=ある女の初登校=
そして私はついに物語の舞台になる王立リべクリーク魔術学院に編入した。
この学園は基本的にクラス単位での授業が行われ、空いた時間に専攻科目を自分で選び取る。
大学の講義形態を思い浮かべたらいちばん近いと思う。必修のクラスがあり、これは学年別にクラスがある。専攻科目は自分で数ある講義の中から興味のあるものを選びとることになるので学年は関係ない。
ちなみに私がテオを連れてるみたいに従者を連れてくるご令嬢やご子息は少なくないんだけど、講義中は公平さを保つために教室に入室することは許されていない。
私の必修クラス、基本クラスは攻略キャラの1人であるジルベスター・マーキスの許嫁であるアイリーン・フュルストが在籍している。彼女は典型的な悪役令嬢でジルベスターを幼い頃から縛り付け操り人形のようにし、学園に入ってからはジルベスターに近づく女生徒たちを虐めてジルベスターを孤立させている。一番気を引き締めてかかわらなければならない要注意人物、のはずなんだけど……。
「はじめまして、ミシェリア様。アイリーン・フュルストと申します。なにかわからないことがあればお聞きくださいませ。」
何この子めっちゃ可愛い。
え、天使か女神にしか見えないんだけど!
ふわふわのピンクゴールドの長い髪に、若菜みたいな初々しい春色の瞳がすごく可愛い。しかも声も柔らかく春を寿ぐような素敵な声。確かにゲームの中の悪役令嬢と同じ立ち姿、同じ配色なんだけど、にじみ出る雰囲気が全く違う。ゲームの時はキッとこちらを睨みつけてヒロインの庶子生まれを嘲笑うような性格だったのに、このアイリーンは嘲笑うどころか優しげに微笑み私を気にかけてくれている。
「あ、ミシェリア・アールです!よろしくお願いします!!」
「ぜひ仲良くしてくださいませ。ところで、専攻科目は何をお取りになられましたの?」
そう言って手を差し出し綺麗にふわっと笑うアイリーンさんはとっても可愛くて、しかもすごくいい匂いがする。なにこれ?これが女子力ってやつなの?しかも握った手のひらはしっとりと吸い付いてくるようなもち肌と来た。やばいな、ものすごく萌える。
……なんとなく、前世の弟が好きそうだなって思ってしまう。この世界に弟が転生していたら絶対ジルベスターを蹴落としてでも恋人になるんじゃないかな?っていうくらい弟の好みだ。
「え、あ、占星学と魔法理論応用学を取りました。」
ちなみに占星学がジルベスタールートで、魔法理論応用学がマティアスルートだ。テオドールルートは編入する前に一緒にいて欲しいと言うかどうかが分岐点である。これはこの間カミカミだったけどちゃんと言ったから多分大丈夫だと思う!
「……まあ。占星学でしたら私も婚約者と取っておりますの。」
そう言ったアイリーン様の表情は固い。あれ、もしかしてアイリーン様私がジルベスターと仲良くならないかどうか気にしてるのかな?安心して!可愛い可愛いアイリーン様を悲しませることなんてちょっと良心がずたずたに引き裂かれそうになるからやらないから!
そういう思いを込めてにっこり微笑んで答える。
「同じ授業なんですね?それは楽しみです。」
「、ええ。私も、楽しみですわ。」
まあ一番の理由はジルベスター様みたいなイケメンと恋愛できる気がしないだけだけどね!
まあ弟とは多分皆さんお察しの通りです。
似た者姉弟なんですよね。




