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乙女ゲームの攻略キャラだけど許嫁を愛でたい。  作者: 籠の中のうさぎ
喪女にヒロインは荷が重すぎない?
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従者の記録:従者の悩み

俺は先日ずっと好きだった人と晴れて付き合うことになった。


ミシェリア・アール、まだ俺がずっと若かった時からずっと好きだった女の子。……俺が守らなきゃいけない、大切なお嬢様。本来なら俺みたいな男爵家の五男みたいな男が付き合っていい人じゃない。ずっと、今まで我慢してきたのにあの日ミシェリアがなぜか服を収納しておく長持ちの中に隠れていた日だ、今まで俺にくっついてもせいぜい頬を少し赤く染めるくらいだったのにその日は耳まで真っ赤に染めたミシェリアが可愛くてついに我慢できなくなった。思わず噛みつくようにミシェリアの柔らかい唇をついばんで、誰も荒らしたことのない口内を舌で蹂躙する。きゅっとミシェリアに服を握られてはっと我に返る。

名残り惜し気に唇を話すとくったりと力が抜けて俺に縋りつくミシェリアにずくんと下腹部が熱くなる、これ以上はシャレにならないとミシェリアを横抱きにしてベッドに運び寝かせてやったがそれ以降はできるだけ近づかないように、俺の勝手な欲望でミシェリアを傷つけてしまわないように。

だというのに、従者としてそばにいなければならない状況は正直つらい。できるだけ距離をとって従者としての一線を二度と越えないように自制するが、そのせいでまたミシェリアを見失ってしまった。また部屋の長持ちのなかなんて思いもよらないところに入ってるかもしれないと部屋を探してみたがどこにもいない。今から探しに行っても入れ違いになってはいけないと部屋で待っているとほどなくしてミシェリアが帰ってきた。思わず何かあったらどうするんだと言ってから自嘲的に笑う、この間何かしたのは俺のほうだろう…。

しかし注意されているのにも関わらず目を合わせようとしないミシェリアと押し問答を続けるうちに顔が思ったよりも近づきすぎていたらしくミシェリアが頬を染めて顔をそらす。

「…俺が言えた義理じゃないのは、わかってる。でもこの間のことでわかっただろ、女のお嬢じゃ男に何かされても負けるんだよ。だから、できるだけ一人では出歩かないでくれ。…俺が言いたいのは、それだけだ。」

ほんとに俺が言えた義理じゃない、せめてこれ以上ミシェリアの心に負荷をかけないようにと出ようとすると俺の上着の裾をミシェリアがつかんで引き留める。きっともう俺とはいられないと言われると、覚悟していたのに…。

「あのね、私、テオのことが好き。あなたがあの日のことを後悔していたとしても、私にとっては素敵な思い出だったの。あなたが好き、だから…。」

まさかそんなことを言われると思っていなかった俺は信じられなくてついミシェリアを抱きしめる。ぎゅっと力を籠めすぎないように、でもミシェリアの存在を確かめるように抱きしめる。じんわりと服越しに伝わってくるミシェリアの体温にこれが夢ではないと教えてくれる。そっと俺の体に回された細い腕が愛おしい。

「おれも、俺も…ミシェリアが、好きだ。愛してる…。愛してる。愛してるよ…ミシェリア。ずっと前から、君を愛していた。」

自分の声が涙で震えているのがわかる。もう何年も思い続けていたミシェリアが俺のことを同じように思っていてくれたことがうれしかった。


ミシェリアと付き合うようになって俺は今までにないくらい幸せを感じると同時に、今までにないくらいの不安を感じることになる。ミシェリアは可愛い。素直で無邪気だからきっといろんな人を無意識のうちに虜にする。それこそ俺何かよりももっとずっと爵位の高い男たちだって…。

実際ミシェリアはマティアス・デュークと同じ講義を共に受け、ギデオン・バイカウントとは図書館で交流を深め、リーンハルト・ストウハーフェン第二王子とも仲良くしている。ミシェリアのことを思うのなら俺は身を引くべきだろう。でもそんなことできるわけがない。十年だ、十年以上俺はただ一人ミシェリアだけを見てきたのに、今更ぽっと出の男たちに渡せるわけがない。

だがその三人はまだいい。問題はジルベスター・マーキスだ。ミシェリアはたまにマーキス侯爵子息をじっと見つめることがある。何を言うでもなく、話しかけるわけでもない。そしてミシェリアが視線を外すと狙ったようにマーキス侯爵子息がミシェリアに視線を向ける。じくじくと心の中が膿んで痛む。

ミシェリアに聞こうにも、返答が怖くて聞けない。

「いつから、俺はこんなに憶病になったんだろうな…。」

「?テオ?何か言った?」

少し先を歩くミシェリアが俺を振り返る。キョトンとしたあどけない表情がかわいい。

「何でもないよ。」

きっと俺はミシェリアと付き合っていく限り一生ミシェリアと俺との身分さに悩んで不安になってしまうだろう。それでも、

「ミシェリア、」

「なに?」

「……好きだよ。」

「え!?あ、う、……私も、すき。」

俺の言葉で顔を赤く染めてくれるミシェリアに俺はまだ愛されているとほっと息を吐く。正直自分がこんなに女々しいとは思わなかった。でも、ミシェリアによる影響だと思うとこんな情けない変化ですら心地よい。

テオさんの独白っぽいの

テオさんは自分の低い爵位がコンプレックス

テオさんはもう二十過ぎてるんでジル様と比べて欲求がストレートです。

ミシェリアちゃん逃げてーー!!!

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