=ある女の告白=
「全く!!こんな時間までどこで何をしていたんだ!?」
「ご、ごめんなさい。」
ジル君にさらわれて作戦会議した後寮に帰るとテオが物凄い形相で駆け寄ってきて安否を確認された。照れる暇もなかったよ。
「何かあったらどうするんだ!」
そう怒ってくるテオに思わずお前が言うなと突っ込んでやりたくなる。え、この間何かしたのテオだよね!?
でもその時のことをひとたび思い出すとあの貪るようなき、キスの嵐を思い出してしまった。
「お嬢、聞いてるのか!?」
「き、聞いてるよ……。」
さらにさっきリーンハルト様と話した時のことを思い出した。こ、ここ、告白、しなきゃ、だめなんだよ、ね?うわーーーーー!!!!無理だ!!!元々そのつもりでテオのこと探してたけど!!!いざ本物を目の前にすると絶対言えない!!!
テオのことを考えるとまた顔が赤くなってしまい思わず下を向く。こんな顔見せられないよ!!?
「お嬢……人の話を聞く時はちゃんと相手の顔を見なさい!ましてや今お嬢は怒られてるんだぞ!」
「い、今はだめ!上げられない!!」
「わけのわからないことを言わない!!」
そう言ってテオがその長い背を折り、私の顔を覗き込もうとする。なので思わずテオの顔をぐいっと横を向くように手で押しやる。
「うぐっ。」
思わぬ反撃にテオから少し苦しそうな声が漏れた。
「おーじょーおー?」
「うわわ!ごめん、ごめんって!」
おもわずテオの顔を確認しようと顔を上げると思ったよりも顔が近くにあった。
キスのことを思い出しカッと顔が赤くなってしまい勢いよく顔をそらす。
やばい、ほんとに顔を見れない。気まずさや申し訳なさよりも恥ずかしさのほうが勝ってしまう。
「ご、ごめん…。」
「いや…、俺こそ、ごめん…。」
たぶんテオもこの間のことを思い出したのかばつが悪そうに顔をそらされる。
「…俺が言えた義理じゃないのは、わかってる。でもこの間のことでわかっただろ、女のお嬢じゃ男に何かされても負けるんだよ。だから、できるだけ一人では出歩かないでくれ。…俺が言いたいのは、それだけだ。」
そういってテオは部屋から出て行こうとする。きっと今何も言わなかったらテオは二度と私に触れてこないだろう。それどころか、二度と名前も呼んでもらえないかもしれない。……恋人になんてしてもらえない。
「ま、待って、テオっ!!」
私の横を通り抜け、扉から出ようとするテオの上着の裾をぎゅっと握る。
「あのっ!!!あなたに、話したいことがあるの…。」
「……うん。」
出ていこうとしていたテオが半分開けていた扉を閉め体をこちらに向けてくれる。
「この間の、キス、なんだけど…。」
「うん…。」
緊張で口から心臓が飛び出そうになる。顔に血が上りテオの顔が見れずに下を向くと、上着の裾をぎゅっと握る私の手が見える。
「その、嫌じゃなかったの。」
「……は?」
テオが間の抜けた返事が聞こえ、ちらっと見上げてみると信じられないと言わんばかりに目を見開いたテオが私を見ている。それが少し面白くて思わず笑ってしまう。
「あのね、私、テオのことが好き。あなたがあの日のことを後悔していたとしても、私にとっては素敵な思い出だったの。あなたが好き、だから…。」
「っミシェリア!!!」
テオの見た目よりもたくましい体に抱きしめられる。痛いくらいにぎゅうぎゅうと抱きしめてくれるテオの体に私も手を回して抱き着く。
「おれも、俺も…ミシェリアが、好きだ。愛してる…。」
テオは私の耳元で普段よりも低い声でそう言われて泣きそうになる。
「愛してる。愛してるよ…ミシェリア。ずっと前から、君を愛していた。」
テオの低く少しかすれた声がほんの少し泣きそうに揺らいでいる。ぎゅっと一層力強く抱きしめられたと思ったら体を離されテオと目が合う。
「ミシェリア、キスしてもいいか?」
「え!?あ、う、えと…。」
キスって!キスってっ!!?脳内にこの間のいわゆる大人の口づけとやらがよぎる。む、り、むりむりむりむり!!!絶対にパンクするって!!
「…ダメか?」
「あの、お、お手柔らかに、お願いします…。」
耳まで赤く染まった私にテオはクスリと笑ってそっとキスをしてきた。あの日みたいな噛みつくようなキスじゃなくて優しくただ触れ合うついばむようなキス。
それだけでも私の体は熱く熱を持つ。
「今日はここまでにしておくよ。これ以上は、我慢できなくなる…。」
最後にちゅっと音を立ててテオが離れていく。
「も、むり。テオ、かっこよすぎ…!」
私の言語中枢が崩壊している気がする。ヤバいと無理しか言葉が出てこない。二度の人生の中で始めてできた彼氏という存在にうまいこと翻弄されている。
「これからお嬢としてもミシェリアとしてもよろしくな。」
「ゆ、ゆっくりでお願いします…。」
ことさら優しく微笑んだテオに抱き着いて顔を見られないようにする。もうゲームとかどうでもいいよ、ほんとに。もしゲームで言うバッドエンドに進むとしてもテオ以外の人と恋をするなんて考えられないから。
「テオと、一緒がいいの。」
「俺もだよ、ミシェリア。」
はいくっつきましたー!
喪女ヒロインおめでとう!!!
物語はまだまだ続きます。




