一00一の日
十月一日は一〇〇一でメガネの日だそうです。
今俺とアイリーンは度なしのいわゆる伊達メガネをかけてポーズをとっている。
「ジル君、アイリーンちゃん!今度はもうちょっと顔を近づけて、互いの眼鏡に手を添える感じでお願い!!」
俺とアイリーンはそう言うミシェリアの指示に従ってまたポーズを変える。
そもそもなぜこのようなことになっているのかというと久しぶりに我が家を訪ねてきたミシェリアが、この世界でも眼鏡萌って通用すると思うの!!と宣った事がきっかけだ。
今朝王都にある俺達の屋敷に押しかけてきたミシェリアは応接室に通されるなり先述した内容を熱弁し始めた。
「お嬢、落ち着いて。すみませんマーキス様。」
苦笑いしてミシェリアを宥めるテオドール。
学園にいた時は主と従者の関係だった2人だが、つい先日目出度く結婚が決まり今では王家公認の婚約者になっている。
ミシェリアは現在前世での文化を流行らすっ!とアパレル関係の事業を立ち上げたり出資をしたりと王国中を飛び回っている。テオドールはよほど従者としての振る舞いが身に染み付いているのかそんなミシェリアの傍に付き従いサポートに徹しているらしい。
「とりあえずよくわからんが、つまり俺に何をさせたいんだ。」
「よくぞ聞いてくれました!さっきも言ったようにこの世界でも絶対メガネ萌えって流行ると思うのよ!今もそっち系の事業に手を出してるんだけどね、ぜひジル君とアイリーンちゃんにモデルをして欲しいの!!」
「わ、私たちがモデルですの?」
困惑気味にそう言ったアイリーンはそれでも興味があるのか目が輝いていて可愛い。
「そうそう!やっぱり新しいものを広めるきっかけって必要でしょ?アイリーンちゃん達ってかっこいいし綺麗でしょ?」
「それにアイリーンは可愛くもある。」
「うん。あとね、市井のことを考えてくれてるって結構有名人だし人気があるのよ。」
「それならミシェリア様とテオドール様でもよろしいのでは?」
「私とテオは爵位が高くないから貴族に対しては影響力ないんだよねー。」
そう言ってミシェリアはちょっと恥ずかしげに頬を搔く。
「まあそういう事なら俺たちにわざわざ依頼しに来たのにも納得が行くな。構わないぞ。」
ミシェリアには学園時代は世話になった身であるから手伝うこと自体は吝かではない。まあ1番の理由は眼鏡をかけたアイリーンが見れるからだが。
ポスター作りはギデオンとミシェリアが共同開発した(らしい)魔法光学射影機を使用し、そちらの商品の宣伝も兼ねるようだ
アイリーンはラウンドの眼鏡をかけている。少し大きめのメガネがアイリーンの顔の小ささを強調し、丸いフレームがどこかレトロな雰囲気と子どもっぽい愛らしさを醸し出している。まあ眼鏡自体こちらでは最先端ファッションなんだが。
俺は定番のスクエア形のメガネだ。
ピンショットからツーショット、はたまたミシェリアからポーズ指定を受け様々なシチュエーションの元写真を取りまくった。
後日写真を送ってくれるそうなので、その時はアイリーンの写真をスクラップブックにして保存するつもりだ。
嵐のようにやってきたミシェリアは、早速ポスター作らなきゃ!と言い残すとまた嵐のように去っていった。テオドールは非礼を詫びつつミシェリアのあとに続く。
こうして見てみるとあのそそっかしいのがテオドールと結婚したのは必然だったと思える。
「ふふ!今日は楽しかったですね。」
眼鏡をかけたままのアイリーンが小さく笑う。眼鏡効果かいつもよりほんの少し大人しそうに見えるアイリーンとその無邪気な笑顔のギャップにクラリときてしまい、衝動的にキスをする。
そっと目を閉じて受け入れるアイリーンに興が乗ってしまいついつい深く食んでやるとカツンと互いのメガネがぶつかってしまった。
「な、なんだか、いつもと勝手が違いますね。」
その音と感触にによって我に返ったアイリーンが恥ずかしそうに、それでも物干しげにチラチラとこちらをメガネ越しに見てくる。その視線が新鮮で、結局その日は最後まで眼鏡をつけたまま愛し合った。
メガネ萌え……侮りがたし……。




