=ある女の作戦会議=
エマージェンシー、エマージェンシー!!生徒会の皆様に誤解されてますよ!!?
というわけでジル君にいつもより多めにアイコンタクトを送るとものの数分で人気のないところに誘導されいつものように拉致された。いつものことながら手際が鮮やかすぎてジル君ならやろうとすれば完全犯罪も夢じゃないと思います。
「あいたいっ!!」
「で?なんで俺にちらちら目線を送ってきたんだ?」
連れ去られて数秒でチョップをいただいた、痛い。いやいや、でも今日はこんなことでじゃれてる暇はないんだって!!
「ちょ、ジル君辛辣!!今回は可及的速やかに話し合わなきゃならないんだよ!!」
「は?……何をしでかしたんだ?」
一瞬呆けた顔をした後ものっすごい顔ですごまれた。いや、今回は私じゃないから!!今回はジル君だからね!!?
「いやいや!今回はジル君が面倒くさがりなせいだからね!?」
「どういうことだ……?」
「この間生徒会室でみんなで話してたんだけど、」
「おい、お前またテオ以外の好感度上げてるんじゃないだろうな!?」
話そうとすると私の言葉に食い気味でジル君が詰め寄ってきた。
「え!?いや、上げてないはずだけど…。」
ジル君に文句を言ってやろうと思っていたのにかぶせるようにそう言われ思わず口ごもる。
「…お前の言うことはいまいち信用ができないが…、まあ今回はいいか…。あの従者とはうまくいってるんだろう?」
そういわれてふとこの間のテオのことを思い出す。テオはたまに私が爵位がテオよりも高い人と話していると嫉妬からか衝動に任せたようなき、キスをすることが、あるんだけど。……この間のテオの最後の表情は、いつもと違う気がした、
「おいまて、その顔は何かある顔だな?」
「う、ん…。実はさ、この間テオにジル君と仲いいんじゃないかって言われて。」
「なんでそうなった。」
間髪入れずに額に手を当て心底嫌そうな顔でそういわれた。その反応はさすがに傷つくよ!?
「いや、だから、ジル君が面倒くさがりでアイリーンちゃんばっかりに構ってるでしょ?そしたらそれをリーンハルトとマティアスが勘違いしてて、その誤解を解こうとしたらテオに勘違いされた。」
「なるほどわからん。」
そこまではっきり言われるとちょっと悲しい。でも一番端的に説明していると思うんだけどなぁ。
「お前が何を言いたいのかはわからないが、…とりあえず、俺がアイリーンを構うのは仕方がないだろう?」
一にアイリーン、二にアイリーン。その後も百くらいまでずっと優先順位はアイリーンちゃんでその後でようやく別のことが入ってくるくらいアイリーンちゃんのことを好きなジル君がアイリーンちゃんを差し置いてリーンハルトやマティアスと一緒にいようとはしないだろう。いや、うん。わかってたけどはっきりそう言われるとなかなかジル君もやっべえなって思うよね……。
「次に、俺は結構おかんやキラキラの前でアイリーンが可愛すぎてつらいってのろけは言ってる。なぜ誤解を受けるのかわからん。」
「…それじゃないの?そもそも萌え文化なんてないこっちの世界でオタク的な可愛すぎてしんどいとかつらいとかの感覚ってないんじゃないかな?」
なるほどそれかみたいな顔でこちらを見るジル君。いや、ジル君何年こっちの世界で生活してるの!?気づこうよ!!!こっちでオタク文化なんてこれっぽっちもなかったじゃん!?アイリーンちゃんと関係ないところではどこか抜けてるジル君に思わず溜息が出る。私もなかなかだけどジル君も結構うっかり屋さんだよねぇ。
「とりあえず、それアイリーンちゃんにも同じようなこと言ってないよね?」
「アイリーンにはかわいい、きれい、好き、愛してるしか言わない。それ以外の余計な言葉は必要ないだろう?あとは忠誠誓ったり、行動で示してるな。」
きりっとした表情でそう答えられれば思わず溜息が出る。ジル君はいろいろアイリーンちゃん関連でこじらせてると思う。
「まあとりあえず、今度からはある程度リーンハルトやマティアスもちゃんとかまってあげなよ?それでいかにジル君がアイリーンちゃんを好きかを語ること!もちろんオタク目線で語るのはNGね!わかった!!?」
「あ、ああ。」
珍しく食って掛かる私に珍しく気おされているジル君。
「で、私は全力でテオとい、いちゃ、いちゃ…すること…っ!!」
「身内の恋愛事情う聴くみたいで複雑だな。」
「いや、私もだからね!!?」
ものっすごい微妙な表情でそう言われるが、私もジル君がアイリーンちゃんのこと語るたびに同じ気持ちになってるんだからお相子だと思うの。なんだかんだ言って私とジル君は仲がいいのは認める、でもやっぱりそこにはやっぱり男女の情なんて含まれていなくて、ほんとに家族に対してみたいな気安さがある。
「はぁ。まあそこはいいとして、従者対策はひたすらお前が従者に甘える以外ないな。他に気になることとか、報告しておくことはないか?」
「うん。ほかは今のところ大丈夫かな。」
こうして第何回目になるかわからない作戦会議が終わり、いつものようにジル君が先に教室を空間転移で出た後に私も普通に歩いて教室を後にする。ここまではいつも通り。
「ねえ、アールさん。ちょっといいかしら?」
「え、あ。はい?」
だけどまさか私が女子生徒に囲まれることになるとは思っていなかった。
て、テオーーーーーー!!!!助けて!!!




