表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの攻略キャラだけど許嫁を愛でたい。  作者: 籠の中のうさぎ
喪女にヒロインは荷が重すぎない?
48/99

=ある女の再会=

この間無事テオとお付き合いすることになったヒロインことミシェリアだよ☆

うっとおしいって?ごめん!今私は過去類に見ないくらい浮かれてるんだ!!

だってだよ!!?あの!ちっちゃい時から憧れてた完璧イケメンテオドール様とお付き合いだよ!!?

いやー。本当に今でも信じられないよね!たまに夢かなって思うときもあるけどあれからしょっちゅうテオが私にキスしてくるようになったから夢じゃないと思う!!もうね、爆発しそう。

リア充爆発しろの呪いをかけられるまでもなく爆発しそう。むり、何あのイケメン…。

絶対私がわたわたしてるの楽しんでるよ。あー恋人がイケメン過ぎてつらい。なんてぜいたくな悩みなんだ。でももう私の心臓が持ちそうにありません。

というわけで今日も今日とてテオから逃げ出して一人で行動しています!

後で怒られるけどこのひとりの時間がなかったら脈拍早くなりすぎて寿命縮まりそうなんだよ……。


「今日は一人で魔法理論の復習でもしようかなー。」

一応テオに教えてもらってはいるもののまだまだ分からないところはいろいろあって、授業中にお母さん改めマティアスにちくちく嫌味を言われる。心がおれそうです。

テオに見つからないように図書館2階の資料室前の穴場スポットへ向かう。いつもは人がいないそこに珍しく人がいた。黒い髪の、まだ少年と呼んでも差し支えないような容姿のその人はゲームの攻略キャラの一人、ギデオン・バイカウントだ。

「なんだお前。」

こちらに気付いたギデオンがぎろりと私をにらみつける。ちょまてよ。これギデオンルートのイベントじゃない?ギデオン登場のBGMが頭の中に鳴り響く。

「あ、わ、私はミシェリア・アールです。あなたは?」

「……誰でもいいだろ。」

誰でもいいわけないだろ。挨拶はコミュニケーションの基本だよ?

「で、何しに来たんだ。僕を嗤いに来たのか?」

「なんでやねん。」

「は?」

おもわず似非関西弁で突っ込みを入れる。本来ならそ、そんなひどいことしないわ!!って言うべきイベントなんだけど、正直テオがいるしイベントおよびフラグはできるだけへし折りたい。

「ここ図書館だよ?普通に勉強しに来ただけ。」

そういってギデオンの座る席とは対角線上に当たる席に着く。

「…お前といいマーキス先輩といい変な奴。」

「ジル、ベスター先輩と知り合いなの?」

思わずジル君と呼んでしまいそうになる。危ない危ない。

「あんたもあの人の知り合いなの?」

ちょっとぶっきらぼうに、でも自分の好きなものを話す子供みたいに目をキラキラさせて私に聞いてくる。

「あんたじゃなくてミシェリアだよ!ジルベスター先輩とは、なんだろ?戦友みたいな感じかな?」

「ふーん。」

「………。」

「………。」

それだけ!?うそ!それだけなの!!?ゲームみたいに会話のキャッチボールで剣山分投げてくるようなことはないけど、明らかにコミュ障だよね!?まさかふーん。の一言にも満たない言葉で返されるとは思ってもみなかった。さすがはハリネズミボーイ。いろいろこじらせてる感じがするね!!……まあ黒髪のせいで差別され続けてたからわかってるんだけどね。

「あんた…。ミシェリアは、俺の髪、気持ち悪く、ないの?」

ぽつりとそう聞いてくるギデオンにほんの少し違和感を覚える。あれ、これ初期イベントじゃなくない?中盤あたりで出てくるイベントじゃない?ヒロインに心を開くきっかけになるイベントだったはずななんだけどなんで初対面でこのイベントなの?

「え、むしろ私は好きだよ、黒髪。きれいでしょ、それにかっこいいじゃん。」

まあ深く考えなくてもいいかなと思い、正直な気持ちをこたえる。元日本人としては評価高いよ!安心して!!ちなみに言うまでもなくイベントで本来いうべきセリフはガン無視だよ。

「何それ、バカみたいなコメント…。」

「はぁ!?」

「…でも、ありがとう。」

ぽそっとつぶやくギデオン少年。少し嬉しそうに染まった横顔に既視感を抱く。

「なに見てんの?」

思わずじっと見つめてしまいギデオン少年にいぶかしげに見られる。

「いや、昔さ、平民街にいなかった?」

そう、私が10歳の時平民街で大人にいじめられていた黒髪の男の子。よくよく考えてみればこの世界で黒髪は珍しく、ほいほいその辺に黒髪がいるはずないのだ。

私がそういうとギデオンは胡乱げな目でこちらをじっと観察して次第に目を丸くしていく。

「あんた、あの時の…。」

「やっぱりー!!あの時の男の子だよね!?うわー!!まさかとは思ったけどこんな偶然あるんだねー。」

そういって立ち上がりギデオンの近くに歩み寄ろうとした。そう、しようとしたのだが。

「はいお嬢そこまで。」

「うわ!?」

いつの間にそこにいたのかテオが私の脇の下に手をいれひょいと持ち上げる。

「お嬢、俺から逃げてこんなところで逢引?妬けるな。」

「な!!誰が逢引なんてするか!!」

テオの発言に反応したのは私ではなくギデオン少年だ。そこまで嫌がらなくてもいいじゃないか!!

「とりあえず、もう次の講義の時間だから行きますよ。」

ぐっと抱え込まれ、さらにさりげなく口を手で押えられる。

「んんう!!?」

ってちょっと!!次の講義なんてないんでしょ!?知ってるんだからね!!独占欲か?これが独占欲とやらのなせる技なの!?何それ私愛されてる、テオカッコイイ。

一瞬んでほだされる私はほんとにちょろいと思う。でも何も言わずにギデオン少年と別れるのは後味が悪いのでテオの手を引きはがし。

「じゃ、じゃあね!!今度また会ったら一緒に勉強でもしよ!!」

そういって手を振り、あとはテオのなされるがまま連れていかれた。

「なんだ、あいつら……。」

あとに残されたギデオンは、嵐のような女生徒と従者の後姿をぽかんとした表情で見送った。


「ミシェリア、頼むから男と会うときは俺も一緒にいるときにして。」

「今日のは不可抗力だからっ、んんっ!」

部屋に帰った後言い訳しようにも口を開けばキスをしてさえぎってくるテオに思わずきゅんと来た。

いやー俺様キャラ萌えだからこういう強引なの嫌いじゃない私ってなかなかのMだと思うんだよね…。

ちなみに以後テオ同伴でギデオン少年と会って勉強教えてもらっています。いやね、年下なんだけどほんと分かりやすいんだよ。

ジル編の攻略キャラに会いました。の少し後のお話です。


ミシェリアは俺様キャラにキュンキュンくる人種の子なので、テオのちょっと強引な態度とかにキュンキュンしてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ