=ある女の自覚=
はいテオさんも暴走しましたー。
ジル君に転生者だとバレてからというものほんの少し気が楽になった。少なくともあのイケメンと恋愛することを考えなくていいのだ。万歳!!!
しかしそうなると自然と出てくる問題が一つ、誰ルートを狙うかだ。マティアスはお母さん味が強くてちょっと恋愛対象には見れない、そしてジル君は言わずもがな。
そうジル君に相談してみたのだが、
「そしたら暫定的に従者ルートしか残ってないだろ?」
「いやいやいや、確かにテオはかっこいいし気心知れた人だけども!!あんなイケメンと恋愛なんてしようもんなら私の心臓もたないよ!!?」
「は?俺やマティアスにはそんなこと感じないのにあの従者に対してだけそう感じるならもう好きなんじゃないのか?」
そう言われて思わず目から鱗が落ちたよね、私ってばテオのことが好きなのか?今まで恋愛とか無頓着だったけど……。
そう考えてしまうともうそうとしか思えなくて、顔に血液が上がってくる。
「なんだ、答えは出てるみたいだな。まあ俺も大体のイベントは覚えてるからまた時間と場所を吟味した上で作戦立てるぞ。」
そう言ってジル君は私を置いてどこかに行ってしまった。これが数日前の話。
最近私はまともにテオの顔が見れませんっ!!!
だってだって!!あんだけイケメンのことお兄ちゃんみたいに考えてたけど、ジル君の言う通り私はテオのこと異性として見てるよね!?じゃなかったからこんなに恥ずかしくなることないもんね!!?実際ジル君のことは前世の弟みたいに考えてるからどう頑張っても異性には見れないし……。
テオのことお兄ちゃんって言いながらこんだけ意識してるのが答え、だよね……。
そこまで考えてまた顔が赤くなる。
やばい、前世と今と合わせても初めて人を好きになったかも……。テオが初恋とか、心臓おかしくなりそう。
「お嬢!こんなところにいたのか。」
「ひゃいっ!!?」
そんな声とともに、今まで暗かった私の視界に光が突然飛び込んできて二重の意味でびっくりする。
「心配したんだぞ、なんでこんな……ほんとになんでこんなところにいるんだよ……。」
呆れた声でそう問いかけながらも私をすごく心配してくれるテオの顔がうまく見れない。むりーはずかしいー!!!
ちなみに私がいるのは寮の自室にある衣装を保管しておく長持ちの中だ。しばらく前に帰ってきてから冬物を全部出してベッドに積み上げその中に入っていた。
「ほら、出れるか?」
そう言って手を差し伸べてくれるテオに思わず腕を伸ばすとぐいっと引っ張られ、勢い余ってテオの胸に飛び込む。
「!!!!?!???!!」
「おっと、悪い。大丈夫か?」
今までも何度かこの胸に抱きとめられてきたけど、今はこれまでと全然違う。テオのことが、す、すすす、
すすす、す……き、だと、自覚してしまったんだ。
私なんかよりも一回り以上大きくて鍛錬のためかゴツゴツした手、長く節くれだった男らしい指。身体だって私が勢いよくぶつかってもピクリとも動かない。ぱっと見た感じそこまで筋肉があるように見えないのに抱きとめられると服越しにわかる鍛え上げられた肉体。ぱっと外見を見ただけなら細くてすらっとしてるのに、実際に触れてみたらこんなにも男らしい。今までこんな人のことをお兄ちゃんだのなんだのって言い訳しては抱きしめられていたのかと思うと顔だけじゃなくて体全身に血がめぐり真っ赤になる。
「お嬢?」
ピクリとも動かない私を不審に思ったテオが体を離して顔を覗き込もうとする。
こんな顔見せられるわけないじゃない!!?気づいた時には自分からテオの身体に抱きついていた。
って私ばっかじゃないの!?馬鹿じゃないの!!!?ただでさえドキドキしてるのに何抱きついちゃってんの!!?!?
「お、お嬢……?」
テオの困惑した声が耳元から聞きえてくる。バカバカバカバカ!!!!!私のバカ!!こんなのもっと意識しちゃうじゃん!!?
「……ミシェリア?」
「んっ。」
耳元でいつもより低いテオの声で名前を呼ばれて思わず声が漏れる。こんなの、こんなの知らない……。
恥ずかしくて息が僅かに上がってきて、身体中火がついたみたいに熱い。
「ミシェリア、顔見せて……。」
「や、だ……。」
「ミシェリア……。お願い。」
「ひぁっ。」
テオがずっと耳元で話すからそのたびにテオの吐息が耳に当たって変な声が出る。絶対耳も真っ赤になってる。絶対バレてるし!!!おかしくなるから嫌なのにテオは全然やめてくれない。
「え、ちょ、や!」
テオの身体に回していた腕を強引に解かれ、テオの大きな手で私の両腕を拘束してしまう。引き抜こうにもびくともしなくて、これが男女の差なのかとドキドキが増してくる。
「ミシェリア。」
「や、やだってば。」
テオの空いたもう一方の手で顎をすくい上げられる。
「顔真っ赤だぞ。」
いつもの優しい笑顔じゃなくてギラギラとこちらを見つめる猛禽類みたいに鋭い視線に体が動かない。それでも指摘された内容が恥ずかしくてただでさえ赤い顔がもっと赤くなった気がする。今まで録に恋愛なんてしてこなかった私はもうごちゃごちゃと考えることもできないくらいに頭の中がショートした。
「ミシェリア、嫌なら、本気で俺を殴れ。」
固定されていた腕が離されて自由になる。どういう事かとテオを見ると勢いよく唇に噛みつかれる。
ん?唇に噛みつかれる????
ってこれちゅーじゃん!!
ひとりで脳内ツッコミを入れてる間にもテオは何度も何度も私の唇にキスをしてくる。しっとりとしたテオの唇が私のそれと触れ合い、ついばまれ思わず声が出そうになるのを必死に抑える。
「ミシェリア、口開けろ。」
聞いたこともないような低く情欲の混じったテオの声でそう命令され思わず口を薄く開いた。
「んう!?んっ、あふ……んんっ!!!」
薄く開いた口にテオの舌が捩じ込まれ口内を蹂躙され、漏れでる声ももう抑えられない。
されるがままだった深い口付けが終わりテオがゆっくりと離れていく。ぼーっとして頭がうまく回らない。
足腰もいつの間にか力が抜けていてテオに抱え込まれていた。
「ミシェリア、ごめん。大丈夫か?」
私を心配するテオの声にゆるゆると頷きで返す。
テオは少し迷ったように視線をさ迷わせた後私をひょいと横抱きにして寝室のベッドに運んだ。
「ごめん、ほんとにごめん。従者失格だ、な……。少し、頭を冷やしてくる。」
後悔したような声でそう告げ部屋を出ていくテオを私はただただ見送った。なぜって?足腰が立たないんだよ!!
やばいやばいやばいやばい!!!!
好きって自覚してすぐに告白とかぶっ飛ばしてディ、ディープキスだよ!!?!?!?
「あー、もう……。これで嫌じゃないとかもう確実にベタ惚れじゃん……っ!!」
まだ赤い顔と力の入らない体に私はしばらくベッドの住民になった。その間何度もさっきのキスを思い出して悶え苦しんだ。イケメンやばい。
私の小説のヒーロー達は総じて変態ってどういうことなの。
ジル様=女神至上主義者
テオさん=ロリコンビースト
字面がやばい、変態臭しかしない。
ただイケってほんとに大切だと思うの。




