出てくる騎士様そのものだって噂だよ。」
怪訝そうな俺の顔に気づいたリーンハルトがそう答えるが、正直どうでもいい。
「俺はただ1人大切な方に仕える。それだけだ。」
「……それは、照れるね。」
おいキラキラ勘違いするなよ、アイリーンのことだからな。
「正しく理想の忠臣、と言ったところでしょうか。」
確かに希望進路は近衛騎士だが俺の唯一はアイリーンだけだ。だからその無駄にいい顔を染めるな!
マティアス、お前も感心しましたみたいに何度も頷くな!!
一瞬ネタの男色エンドが頭をよぎってゾッとした。
やめろ俺はノーマルだ。もっといえばアイリーン一択だ。
貴女に会えない日々は時間が長く感じます。
貴女に会える夏が待ち遠しい。
次の長期休みには必ず会いに行きます。
今日も俺は女神に愛を乞う。
次回はアイリーン視点です。(多分)