=ある女の日常生活=
テオが平民街に来て早5年、私は10歳になった。もうあと7年もすると私は王立学園に編入し、おっさんとの婚姻回避のためにもイケメンと恋愛しばければならない。
それはさておき、朗報です。テオの顔に少し慣れました!5歳の時の私とは訳が違うのだよ!!
昔は慣れないイケメンにリアルで触れ合うという未曾有の事態にあたふたしてしまったが、今は度重なるテオからのボディタッチで多少なれた。それでも不意に触れられたら挙動不審になっちゃうけどね!
で、まあテオに慣れた一番の理由っていうのが、普通に考えて大人イケメンなテオが子供の私を恋愛対象として見てないよね!ってこと。いつも私を過保護なまでに気にかけてくれたり甘やかしてくれたりするけどそこに男女間にあるような情は一切なく、あるのは姪とか親戚の年下の子供を相手にするような感じ。
まあ普通に考えて5歳とか10歳の私に恋愛感情抱いてたとしたらロリコンになっちゃうもんね。
そうよ。私が勝手に意識してるだけでテオからしてみたら年下の女の子ってだけなのよ。それだけで大分気が楽になったわ。
そう考えると私はどれだけ恋愛に恐怖を覚えているんだと少し笑えてしまう。
そう、私は無邪気な幼い女の子!たとえ中身が成人済みの大人だとしても見た目は幼いのよ!!喪女だけど!!!
「テオテオテオー!私ちょっとその辺ぶらっとしてくるから!!!」
「え?あ、ちょっとミシェリア!!?」
今日も何故か私の家に来てまったりしていたテオにそう声をかけて走り出す。
私の護衛とは理解しているけど毎日一緒だと固っ苦しいのでたまにこうやってテオの意表をついて1人でのんびりする。
あと、驚いた顔のイケメンまじ眼福。
そうやって護衛を振り切ってやってきた平民街の一角、私は今そこで非常に胸糞悪い思いをしている。
「おい!お前何なんだよその気味の悪い姿はよぉ!!」
まあぶっちゃけ言っちゃうと大の大人が寄って集ってひとりの子供を虐めている。しかも私と同じくらいの年齢の黒髪が最高にキュートなショタっ子を、だ。
イエス、ロリショタ、ノータッチが基本でしょ?なにショタっ子に触ってんのよ。虐めとか論外でしょ?
「ちょっと!なにちっちゃい子供を虐めてるのよ!!」
ビシッと指さしてそう言ってやった!けど私もちっちゃい子供だった!うーん、決まらない!
ショタっ子を虐めていた大人達も私を見てあからさまにポカーンってしてる。そして次第にその顔をニヤニヤとした気持ちの悪い顔に変えてゆく。イケメンは心臓に悪いけど、こいつらの顔は別の意味で心臓に悪い。
「ほー?随分と正義感の強いお嬢ちゃんだな?じゃあこいつの代わりにお嬢ちゃんがおじさん達と遊んでくれるかい?」
ぞわぞわっと鳥肌が立つ。
「へー、随分と可愛らしい顔してるなー。」
「ひぃ!」
「おいおいテメーら顔がギラつきすぎなんだよ。お嬢ちゃんが怖がってるぞー。」
ゲタゲタと品のない笑い方をする男達に周りを囲まれた。
ちらっとショタっ子を見ると一瞬目が合い、びくっとしたかと思うと走り去って行った。ちょ、見捨てられた!?と一人ショックを受けていると私を囲んでいた男のひとりに腕を掴まれる。
「おいおい、よそ見すんじゃねーよ。」
いやいやいや!!だから、イエスロリショタノータッチが基本でしょ!!?
「や、テオ、テオ!!助けてっ!!!!」
思わず目を瞑っていつもそばにいてくれるイケメンの名前を呼ぶ。
「な!?なんだおまっ!!」
「ひぃ!たす、たすけっ!!」
そんな男達の声が聞きえて来て、私の腕を掴んでいた手も離れた。そっと目を開けるとそこには男達をたった一人で倒したであろうテオが立っていた。
「て、テオ??」
「っ!ミシェリアっ!!!無事か!?怪我はないか!!?」
私の声に弾かれたようにこちらに近寄って肩をがっしり掴まれる。肩に置かれたテオの大きな手から伝わる温もりに助かったのだとようやく理解した。
じわりと目に涙が浮かび、耐えきれなくなって目の前にいるテオの首に腕を回して抱きついた。
「テオ、テオっ!!」
「怖かったな…助けるのが遅くなってごめんな……。」
優しくポンポンと私を撫でてくれるテオの手に安心する。そして私はイケメンの体温と香りを全身で堪能してものすごく悶えたい!萌える!テオ兄さんまじイケメン!!!!あー、いい香り。なにこれ?イケメンは香りまでイケメンなの??あー、かっこいいよーーーー!!!!
「……離れたくない。」
「、ああ。これからはずっと一緒にいるよ。」
やば、欲望が口から出てた。そしてテオ兄さん、それは私の心臓がもたないっす。
ちなみにその後まじでテオはずっと私の傍にいてくれた。とりあえずロリの特権でイケメンに甘えてみた。死ぬかと思った(萌え的な意味で)。
テオはただのイケメンのお兄さん(恋愛対象外)として認識したミシェリアちゃんはこれからテオから萌を補給していきます。
思考回路が残念すぎるヒロインちゃんです。




