目撃しました。
怒涛のイベントがあり、いい加減イベント管理のできないミシェリアに灸を据えるために探す。
なぜ俺がアイリーン以外のために苦労しなきゃならないんだ。アイリーンに会いたい。イチャイチャしたい。特に最近はアイリーンが沈んでるみたいでそういう空気になれないから余計イチャイチャしたいっ!!
18歳だぞ?思春期真っ只中だぞ?恋人とラブラブしたいと思うのは当然だろ?しかも相手が女神のような女性なら尚更だろ。
ついつい怪しい方向に向いてしまう思考回路をなんとか軌道修正しつつミシェリアを探す。従者もキラキラも俺とミシェリアの仲を危惧していたみたいだが、女神と畑の人参なら俺は迷うことなく女神を選ぶ。間違っても俺の女神はミシェリアじゃない。それそれがそれぞれの女神を愛したらそれでいいと思うんだが、その価値観を押し付けないでほしい。誰がなんと言おうとアイリーンが俺の女神だ。
そうこう考えて歩いていると前方から誰かの言い争う声が聞こえてくる。その声の中にアイリーンの声が混じっていることに気づいた俺は思わず駆け出した。
長い廊下を走り抜け、角を曲がる。すると今まで不明瞭だった声がはっきり聞き取れるようになってきた。
そしてついに言い争う女生徒たちが視界に入る。
そこにはミシェリアを囲み思い思いに暴言を吐く軍団がいた。その中にアイリーンの姿を見つける。
アイリーンに声をかけようとしたその時、彼女が腕を振り上げ、思いっきりミシェリアの頬を叩いたっ!
「私のジル様に手を出さないでくださいませ、この泥棒猫っ!!!!」
思わず思考が停止する。
うん。いい手首のスナップだった。いや、そんな事どうでもいい。私の?今私のって言った?
あの普段恥ずかしがってなかなか好きとか言ってくれないアイリーンが?
そう理解した途端頭の中にファンファーレが鳴り響いた。今までたまに、いやほんとにたまにだがアイリーンは俺のことをそこまで好きじゃないんじゃないかと思ったこともあった。俺がこの気持ちを押し付けているだけで、本当はもっと別のやつのほうがアイリーンを幸せに出来るんじゃないかと考えたこともある。それでも俺はきっとアイリーンを諦められないからできるだけアイリーンの理想であろうと努力もしたし、世界一幸せにするために俺が出来ることはなんでもした。いつも俺が愛を囁いても照れて私もですわって言うだけで、時々恥ずかしそうに好きだとアイリーンが声に出して言ってくれるだけで俺は幸せだったのに、そのアイリーンが俺を求めて嫉妬してくれた。いや、今までも嫉妬してくれたことはあったが直接貴方は私のものですわーなんて言ってもらったことがないからちょっと破壊力が桁違いだ。
「アイリーン……。」
つい嬉しくて感動のあまり恍惚とした声でアイリーンの名を呼ぶ。
「あ、ま、マーキス様。」
「ちが、違いますわ、これはアイリーン様が勝手に、」
なんて有象無象が言い募るがどうでもいい。俺の目にはまさか俺がいると思っていなかったのだろう、呆然と立ち尽くす女神しか映っていない。
1歩アイリーンの方へ踏み出すと弾かれたようにアイリーンが逃げる。
有象無象が俺に猫撫で声で媚を売りに来るがどうでもいい。
「ミシェリア、今回の件は水に流してやる。」
「え、叩かれたの私なんだけ「は?」なんでもないですっ!」
今回あいつの恋愛イベントに巻き決まれたのはもうどうでもいい。とりあえずアイリーンを抱きしめよう。
有象無象をはねのけて、愛しい女神を探すためにまた俺は走り出した。
「え、めっちゃ機嫌良いじゃん。キモチワルっ!」
後ろから聞こえてきたつぶやきに、後でミシェリアを〆ようと決意した。
自分で書いといてあれなんですけど、ジル様やばい。




