表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの攻略キャラだけど許嫁を愛でたい。  作者: 籠の中のうさぎ
乙女ゲームの攻略キャラに転生しました。
30/99

許嫁が嫁になりました。

らすとぉぉっ!!!!

学園を卒業して2年がたった。

リーンハルトは王国の第二王子として王太子様をサポートするために学園を卒業した今でも勉強を続けている。マティアスは宰相である父親の元につき本格的に仕事を学んでいる。ギデオンはもう1年学園に通い、卒業した暁には次期王宮筆頭魔道士の職に着くそうだ。

ミシェリアとテオドールは王宮務めではないので近況はわからないが、まあブーケトスのジンクスは伊達じゃないってことは確かだな。

俺は忠誠をアイリーンに誓ったので近衛騎士団には入らずリーンハルトの懐刀も兼ねてあいつの従者になった。もちろんアイリーンとは彼女が学園を卒業してすぐに正式に結婚した。


「あー……。帰りたい……。」

俺はリーンハルトの執務室で机に突っ伏しながら呻いた。

「ジル。帰りたいって今出勤したばかりだろう。」

リーンハルトが苦笑いを浮かべる。

領地はそれぞれ俺の兄やアイリーンの父が領主として経営しているので王都に屋敷を買いそこにアイリーンと使用人たちと共に住んでいる。

「むしろ出勤なんてしたくなかった……。」

「確か今5ヶ月だったか?」

「ああ、やっと安定期に入ったところだな。」

なんとこのたび俺とアイリーンの間に子供ができた。

世界一可愛くて綺麗な女神(アイリーン)の子供だ。絶対可愛い天使(こども)が生まれてくるだろう。今から楽しみである。

正直今朝も、というより妊娠がわかってから仕事が憂鬱で仕方がない。それでも行かないとアイリーンが怒るから。いや、怒る姿も相変わらず可愛いんだがな。


「しかしジルのアイリーン嬢への愛には頭が上がらないよ。この2年で随分能力が伸びているね。」

リーンハルトが手元の資料を見ながらそうこぼす。当たり前だろう。何を隠そう、隠さないが、俺の魔術のほぼすべてがアイリーンを守るために修得したと言っても過言ではない。アイリーンひとり幸せにするのでも一大プロジェクトなのにまたもう一人守るべき存在が増えるんだぞ。まだまだ俺の力では足りない。

ついでに学園の時に才能がないと言われた空間魔法はまだまだ伸び代を見せている。せめて王国内どこでも転移できるようにしておかないと何かあった時に対処できないだろう?


その時、左手に付けた指輪が微かに振動する。

「リーンハルト、」

「行ってきたまえ。」

何も言わずにわかってくれるのは流石だと思う。

「すまん!」

俺は転移魔法で王宮の応接室へと向かった。


「アイリーンっ!」

「ジル様!」

応接室には愛しい俺の嫁がいる。

この指輪は俺とマティアスとギデオンの叡智を集結させて作った、あー……有り体に言えばセンサーだな。GPS付きの。

もちろんアイリーンにもプライバシーはあるから機能は限定してあるぞ?アイリーンが王宮に入った時に俺に知らせてくれる機能と、アイリーンが魔力を流し込めばその位置情報が俺へと届く機能だ。愛しの女神が俺を訪ねてくれたのに長時間待たせる訳には行かないし、こんなに愛らしい女性が誘拐されないとも限らない。

「アイリーン、何かあったのか?体調は大丈夫なのか?」

今朝離れたばかりだというのにまるで長い間会っていなかったような心地がする。

「だ、旦那様が持ち帰りの書類をお忘れになっていたから持ってきましたの。」

未だに慣れない旦那様呼びに赤く頬を染める。

「ああ、気づかなかった。ありがとう。」

膨らんだお腹に負担をかけないようにそっと抱きしめてキスをする。

「帰りは馬車?歩き?送っていくよ。」

「そんな、大丈夫ですわ!ひとりで帰れますわ。」

「俺が心配なんだ。リーンハルトには許可を取ってあるし、戻る時は転移で一瞬だ。もう少し貴女と一緒にいたい。」

アイリーンと一緒にいる時は転移を使わない。そんなことをしたら一緒に居られる時間が減るだろう。

目を伏せて控えめがちに照れるアイリーンを目に焼き付ける。こういう時にカメラがあればいいのにっ!!

もっと可愛い顔が見たくてそっと頬に手を当て上を向かせる。一瞬きょとんとしたが俺の顔の近さにハッとなって目を閉じた。そのまま近距離でじっと見ていると、徐々に赤く染まり熱を帯びてくるのが愛おしい。

「き、きす……なさいませんの?」

まぶたに隠れていた潤んだ瞳を俺に向け恥ずかしそうに聞いてくるのでそのまま深い口付けを贈る。

「んっ!……ふ、んんっ!」

舌で歯列をなぞり上顎を擽ると煽情的な声が漏れ出てきた。

「誰が貴女にキスしているか、見て欲しかった。可愛かったよ。」

これ以上は俺の理性が危ないのでちゅっと軽いキスをして離れる。

「も、ばか……。」

そういう満更でもなさそうな顔で俺の理性を揺さぶるのはやめていただきたい。襲うぞ。



これから先俺達はまた前世の記憶に悩まされる時が来るかもしれない。もしかしたら元の世界に戻れるようになるかもしれない。だが例え戻れる事になったとしてもきっと俺はここでアイリーンと暮らしていくだろう。

乙女ゲームの攻略キャラなんていう特異な人間に生まれ代わった俺だが、俺はこの命続く限り(アイリーン)を愛し抜いていこうと思う。だって初めて貴女にあったその時から、僕は貴女に恋をしているから。



あとアイリーンに会いたくてわざと書類を家に忘れたのは内緒だっ!!

終わった!!

男主人公が気持ち悪いくらい自分の恋人を溺愛するのが見たいっていう漠然としたコンセプトで書き始めた小説ですが完走できて良かったです!

また先日異世界転生の恋愛ジャンルで日間ランキング1位を頂きました。

ひとえにこんな拙い小説を読んで応援してくださった皆様のおかげです。本当にありがとうございます。


また喪女ヒロインメインの小説も書いてみたいと思いますが、その前に別のラブコメ書く予定です。

よろしければそちらもぜひ見てください。


いつごろ連載を始めるかなどは、新しく作ったTwitterアカウントで流していくと思いますので、そちらもよろしくお願い致します。

@rabbit_in_cage

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ